[CML 061531] 竹島=独島問題の研究は完成期

BSPark gk374523 @ qb3.so-net.ne.jp
2021年 5月 6日 (木) 15:15:54 JST


 半月城です。

 昨年3月末、島根県の「竹島問題研究会」は新たな研究テーマ探しが困難に

なったためか、解散になりました。そろそろ、竹島=独島問題の研究は完成期

に入ったようです。これまで日本では竹島=独島問題をめぐって研究者間で熾

烈な論争がなされましたが、これもそろそろ終わりそうです。そうした状況を

明らかにした論文を次に紹介します。



朴炳渉「2000年以降の竹島/独島に関する日本学界の歴史学研究」

 『獨島研究』29号、2020

 http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-2012j-jap.pdf

 韓国語の原文は, http://www.kr-jp.net/ronbun/park/park-2012-jap.pdf



 外務省は、日本は17世紀半ばには竹島=独島に対する領有権を確立したと

主張していますが、上の論文では、これを支持する研究者は一人もいない、学

問的営為が問題とされる研究者ですら支持していないと述べています。

この論文の要約は次のとおりです。



 独島/竹島に関する日本語の論文にて研究者間の論争が熾烈である。特に池

内敏と塚本孝との間に熾烈な論争がくり広げられている。両者の見解差は次の

とおりである。

 ①17世紀の竹島/独島領有権に関して「最近」の塚本は、日本は歴史的権原を

有したとするが、池内は、日本は領有権を放棄したと主張する。

 ②塚本の「松島(独島)渡海許可」説について池内は「暴論」と結論づけた。

 ③元祿期の竹島(欝陵島)渡海禁止令について、塚本は松島(独島)への渡海は

禁じられていないとするが、池内は松島渡海禁止が含意されていると主張する。

 ④池内は、1740年代の寺社奉行は竹島・松島両島渡海禁制と認識したと主張

するが、塚本は疑問視する。

 ⑤天保竹島渡海禁止令について、池内は松島への渡航は許されないとするが、

塚本は問題ないと主張する。

 ⑥1877年、太政官指令にいう「竹島外一島」の比定について、池内は竹島(欝

陵島)と松島(独島)とするが、「最近」の塚本は竹島も外一島も欝陵島の可能性が

高いと主張する。

 ⑦1900年勅令第41号の石島の比定について「最近」の池内は独島だろうとする

が、「最近」の塚本はこれを独島とするのは韓国政府の解釈にすぎないと主張す

る。

 この池内-塚本論争にて池内の論証は不充分なときもあったが、それを朴炳

渉が補完した。池内の塚本批判に対し、塚本の反論は弱く、両者の論争には収

束の気配がみえる。一方、両者の見解が一致するのは、サンフランシスコ講和

条約によって竹島/独島が日本領に確定したという見解である。これに対して

朴炳渉は、同条約は竹島/独島の所属についていかなる解釈もしなかったと主

張し、同島は国際法上、ウティ・ポシディティス原則によって、韓国の所属と

なると主張した。



 なお、これ以外の最近の研究は下記を参照してください。

「竹島=独島問題ネットニュース」45、2021.5.5

http://www.han.org/a/half-moon/net-news/dokdo-45.html





CML メーリングリストの案内