[CML 063529] 「変えよう選挙制度の会」2021年10~12月例会報告(季刊雑誌『フラタニティ』No.25(2月1日発売)に掲載)
qurbys @ yahoo.co.jp
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2022年 2月 7日 (月) 07:55:10 JST
紅林進です。
先ほど「変えよう選挙制度の会」の1月例会のご案内を再送させていただきましたが、
「変えよう選挙制度の会」の昨年10月~12月の月例会の報告を、同月例会の報告者であり、
同会代表である田中久雄さんにイチェックしていただき、私、紅林の文責で、同報告の
内容をまとめたものを、私が編集委員の一人となっています季刊雑誌『季刊 フラタニティ』
No.25(2月1日発売)に載せましたので、その内容を転載させていただきます。
(添付ファイルをご覧ください)
季刊雑誌『季刊 フラタニティ』
http://logos-ui.org/fraternity.html
紅林 進
qurbys @ yahoo.co.jp
(以下、『季刊 フラタニティ』No.25に掲載された「変えよう選挙制度の会」の2021年10月~12月例会の報告)
変えよう選挙制度の会十月例会「最近の世界の選挙結果とその制度(ノルウェー、ロシア、カナダ、アイスランド、ドイツ)」報告
十月例会は十月一三日(水)に飯田橋の東京ボランティアセンターの会議室とオンラインで開催。九月に実施された右記五か国の選挙結果と各国の選挙制度について、田中久雄当会代表が報告、解説した。司会は当会の紅林進。参加者は会場八名。オンライン一五名。
報告では、ノルウェーは自由名簿式比例代表制による一院制。九月選挙の争点は気候変動対策と石油・ガス産業対策で、これまで中道保守連立政権であったが、早期のカーボン・ニュートラルの実現と石油・ガス産業依存体質の脱却を訴えた労働党などの中道左派政党が勝利。
ロシアは九月末に下院に当たる国家院の選挙が行われたが、日本と同じ小選挙区比例代表並立制で、比例は全国一区で拘束名簿式。プーチン与党の統一ロシアが前回よりも議席を減らしたものの、憲法改正が可能な三分の二を確保。五七議席を獲得した共産党ほか、公正ロシア、自由民主党はいずれもプーチン体制に従順な体制内野党。拘束されている反体制派の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は「過激派」に指定され立候補を禁止された。
カナダの下院に当たる庶民院の選挙制度は単純小選挙区制。トルドー首相は任期満了まで二年を残していたが、高支持率を背景に与党の単独過半数を狙って選挙の賭けに出たが、コロナ禍の選挙に批判が高まり、結局単独過半数は得られず。小選挙区制のため、野党保守党は前回同様、得票率では与党自由党を上回ったが、議席数では敗北した。
アイスランドは一院制で拘束名簿式比例代表制。女性議員の比率が高い。四年前の選挙で、左派、保守、中道右派が政策の違いを超えて大連立。今回の選挙では与党三党が過半数を獲得したが、各党の議席の変動があり、現首相の続投は不確定。
ドイツの下院に当たる連邦議会の選挙制度は小選挙区比例代表併用制。メルケル首相が引退することになり、九月二六日に行われた選挙では、社会民主党と緑の党が大幅に議席を伸ばし、キリスト教民主党・社会同盟は大幅に議席を減らした。例会の時点では各党間の連立交渉が行われていたが、その後、社会民主党、緑の党、自由民主党の三党連立政権が成立。
報告の後、質疑応答が活発に行われた。
変えよう選挙制度の会一一月例会「衆院選挙は終わった。さあ、みんなで結果を分析しよう!」報告
一一月一〇日に東京ボランティア・市民活動センターの会場とオンラインで開催。会場参加は九名、オンライン参加(申込者)は二五名。報告者は田中久雄当会代表、司会は小杉衛氏。
田中氏の報告は、各党の獲得議席数や小選挙区、比例代表各々の得票数、得票率などの基本的データを提示した後、各党のこれまでの小選挙区と比例代表における得票率、得票数、議席数の推移をグラフなどを使って説明。また今回総選挙における女性議員の当選数と当選割合、一票格差の問題、野党共闘の結果、維新の躍進、無党派層と若者層の投票先(出口調査)、大物議員の落選・復活の事例、今回の選挙結果についての世論調査(朝日新聞)、今回選挙の争点、今後の課題などについて報告した。野党共闘については、細かく分析したが、共闘は一定の成果は生んだものの、全体的には自公が勝利した。しかし五%未満の僅差で当選した自民党候補者が増加し、一〇%以上の得票率の差で勝利した自民党候補は二〇一二年の選挙の約七割にまで落ち込んだことからも、野党共闘はそれなりの効果を発揮したといえる。
田中氏の報告の後の会場参加者とZOOM参加者を交えた意見交換では、活発に議論が行われ、野党共闘の問題や維新の躍進の問題も大きな論点となった。維新は躍進したのではなく、前回の落ち込みから復調したに過ぎないという意見も出された。女性議員をいかに増やすかも議論された。
変えよう選挙制度の会一二月例会「落選運動とは何か!~公職選挙法との関係で~」報告
一二月一日に東京ボランティア・市民活動センターの会場とオンラインで開催。会場参加八名、オンライン参加一八名。報告者は田中久雄当会代表、司会は紅林進。
田中氏の報告は、落選運動の具体的な事例として、大規模に行われた韓国の落選運動の事例を紹介した後、IT企業サイボウズ社長の青野慶久氏が行っている夫婦別姓や同性婚を認めない政治家に対する落選運動、そして横浜市長選に際して元検事の郷原信郎氏が行った落選運動を紹介。次いで落選運動の性格と公選法上の位置づけについて述べ、落選運動については法律上の定義はなく、判例によって「何ら当選目的がなく、単に特定の候補者の落選のみを図る行為」とされてきたとのこと。それは特定の候補者を当選させるための「選挙運動」には当たらず禁止されないが、候補者が二人しかいない場合は、一方に対する落選運動は、実質もう一方の候補者を当選させることにつながるため、違法とされ、また公正な選挙運動を妨害するような行為も処罰の対象となる。インターネット等を利用して落選運動を行うためには、氏名やメールアドレスなどの表示義務が課せられる。なお落選運動ができるのは個人に限られ、団体で落選運動をすることは公選法上できない。ただし選挙期間中でなければ団体でも行える。落選運動を行う時の注意点として田中氏は以下の五点を挙げた。①個人で行うこと、②他の候補者の当選を意図する運動でないこと、③虚偽の情報でないこと、④候補者を誹謗中傷するものでないこと、⑤情報の発信者のメールアドレス、氏名、名称などを表示すること。
そして田中氏は、落選運動の効果が見て取れることから、落選運動をもっと普及し活用すべきと述べ、国民が主権者であり、自由な政治活動を行うことは、主権者としての権利であり義務でもあり、より自由に選挙運動を行えるように、公選法の抜本的な改革が求められるが、落選運動もその突破口の一つとなることが期待できると述べた。
田中氏の報告の後、会場とZOOMでの参加者を交えて、質疑応答や意見交換が実際の選挙の事例などにも触れながら活発に行われた。
(文責:紅林 進)
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田中久雄著『時代遅れの二大政党制──小選挙区制廃止、比例代表制実現を』
ロゴス 2021年10月出版、1760円(税込)
紀伊國屋書店での取り扱い
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784910172095
紅林進編、宇都宮健児・田中久雄・西川伸一・紅林進著
『変えよう!選挙制度──小選挙区制廃止、立候補権・選挙運動権を』
(ブックレット・ロゴスNo.14)ロゴス、800円+税
http://logos-ui.org/booklet/booklet-14.html
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