[CML 064956] 7/13(水)変えよう選挙制度の会7月例会「今回の参議院選挙の結果を分析しよう!」の報告
qurbys @ yahoo.co.jp
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2022年 7月 18日 (月) 20:39:18 JST
紅林進です。
私も関わっています「変えよう選挙制度の会」の7月例会が「今回の参議院選挙の結果を分析しよう!」をテーマに田中久雄当会代表の報告で、先週7月13日(水)に東京・飯田橋の会場とオンライン(ZOOM)で開催されましたが、その報告をまとめたものをお送り致します。
この原稿は、報告者の田中久雄当会代表にチェックしていただきましたが、当日の田中氏の報告を私、紅林の責任でまとめたものです。
なおこの報告文は短縮した上、私が編集委員の一人になっています季刊雑誌『フラタニティ』 http://logos-ui.org/fraternity.html
の次号No.27(9月1日発売予定)か次々号No.28に掲載(報告を連載中)する予定です。
以下、添付ファイルでお送りしますが、念のため、下記にも貼り付けます。
(以下、変えよう選挙制度の会7月例会の報告をまとめたもの)(添付ファイルにも)
変えよう選挙制度の会七月例会「今回の参議院選挙を分析しよう!」報告
七月例会は七月一三日(水)に飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターの会議室とオンラインで開催。田中久雄当会代表が報告。司会は当会の紅林進。参加者は会場六名。オンライン一六名。
七月一〇日(日)投開票の参議院選挙から日数の経ない中での開催であったが、二五ページ、四九項目にわたる詳細な報告であった。
報告では、先ず参議院選挙の選挙制度の概要(前回のおさらい)を説明した後、今回の選挙結果について分析した。
今回の参議院選挙の投票率は、五二・〇五%で、前回参議院選挙の四八・八〇%から三・二五%
上昇したが、過去四番目の低さだった。総務省によると、一〇代の投票率は三四・四九%で、前回の三二・二八%と比べると、二%ほど増えたが、依然として他の年代より低い。
今回選挙の立候補者数は、選挙区改選定数七四人(+補欠一人で七五人)に対して、三六七人。比例代表改選定数五〇人に対して、一七八人。
当選した一二五人の平均年齢は五六・六歳であり、前回を二・二歳上回った。
当選議員の出身は、首長や地方議員などの地方政界出身者が三五人と最多。次いで官僚出身が一七人。世襲議員は一四人で、自民が一〇人、立民が二人、公明が一人、維新が一人。世襲の候補者の当選確率は七三・七%と極めて高かった。
女性議員の当選者数は三五人(選挙区二一人、比例代表一四人)で過去最多となった。但し女性の全候補者に占める当選者の比率は、前回の二〇二九年より七・六ポイント減の一九・三%で、男性の二四・七%に及ばなかった。報告では、各党別の女性候補者数・同比率、女性当選者数・同比率やクオータ-制に対する各党の態度の比較などもなされた。
年齢別比例代表投票先では、若い人ほど自民への投票が多く、立民は逆に、高齢者ほど投票が多く、若い人は少ない。維新は三〇代、四〇代の投票が多い。
今回の参議院選挙でも一票の格差は、最大三・〇三二倍となり、三倍を上回った。すべての選挙区で選挙無効を求めて、一斉に提訴された。
<政党別議員数・割合>
今回の改選議席と非改選議席を合わせた政党別所属議員数とその割合は、下記のとおりです。
自民:一一九人、四七・九%、立民:三九人、一五・7%、公明:二七人、一〇・八%、維新:二一人、八・四%、共産:一一人、四・四%、国民:一〇人、四・〇%、れいわ:五人、二・〇%、社民:一人、〇・四%、NHK:二人、〇・八%、参政:一人、〇・四%、無所属:一二人、四・八%。
今回の参議院選挙で、三二の一人区で、自民は二八選挙区で議席を獲得、立民は青森と長野の二人、国民は山形の一人、野党系無所属は沖縄の一人に留まった。今回は野党共闘がうまくできなかったが、野党共闘が積極的に行われた前回は、自民勝利の一人区は二二、野党勝利の一人区は一〇で、一人区においては野党共闘の成否が大きく作用している。
今回自民は改選議席の過半数を超える六三議席を獲得。非改選を含めた総議席では、自民・公明の与党で、過半数を大幅に上回る一四六議席を獲得。
<改憲勢力が参議院でも改憲発議に必要な三分の二を確保>
次に各党の公約と公約テーマごとの勢力図を比較した。
改憲を掲げる自民、公明、維新、国民、NHKなどの改憲勢力で改憲発議に必要な三分の二議席を参議院でも確保した。衆議院ではすでに三分の二を確保。但し改憲といっても、九条改憲に絞ってみると、公明党などは九条改憲に消極的であり、九条改憲推進派が三分の二を確保しているとは言えない。
防衛力増強については、明確に反対している政党は、共産、社民、れいわ、だけであり、 圧倒的に賛成派が多いが、GDPの二%以上の防衛力予算措置という数字については、異論も多い。
消費税引き下げについては、与党で過半数の自民と公明が反対。野党は引き下げに賛成の政党が多いが、廃止か引き下げか、それも恒久的引き下げか、時限的か、引き下げ幅などの違いがある。
原発については、再稼働促進の自民,国民、NHK、参政と、脱原発をめざして利用低減の立民、公明、維新と、即時ゼロの共産、れいわ、社民の三つに考え方が分かれている。
選択的夫婦別姓について明確に反対しているのは、参政党だけであり、自民、NHKはあいまいにしている。他の政党はおおむね賛成しており、さらに維新、れいわ、社民は同性婚も是認。
<各政党の選挙結果とこれまでの推移>
●自民党の党勢はかろうじて横ばい
●立憲民主党は退潮気味
●公明党は高齢化などによる支持者の低落傾向
●国民民主党は漸減、労組依存を脱却できるか
●維新は比例票は大幅増で野党第一党だが、選挙区は伸びず
●共産党は低落傾向に歯止めがかからない
●れいわ新選組はやや伸び悩み
●社民党はかろうじて政党要件を維持
●NHK党は引き続き政党要件を維持
●参政党も政党要件を満たす、比例票は社民党とNHK党を上回る
<注目された選挙区選挙結果>
・岩手選挙区:「小沢王国」の牙城が崩れた
・宮城選挙区:前々回野党統一で勝利した、桜井充が今回自民党から立候補し当選
・山形選挙区:自民党が候補者選びで迷走
・東京選挙区:各党がしのぎを削った六人区
・神奈川:補欠選挙が加わり議席五人に
・静岡選挙区:国民の候補者を維新が推薦
・京都選挙区:国民は維新候補を推薦したが、落選
・大阪選挙区:引き続き維新二議席確保
・香川:立民と国民の代理戦争の結果は、自民の勝利
<全議席を比例代表で実施した場合の政党別議席数の試算>
全議席を比例代表にした場合、自民は二〇議席減、立民は一議席減、他の政党はすべて議席増になる。
<参議院選挙を通しての課題>
① 参議院の役割は何か
② 参議院選挙制度の問題点と改革案は
③ 政党の活動資源は何か(理念・政策、リーダー、組織、党員、支持団体、政治資金等)
④ 参議院選挙で見えてきた選挙運動の変化
・SNSを通じる選挙運動の活発化
・知名度の高いタレント候補の積極的な擁立
⑤ メディアの選挙報道の在り方
報告終了後、会場とZOOMの参加者を交えて活発に質疑応答や議論がなされた。選挙戦終盤に起こった安倍元首相の銃撃事件の影響も議論された。
(まとめの文責:紅林進)
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