[CML 060740] 講釈師たねが「島抜け」漂流は破嵐万丈...吉村昭

大山千恵子 chieko.oyama @ gmail.com
2021年 1月 25日 (月) 22:24:53 JST


*「島抜け」* 吉村昭 新潮文庫 <https://www.shinchosha.co.jp/book/111744/>

江戸時代。種子島 <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%AE%E5%AD%90%E5%B3%B6>
は鉄砲のほうじゃなくて、はるか彼方の流刑地の意味。弾圧された講釈師(今でいうと松元ヒロ)が島流し終身刑になっちゃったんだよねえ。

そこから脱出。小舟に載ったまま漂流して中国まで辿りつく。そして日本に戻りと、実際のことから丹念な取材のうえ小説にしたてたもの。執念の作。

著者のは「破獄」そして「長英逃亡」などなど脱獄ものが生々しいが、これもまた意味深い。職人肌の作家の乾坤一擲またひとつ。

*「欠けた椀」*は農民の貧困まざまざと。この時期に読むと、せつせつと身に沁みる。

*「梅の刺青」*
では150年前の解剖史。明治政府と医師たち。貧乏な梅毒の遊女が第一号。その後は死刑にした囚人を解剖する。引き取り手のないひと2ケ月で33人とか。露骨だなあ。



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大山千恵子
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