[CML 063560] 「変えよう選挙制度の会」1月例会・2月例会のご報告

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2022年 2月 11日 (金) 22:47:53 JST


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紅林進です。




「変えよう選挙制度の会」の1月例会と2月例会の報告を要約したものをお送りさせていただきます。

両報告の報告者であり、同会代表の田中久雄氏にはこのまとめの文章をチェックしていただきましたが、

田中氏の報告自体は多岐にわたり、内容も詳細なため、限られた字数でまとめられない部分もあり、

私のまとめが不適切なところもあるかもしれませんが、もし田中氏の報告を適切にまとめられて

いないとすれば、私の責任です。

この1月例会と2月例会の報告は、来月開催される3月例会の報告とともに、私も編集委員の一人になって

います季刊雑誌『季刊 フラタニティ』No.26(5月1日発売予定)に掲載する予定です。(連載しています。

ただし誌面字数の関係で、多少変更がある可能性もありますが)




紅林 進

qurbys @ yahoo.co.jp




(以下、「変えよう選挙制度の会」の2022年1月例会と2月例会の報告まとめ)




変えよう選挙制度の会一月例会「地方議会の懲罰権に司法権はどこまで及ぶか?」報告

 

本年最初の一月例会は一月一二日(水)に飯田橋の東京ボランティアセンターの会議室とオンラインで開催。田中久雄当会代表が報告。司会は当会の紅林進。参加者は会場九名。オンライン七名。

地方議会は、議会運営を円滑に行うために自律権の一環として紀律権と懲罰権を有しているが、最近この懲罰権の濫用が目立つようになった。地方議会、とりわけ市町村議会では年配の男性議員がほとんどというところが少なくなく、往々にして古株のボス議員が議会運営を取り仕切る慣行が定着している。そういういわゆるオールド・ボーイズクラブのような議会において、とくに女性議員がそれまでのおかしな慣行などに異議を唱えると、報復的に懲罰処分が行われている事例が生じている。

それを不服として訴訟を起こす勇気ある女性議員も目立つようになったが、それを受けて立つ司法側の立場はいまいち煮え切らない状態である。

懲罰権は、地方自治法によると除名、出席停止、陳謝、戒告と4種類が存在する。最高裁はこれまで地方議会の自律権を名目に、除名のみを審査対象としてきたが、最近になってようやく出席停止も審査できるという判例変更を行った。しかし、陳謝と戒告については依然として従来のまま審査の対象としていないが、はたしてその判断が妥当なものなのか?

今回は、地方議会の懲罰処分と、それに対して司法権はどこまで及ぶべきかについて、参加者とともに考えた。

田中氏の報告では、先ず懲戒処分に関する最近のいくつかの争訟事例を紹介し、地方議会の議員の権限と義務、議会の紀律権、議会の懲罰権について説明した後、懲罰権についての考え方として「特別権力関係」「部分社会論」などを紹介。そして地方議会における懲罰権の問題点や住民代表性との関係、議員の人格権、議員の地位について述べた。そして懲罰権に対する最高裁の判例の推移に触れ、地方議会の除名、出席停止、陳謝、戒告の4種類の懲罰権のうち、現在の最高裁は、除名と出席停止のみを司法審査の対象としているが、国民の裁判を受ける権利(憲法第三二条)から言っても、陳謝や戒告を含めてすべての懲罰が司法審査の対象となるべきだと田中氏は述べた。最後に、地方議会の自律権の本来的な発揮の事例として、自治体の基本条例制定や住民参加を促進する制度の導入、住民投票条例制定などの動きを挙げた。

報告の後、会場とZOOMによる参加者を交えて、質疑応答や意見表明が活発に行われた。

(文責:紅林 進)

 




変えよう選挙制度の会二月例会「世襲議員はなぜはびこるのか?(政党近代化の途は)パート1」報告

 

二月九日(水)に飯田橋の東京ボランティアセンターの会議室とオンラインで開催。田中久雄当会代表が報告。司会は当会の紅林進。参加者は会場十一名。オンライン十六名。会場参加の一人は長野からはるばる来場。

今回のテーマは、内容が多いので、パート1とパート2に分け、「政党近代化の途」については、パート2として、次回三月二日(水)の三月例会で行う。

世襲議員は外国にもその例はあるが、わが国のようにきわめてその割合が大きな国は世界に類がない。とりわけ、自民党に偏っているが、この世襲議員を生み出すメカニズムは一体何かを、今回、田中久雄氏が分析した。

田中氏の報告では、世襲議員の定義、現状から始まって、世襲議員を生むシステム、自民党に世襲議員が多い理由、世襲議員の政治資源、つまり地盤・看板・鞄の三バン、世襲議員にとっての有利な点、世襲議員の問題点、世襲議員を制限する試み、疑似的な世襲議員(組織内議員)の存在、政治家の主な供給源、政党と国会議員と地元団体との政治資金の関係、国会議員と政党等の地方組織との関係、国会議員と地方組織との政治資金の流れなどについて述べられた。世襲議員の弊害や問題点がこれまでも指摘されてきたし、世襲を制限する試みも行われたものの、効果は上げていない。世襲議員を生むシステムとして、地盤(地元の後援会や業界団体、系列の地方議員、地元の人脈など)、看板(親代々の知名度)・鞄(親などから引き継いだ相続税が非課税の資金管理団体、政党助成金、政治献金などの資金力)などの代々の政治資源の継承の面で世襲議員に有利に働く仕組みや当選しやすい世襲候補を優先して公認する政党側の姿勢などがあり、とりわけ小選挙区制においては、世襲議員の有するこれらの政治資源が百%発揮されることになる。そして長期政権党である自民党には世襲議員が多くなる。

報告の後、会場とZOOMによる参加者を交えて、世襲議員の是非やどうしたら世襲議員をなくせるかなど質疑応答や意見交換が活発に行われた。

(文責:紅林 進)




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