[CML 064635] 福島原発事故の教訓を踏みにじる、ガイドのばらつき条項削除に対する抗議文
Masuda
masuda @ osaka.email.ne.jp
2022年 6月 9日 (木) 11:05:42 JST
みなさん
大阪市在住、おおい原発止めよう裁判の会の増田哲也です。
昨日の原子力規制委員会で、基準地震動等審査ガイドのばらつき条項が削除が
決定されました。
ばらつき条項は、2020年12月4日の大阪地裁判決で原告側が勝利した、その根
拠となった条項です。
これを削除するという暴挙に対して、原告団として抗議声明を出しましたので、
お知らせします(下記)。
http://www.jca.apc.org/mihama/ooisaiban/statement20220608.pdf
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<抗議声明>
大飯原発裁判原告団の抗議声明
福島原発事故の教訓を踏みにじる、審査ガイドの「ばらつき条項」削除に抗議する
原子力規制委員会は本日(6月8日)、基準地震動等審査ガイドの「ばらつき条
項」を削除すること等を決定した。わずか10分の説明と議論で、逃げるように
審議を終了した。約2か月半前の3月26日までパブコメに寄せられた延べ96
の貴重な意見を無視し踏みにじっての暴挙であり、これに強く抗議する。
パブコメ意見に対しては、「今回の改正は審査実績等を踏まえた表現の改善等を
行うものであり、規制要求や審査の緩和を行うものではありません」として、あ
たかも規制とは無関係のように扱い、意見には基本的にいっさい答えなかった。
この姿勢は、ガイドの目的を「基準地震動の妥当性を厳格に確認すること」から
「確認するための方法の例を示した手引き」に引き下げたことと共通している。
「ばらつき条項」は、福島事故を受けて導入されたものであり、「経験式は平均
値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考
慮されている必要がある」と明記されていた。入倉・三宅式等の経験式は過去の
地震データから平均値として導かれているので、現実には、それから予測される
より大きい地震が起こり得ると考えるべきである。ところが、これまで規制委員
会は自らつくったこの条項を無視して平均値だけを適用して地震規模を判断して
きた。これが「審査実績」であり、この欠陥がまさに2020年12月4日の大阪
地裁判決によって指摘・判定されたのである。
すると規制委員会は開き直って、判決の根拠となったⅠ.3.2.3(2)「ばらつき条
項」を削除するという暴挙に出た。それに代えてⅠ.3.1(2)として「経験式が適切
に選定されているか」を新設したが、これは「ばらつき条項」とはまったく別の
内容である。
他面、裁判の中で国は、経験式が「ばらつき」を有するのは当然のことと認めて
いる。また、「ばらつき」と「不確かさ」とは独立で異なる概念であることも、
米国の環境保護局の考えを引用して確認している。にもかかわらず、「ばらつ
き」は「不確かさ」に置き換えるべきだとの矛盾した不可解な主張を押し通す姿
勢が、今回の「ばらつき条項」の削除となった。
しかし、ガイドから「ばらつき条項」を削除しても、耐震安全性を求める法規則
が消えてなくなるわけではない。たとえば大飯原発では、本来「ばらつき」を考
慮すれば基準地震動は少なくとも1,150ガルになるはずが、現行では856ガルと
しか評価されていない。これでは耐震安全性が守られないのは当然であり、設置
許可基準規則4条3項が要求する安全機能がみたされないのは明らかある。「ばら
つき条項」の削除は、福島事故の教訓を踏みにじるものであり、断じて容認でき
ない。
われわれはあくまでも法規則の内容・耐震安全性が満たされるよう要求し、裁判
と法廷外の運動を通じて闘うものである。
2022年6月8日 おおい原発止めよう裁判の会
連絡先(美浜の会気付)大阪市北区西天満4-3-3 星ビル3階 TEL:06-6367-6580
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