[CML 064766] 杉並区長選で新人女性が当選──公共サービスの再公営化をめざす(紅林進)

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2022年 6月 25日 (土) 15:29:57 JST


紅林進です。

6月19日(日)に東京都杉並区で区長選挙があり、新人無所属の女性の岸本聡子さんが当選し、私もその選挙運動に多少関わりましたが、その報告記事を私が編集委員の一人になっています季刊の雑誌『フラタニティ』第27号(2022年9月1日刊行予定」に載せる予定の原稿を書きました。
『フラタニティ』第27号の発売日は9月1日で、まだ日数があるため、編集長の村岡到氏の許可を受けたうえ、このMLに転載させていただきます。

紅林 進
qurbys @ yahoo.co.jp

(以下、転送・転載歓迎)

杉並区長選で新人女性が当選
──公共サービスの再公営化をめざす
 紅林進

 六月一九日に行われた東京都杉並区長選挙で、新人の岸本さとこ候補が現職の田中良候補を一八七票差で破り当選しました。得票は七万六七四三票、投票率は三七・五二%。前回よりは五・五ポイント増えました。女性の区長は杉並区で初、都内で三人目です。
 開票結果が明らかになった二〇日の夜にはJR阿佐ヶ谷駅前で支援者や区民が集まり、青空報告集会が行われました。そこでは岸本候補以外に投票した人々の声も聴いてゆく必要ということも語られました。
 岸本聡子さんは公共政策の専門家で、オランダにある政策研究の国際的研究所で公共サービスの再公営化や住民参加の自治体づくりなどを研究してきた方で、「住民思いの杉並区長をつくる会」が区長候補として擁立し、立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党、緑の党グリーンズジャパン、杉並・生活者ネットワーク、新社会党などが支援し、事実上の野党統一候補として選挙戦を闘いました。選対本部長はPARC共同代表の内田聖子さんです。
 岸本さんは、二〇年近く、オランダとベルギーに住んで活動してきた人で、杉並区に引っ越したのは、区長選への擁立の話が決まってからの今年の四月です。したがって国際的な知名度はあるものの、地元杉並での知名度はゼロと言ってよい状態でした。支援者の中でも、それを懸念する声もあったようですが、岸本さんや支援者の積極的な街宣活動などによって、支援の輪が日々、広がってゆきました。ビラの受け取りも最初の頃はほとんど受け取ってもらえませんでしたが、次第に受け取りもよくなり、街宣を聴く聴衆も増えました。
 そしてオンラインでの区長候補者三名による公開討論会で、岸本さんはその政策をわかりやすく説明し、他候補を圧倒しました。田中良現区長は、岸本さんの質問にまともに答えられない場面もありました。
 岸本候補の支援には多くの女性や若者が参加しました。区外からも多くの人が参加しました。私も杉並区外の者ですが、連日、応援に駆けつけました。選対本部長をはじめ、支援者に知人がいたこともありますが、何よりも岸本さんの政策に共感してのことです。
 政党中心の運動ではなく、支援者の市民一人ひとりがアイデアを出し合い、「ひとり街宣」(駅頭にポスターを持って一人で立って街宣)などユニークな選挙運動を展開しました。選挙戦最終日には多数の支援者が三万枚のポスティングをしました。
 現職の田中良区長は、住民・利用者の声を無視し、児童館の廃止や区民施設の統廃合を押し進め、街並みを壊しての道路拡幅や再開発を強引に推し進めようとしてきました。またコロナ禍の緊急事態宣言発令下に、業者と群馬県のゴルフ場に区役所幹部を連れて懇親旅行をするなど区民の批判を浴びてきました。
 岸本さんは、当選を勝ち取りましたが、現職との一八七票差での勝利というように、反対勢力も拮抗しており、自公が過半数を占める区議会に予算を握られているなどの制約や抵抗も予想され、越えなければならない壁は多いと思いますが、岸本さんなら住民との対話、住民参加型の杉並区政を築いてゆくと思いますし、それを区民、支援者が支えてゆくことが求められています。
(くればやし・すすむ/季刊『フラタニティ』編集委員)



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