[CML 066113] 関西救援連絡センターニュース 2022年12月

shoichi matsuba mauricemerleau @ yahoo.co.jp
2022年 12月 12日 (月) 10:33:13 JST


第365号 2022年12月
関西救援連絡センター
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■絞首刑は残虐な刑罰 第三の死刑関連訴訟を提訴

 十一月二九日、絞首刑は残虐な刑罰であり、憲法三六条に違反するとして、絞首刑執行差止等を請求する訴訟が大阪地裁に提起された。原告は死刑確定者三名。
 訴状は、絞首刑がいかに残虐な死刑執行方法であり、人間の尊厳を傷つけるものであるかについて、百数十頁にわたって詳細に述べている。
 請求内容は、以下である。
① 行政訴訟法三七条の四に基づく絞首刑の執行の差止め。
② 行政訴訟法四条に基づき絞首刑による死刑執行を受任する義務の不存在の確認。
③ 死刑確定者は、本来受忍義務のない絞首刑の執行に対してなんらなす術もなく、苦悩と苦痛、不安に満ちた毎日を送ってきたとして、国賠法一条一項による損害賠償請求。
 第一回口頭弁論は現在未定。
・憲法三六条
 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
・行政訴訟法三七条の四(差止めの訴えの要件)
 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
 差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
 …(以下略)…
・行政訴訟法四条(当事者訴訟)
 この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。


■告知当日の死刑執行違憲国賠 第四回口頭弁論報告

 十月二一日、第四回口頭弁論が開かれ、九月三十日付原告第一準備書面が陳述された。 
 被告第二準備書面では、原告ら主張の自由権規約と人間の尊厳(憲法十三条)について反論がされており、それへの再反論である。
被告は、「死刑(執行)という法制度において、死刑執行の告知によって死刑確定者が自らに対する死刑執行(の時期)を知ることとなる利益は、反射的ないし事実上の利益にすぎず、権利や保護された利益として扱うことが念頭に置かれていない」「執行の便宜のために事実上されるものであるから、被執行者(死刑確定者)に対していつ死刑の執行を告知するかは、執行実施機関(刑事施設の長)に委ねられている」と主張し、死刑確定者に対する死刑執行の告知をするかどうかはもちろん、その実施態様(時期)も、執行する側の裁量であるとする。
 しかし規約人権委員会は、保障された「人権」として死刑確定者への告知義務は当然として、「事前の告知義務」を認めており、日本政府に対し繰り返し「予定されている死刑執行の日時について合理的な事前の告知が与えられるべき」との勧告を行っている。これに対し、日本政府も告知義務を前提として「死刑執行の告知については、死刑確定者本人に対して、執行の当日、執行に先立ち行う」と回答している。
 被告は「死刑の告知は、法に定められていない、執行の便宜のためのものにすぎない」とするが、「死刑の告知」が法に定められていないことこそが問題である。
 被告は事前告知をしない理由として、「死刑の執行を受ける者の心情の安定を著しく害する等の弊害を回避するため」としている。しかし、これは「死刑確定者の心情の安定」を根拠に、死刑確定者の権利(事前告知をうける権利)の制限をしており、刑事収容施設法の衆議院法務委員会の付帯決議「死刑確定者処遇の原則に定められている「心情の安定」は、死刑に直面する者に対する配慮のための原理であり、これを死刑確定者の権利を制限する原理であると考えてはならないこと」に反する。
 被告は死刑確定者が事前告知により「心情の安定」を損なうことによる「自殺・自傷や他害」のリスク)と、他の死刑確定者への影響を主張するが、事実の裏付けがなく、証明されていない。
 訪れる死が確実である場合、残された時間がどれだけあり、その間自分がどのように生きるかを決めることができること(自己決定権)が、憲法十三条に保障された人格権であり、事前告知が行われないことは、人格権侵害である。
 この書面では、事前告知において、死刑確定者が平穏に心情も安定し、様々な癒しをうけて執行されていた事実として、玉井策郎大阪拘置所所長作成テープを始めとして、平田友三検事、野口善国弁護士、免田栄獄中ノート記載の二宮邦彦氏と津留静生氏のケースも述べられている。
 この準備書面とともに、玉井策郎大阪拘置所所長作成テープも証拠として提出された。 
 被告第三準備書面も陳述され、「訴え自体が判例法理に反しており、本来刑事訴訟で争われるべきものである」「原告主張の権利利益は刑訴法五〇二条の異議申立の事由にあたらない」として、判例を列挙して主張がなされている。
第五回口頭弁論 十二月二二日十五時~ 大阪地裁二〇二号法廷
第六回口頭弁論  三月十七日十五時~ 大阪地裁二〇二号法廷
※玉井大阪拘置所長作成テープの概要は、フォーラム90の「響かせあおう死刑廃止の声2022」 『死刑囚最期の声を聴く』のユーチューブで視聴できる。



■再審中の死刑執行による弁護権侵害国賠 第七回口頭弁論報告

 十一月三十日午前十時から、第七回口頭弁論が開かれた。
 被告からは、原告第三準備書面に対する反論として第七準備書面が陳述され、「自由権規約委員会又は国際機関等による勧告、期待及び要請等に応じるか否かの問題と、職務上の法的義務を負うか否かとは別次元の問題」「自由権規約委員会の一般的意見に法的拘束力がない以上、これを根拠として国賠法上の職務上の法的義務を導くことはできない」との主張が行われた。
 また、原告ら請求の「文書提出命令」に対しては、この日決定が出されたが、対象の文書について被告は争っているわけではないので、文書の提出の必要はないとして、請求を退けた。
 原告らは現在、憲法三一条および自由権規約についての準備書面、学者意見書の提出を検討している。
 第八回口頭弁論 二月八日十時 大阪地裁二〇二号法廷
 第九回口頭弁論 五月十日十時 大阪地裁二〇二号法廷

憲法三一条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

■京都・主基田抜穂の儀違憲訴訟 第八回 口頭弁論報告

 十一月七日午前十一時半から京都地裁大法廷で、第八回口頭弁論が開かれ、裁判長らの交替にともない弁論更新手続が行われた。弁論更新手続に先立って、弁護団長から述べられた原告らの主張の要約は以下の通り。
 準備書面一・二では京都府知事らが参列した儀式は神道儀式であること、準備書面三では大嘗祭の歴史的変遷を、準備書面四・五で本件各参列と各支出が政教分離原則に反し違憲であるとする根拠を、準備書面四・五では、「大嘗祭には服属儀礼としての性格があり、国家・地方公共団体または公務員が関与し、天皇が主権者で自分たちが臣下であるかのように振る舞うことは、国民主権に反している」根拠を説明した。津地鎮祭及び愛媛玉串料に関する大法廷判
決に照らせば、本件儀式は「慣習化した社会的儀礼」ではなく、大嘗祭関連の小法廷判決は目的効果の判断をしていない。
 また第六準備書面が陳述され、佐々木弘通東北大学教授の論稿を踏まえ、国家と皇室祭祀との完全な分離を要請している日本国憲法の政教分離原則に違反していることが主張された。象徴である天皇が公的領域において皇室祭祀を執り行えば、それは国家と宗教の結合を意味し政教分離原則に反する。ゆえに、国家機関たる天皇の行動には徹底的な非宗教性が求められ、天皇が皇室祭祀を執り行う場合には、完全な私的領域での実施が求められる。これが、象徴天皇制が存置された「立憲的意味の憲法」たる日本国憲法における皇室祭祀に関する政教分離原則の考え方である。
 次回口頭弁論では、原告から証人申請、被告からは原告第六準備書面への反論が提出される予定である。



★関生弾圧公判日程一覧
 変更されることもあるので直前に確認を!!
※傍聴券は抽選。抽選の〆切時間は、裁判によって異なるので、「傍聴券交付情報-裁判所」で検索して確認を。
※裁判や被疑事件の等の詳細については
連帯広報委員会(http://rentai-union.net/archives/2467)
労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会(https://www.facebook.com/groups/1078892485618879/)
関西生コン労組つぶしの弾圧を許さない東海の会 (https://kannama-tokai.jimdofree.com/) 
稲村守(かんなま勝手連しが)で検索を。

◆大津地裁◆
コンプライアンス事件「湖東協8・28(恐喝未遂・恐喝)、大津協11・27(威力業務妨害)、湖東協2・5(威力業務妨害)、大津協6・18&7・17&8・20(威力業務妨害)弾圧」(湯川氏他5名)(合議)
 3月2日13時15分~ 判決
フジタ事件「湖東協2・5弾圧(恐喝未遂+威力業務妨害)」(9名)(単独)
 いずれも10時~(内容は未定)
  12月19日
  2月28日(火)13時
  3月27日(月) 未定
◆京都地裁◆第2刑事部
「加茂生コン(強要未遂・恐喝未遂)、近畿生コン(恐喝)、
ベストライナー事件弾圧(恐喝)」(武+湯川氏)
 以下、いずれも10時~ 検察側請求証人
  12月22日/1月19日/2月2日/3月9日
◆大阪高裁◆
「大阪11・21弾圧(威力業務妨害)」「湖東協8・28弾圧(恐喝未遂)」「タイヨー生コン4・11弾圧(恐喝)」(武氏)
大阪高裁第2刑事部
 7月13日大阪地裁判決(懲役3年、執行猶予5年:未決算入190日、求刑8年)
 1月16日15時~ 第1回
 3月13日15時~ 第2回
「和歌山広域7・22弾圧(強要未遂+威力業務妨害)」(3名)
 12月12日14時30分~ 第1回
 3月6日14時30分~ 第2回
◆上告中◆
「加茂生コン事件弾圧(恐喝未遂)」(2名)

★★関生の新しい映画ができました!
「私はやめない」  ――聖子は静かにそう話した。
 2018年、空前の労働組合弾圧事件が関西ではじまった。業界ぐるみの大量解雇、そして、警察・検察がつぎつぎに組合員を逮捕していく。家族が引き裂かれ、多くの仲間が去っていった。それでも彼女らが踏みとどまるのは、なぜか。
 詳細は「関西地区生コン支部への不当弾圧に対する闘いを支援する会」(略称・関西生コンを支援する会)の公式ウェブページへ。



■公判日程
12月14日15時   センター強制排除反対訴訟    大阪高裁(民)判決
12月15日14時   マイナンバー違憲訴訟      大阪高裁(民)判決
12月22日15時   当日告知死刑執行違憲訴訟    大阪地裁(民)第5回
12月23日14時   京大タテカン訴訟*       京都地裁(民)第8回
1月31日10時半   京都・主基田抜き穂の儀訴訟   京都地裁(民)第9回
2月2日14時40分   フェミニズム科研訴訟*    大阪高裁(民)結審?
2月8日10時     再審中の死刑執行国賠     大阪地裁(民)第8回
2月9日14時半    琉球遺骨返還訴訟*      大阪高裁(民)第3回
2月27日11時-14時半 吉田寮現棟/食堂明渡請求訴訟* 京都地裁(民)第16回
3月17日15時     当日告知死刑執行違憲訴訟   大阪地裁(民)第6回
3月27日11時-14時半 吉田寮現棟/食堂明渡請求訴訟* 京都地裁(民)第17回
5月10日10時    再審中の死刑執行国賠      大阪地裁(民)第9回
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*は傍聴券が抽選になる可能性の高い裁判
※京都・主基田抜穂の儀違憲訴訟の詳細は下記のURLへ
 http://noyasukuni.g2.xrea.com/sukidensosyo/cyottomatta.html
「靖国合祀イヤです訴訟」で検索して→「京都・主基田抜穂の儀違憲訴訟」へ
※吉田寮現棟/食堂明渡請求訴訟は下記のURLへ
 吉田寮公式サイト https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/
 吉田寮広報室 https://twitter.com/yoshidaryo_koho
※「マイナンバー違憲訴訟」 詳細は、「共通番号いらないネット」のHP
→「マイナンバー訴訟」で確認を
※フェミニズム科研費裁判
 詳細はフェミ科研費裁判支援の会のHPへ http://kaken.fem.jp/

★即位・大嘗祭違憲訴訟第13回口頭弁論
  2月13日(月)11時~ 103号法廷
詳細は、即位・大嘗祭違憲訴訟の会 HPへhttp://sokudai.zhizhi.net/
★ノーハプサ2次訴訟控訴審 第6回口頭弁論
  1月17日(木)2時~ 高裁101号法廷



■催し物など案内

◆シリーズ勉強会「デジタル・フォレンジック鑑定と向き合うために」
【犯罪学研究センター主催】
第2回『コンピューター犯罪の裁判事例』
12月17日(土)18:00-20:00
 - オンライン(Zoom) 定員:300名
 - 参加費:無料
 - 講師:遠山大輔 氏(弁護士)
 ※事前登録制/申込期限:12/16(金)5時


◆司法改革大阪各界懇談会
12月定例会(Zoom)申込みはFBから
12月20日(火)午後7時~8時45分
刑事裁判のIT化について
講師:山本了宣弁護士
昨秋の第32回近畿弁護士会連合会人権擁護大会シンポジウム2日目の報告書もご参照ください。
近弁連シンポジウム「『ようわからん』では済まされない!! ――刑事司法IT化の光と影」


◆【公開シンポジウム】死刑を考える一日 絞首による死刑は残虐か
テーマ:死刑執行の現場から 絞首による死刑は廃止できるか
2022年12月23日 13:30 ~ 18:00 龍谷大学深草キャンパス 3号館301教室
【プログラム】
【第1部】 死刑とはどんな刑罰なのか? 
13:30-13:45 企画の趣旨「死刑を考える1日について」(石塚伸一)
13:45-14:15 死刑とはどういう刑罰か 「絞首刑」(制作・大阪弁護士会)の上映
14:15-14:45 龍谷大学の死刑への取り組み 2015年7月シンポジウム「宗教教誨の現在と未来~日本人の宗教意識~」記録映像の上映
14:45-15:00 質疑応答

15:00-15:15 =休憩=

【第2部】  みんなで死刑について考える
15:15-15:45 対談
   話し手:元刑務官(本学卒業生)
   聞き手:堀川恵子さん(ジャーナリスト、ノンフィクション作家)
15:45-16:00 質疑応答
16:00-16:45 リレートーク「いま、死刑は動いている」
 ナビゲーター:石塚伸一
 ・弁護士から見た死刑執行 | 金子武嗣・弁護士「大阪地裁の3つの国賠訴訟」
 ・キリスト者から見た死刑 | 五十嵐弘志・NPO法人マザーハウス理事長「ローマ教皇と死刑」
 ・研究者から見た死刑 | 石塚伸一・本学法学部教授「死刑との出会い」

16:45-17:00 =休憩=

【第3部】  みんなで死刑について考え、そして、語りましょう
17:00-18:00 フリーディスカッション
要事前申込:龍谷大学犯罪学研究センターのHPから 



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