[CML 063484] 複数の立憲野党が小選挙区に複数の候補者を立てることで比例区票を積み増しできるのか

OHTA, Mitsumasa otasa @ nifty.com
2022年 2月 2日 (水) 19:00:16 JST


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2021年衆院選の分析で残っていたものです。立憲民主党の中にも小選挙区への立候補で比例区票を稼ぐ戦術の必要性を語る議員がいましたので、これを検証する必要があります。21年に加え、17年についても分析しました(17年については一部公表済み)。16枚あるグラフは下記のブログなどでご確認ください。


太田光征

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複数の立憲野党が小選挙区に複数の候補者を立てることで比例区票を積み増しできるのか
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/485397078.html
https://www.facebook.com/mitsumasa.ohta/posts/1542036612855822

複数の立憲野党が小選挙区に複数の候補者を立てることで全体として比例区票を積み増しできるのかどうかを検証するため、2017年衆院選と2021年衆院選について、立憲野党の小選挙区への立候補パターン別に比例区票を集計して比例区得票率を求め、パターン間で各党の比例区得票率を比較しました。分析対象は千葉・東京・神奈川・大阪の4都府県です。

分析手法として、野党(立民、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党、国民民主党、希望の党)候補の組み合わせに基づいて、簡易分類(立憲野党から立民のみ、立民とその他の立憲野党、立民以外の立憲野党)と詳細分類の2分類でパターン分けし、パターン間で比例区得票率を比較します。

2つの比較を行います。1つ目として、立民の立候補の有無の違いが同党と立憲野党全体の比例区得票率に及ぼす影響をみます。立民は選挙区によって「基礎力」の差が大きいので、各パターンの比例区得票率のデータを立憲野党全体の得票率が高い順に並べ、立民の立候補の有無が上下で連続しているパターン同士を比較します。2つ目として、立憲野党全体について、各都府県別・パターン別に比例区得票率の平均得票率からの乖離度を求め、乖離度を4都府県全体で単独候補・複数候補別に集計・平均化して比較します。

【結果の要旨】

・立民は、小選挙区が「立民以外の立憲野党」のパターンより「立民とその他の立憲野党」のパターンで、共産・れいわ・社民の比例区得票率の減少分を差し引いて比例区得票率を最大3.3ポイント程度増やしているが(神奈川は例外)、同党の「基礎力」の変動範囲(2.1~5.2ポイント)に収まる程度であり、比例区票の積み増し効果はありそうにない。
・立憲野党(17年:立民・共産・社民、21年:立民・共産・れいわ・社民)全体の比例区得票率の平均得票率からの乖離度がプラスとなる例は、17年が単独候補の場合で平均1.9ポイント、複数候補の場合で平均2.4ポイント、21年が単独候補の場合で平均1.8ポイント、複数候補の場合で平均2.0ポイントとなった。積み増し効果はあったとしても最大で0.5ポイント程度しかない。
・共産は比例区得票率のパターン間でのばらつきが最も少ない。
・共産と社民は、一方の比例区票が増えれば他方が減るトレードオフ関係にある。


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