[CML 064543] 迷路のなかの天皇か 明仁&美智子 小説

大山千恵子 chieko.oyama @ gmail.com
2022年 5月 29日 (日) 09:32:40 JST


*救援連絡センター
<http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2007_6/p14_15.pdf>発行「救援」紙、2面の連載コラムより*

*迷路のなかの天皇か 明仁&美智子 小説*

天皇小説というと*「風流夢譚」*
が超弩級の衝撃。裕仁の首すってんころりん、だもんね。でも編集者の京谷秀夫が描いた、1961年冬のドキュメントが更に凄かった。出版社の社長宅の家政婦さん殺されたりして(註一)。

親子二代に亘って天皇を爆殺しようとする*「パルチザン伝説」*
も、どきどきしたなあ。残念ながら後半の父の暗殺計画は、もやもや。これも、むしろ著者の桐山襲による弾圧事件経過本が隔絶に面白かった。わたしってば、ひねくれてるのかしら(註二)。

さて、この春に上梓された綺麗な菊花の表紙の本。帯に「戦後日本の表現における臨界に挑む問題小説」とある。大手出版社に軒並み断られ、最後に菊地社長が出すと言ってくれた現代書館なのだ(註三)。

*明仁と美智子の視点、ドキュメンタリスト森と桜子の成り行き、謎のカタシロ達。*

*みっつのパートが交錯して進む妄想小説。そして地下の迷路を彷徨う。*

でもさあ、森は天皇が好きなんだよねえ。レーニン(椎名礼仁)までもが。山本太郎とか天皇愛のひとたち、ぞろぞろ。なんて日本人て、お人好しなんだ。そのくせ傲岸不遜。堪んないぜよ。

テレビ無い歴半世紀ゆえに、そう感じるのかなあ。たまたま一般参賀の映像を見たりすると「ヤマザキ、天皇を撃て」と呟いてしまうわたし。

父の軍神裕仁と較べると、ソフトムード。知的な紳士、そして美しい妻。理想の家族!?  新たな天皇制モデルとして生き延びている。

米国人女性が家庭教師、テニスコートの恋、魚類学者は沖縄ハゼの新種を発見。*「文化の顔をした天皇制」に邁進。*

*森の妄想。*
太郎の2013年の福島原発問題への直訴。翌年には栃木の郷土資料館に行き、田中正造の直訴状を見ている明仁。すぐに行くと迷惑になるからと、聡明な美智子が言ったのではないか。なるほど。

長野の満蒙開拓平和記念館、水俣病患者資料館、ハンセン病療養所、高麗神社。これら歴訪は、とある明白な意志から来ているのではないか。なんらかのメッセージを発しているのではないか。根拠は?妄想。だから妄想小説。ふふふ。

★註一「1961年冬『風流夢譚』事件」 京谷秀夫 平凡社文庫-志木電子書籍
★註二「『パルチザン伝説』事件」 桐山襲 作品社
★註三 「千代田区一番一号のラビリンス」森達也 現代書館



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大山千恵子
ブログ 「千恵子@詠む...」 毎日更新http://blog.goo.ne.jp/chieko_oyama


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