[CML 058844] 検察庁前で”賭け麻雀”!?「黒川杯」があぶり出した警察の横暴(藤倉善郎)
酒井徹
sakaitooru19830822 @ gmail.com
2020年 6月 5日 (金) 12:49:25 JST
検察庁前で”賭け麻雀”!?「黒川杯」があぶり出した警察の横暴(藤倉善郎)
https://hbol.jp/220288
辞職した黒川元検事長と同条件で賭け麻雀
東京・霞が関の検察庁前の路上で5月30日、
SNSで集った有志による
「検察庁前テンピン麻雀大会黒川杯」の第1回大会が
開催された。
朝日新聞、産経新聞の記者や元記者らとの賭け麻雀を
『週刊文春』に報じられ辞職した、
黒川弘務・元東京高検検事長にちなんだ賭け麻雀大会である。
レートは黒川氏と同じく「1000点100円(テンピン)」。
この大会の一部始終に密着した。
黒川氏は「訓告」処分止まりで懲戒とはならず。
また黒川氏は現在のところ、
賭博罪等での逮捕や送検はされていない。
「黒川杯」の参加者有志が大会会場で配布したチラシには、
こう書かれていた。
〈法務省刑事局の公式見解によると、
テンピン麻雀は問題ないらしいので、
「黒川基準」によるレート麻雀解禁を祝して
テンピン麻雀を公然と実施する運びとなりました。
新基準の礎を築いた黒川元検事長に最大限の敬意をし、
大会名に氏の名を冠しました。
また開催地は、
同じく黒川元検事長への感謝を込めて、
検察庁前といたします。〉
「黒川杯」はまず日時非公開のままネット上で告知され、
実際に開催されたのは5月30日午後3時から。
ウェブサイト等で日時が公表されたのは
開催とほぼ同時だった。
事前に主催者とやり取りがあった参加者、観戦者、取材者が、
現地に集合した。
この時点で取材に来ていた一般メディアはテレビ1社、
週刊誌1社。
それに私も含めフリーランサーが数人である。
現地到着と同時に大混乱
東京メトロ霞ケ関駅の改札口で集合した一行が
検察庁前に向かうと、
すでに警察車両が1台、待機していた。
検察庁前の歩道橋下で主催者が雀卓の準備を始める。
すぐに車から警官(たぶん)が降りてきて、
「通行の妨げになる。道交法違反だ」
と言った趣旨のことを告げて撤去を求めてきた。
警官(たぶん)と押し問答をする者、
牌を並べ麻雀の準備をする者、
「黒川杯」のプラカードを掲げるもの、
黒川氏の顔写真を掲げる者、
現場の状況を撮影する者、
警官(たぶん)による撮影や妨害に抗議の声を上げる者。
あっという間に大混乱に陥った。
警官(たぶん)が続々と応援に駆けつけ、
最終的には30人以上はいただろうか。
雀卓は歩道橋の階段下。
通行人の動線を塞がない隅に置かれていた。
実際に道を塞ぎ通行を妨げていたのは
警官(たぶん)たちである。
警官(たぶん)は、
主催者や参加者を押したり、
牌を並べようとする手を遮ったり、
あの手この手で邪魔をする。
途中から警官(たぶん)から警官(たぶん)に
「(雀卓を)囲め」との指示が飛び、
複数の警官(たぶん)が
参加者たちを押したり卓との間に身体を入れたりして、
卓を囲んだ。
もちろん、「麻雀を打つ」という意味ではない。
しかし「強制撤去」ではないようだ。
参加者たちが
「暴力だ!」
「器物損壊だ!」
「110番だ110番!」(最後のは私のセリフだった)
などと叫ぶと、
一時的ではあるが動きが遠慮がちになる。
「(麻雀を)やめて下さい。
お願いします」と繰り返しては、
主催者や参加者から
「それは要請ですよね」と言い返される。
そして私が確認できた範囲では、
参加者たちから身分を尋ねられて
所属や氏名を明らかにした警官は1人だけ。
「丸の内の警備員のマツシマ」さんだ(それって警察?)。
それ以外は、
警官の制服を着た「謎の人」であり、
スーツやジャージなどを着た、
それこそ本当に何者なのかわからない人物も混じっていた。
身分も明かさず法的根拠も明示せず、
事実上の邪魔はするが、
形式的には強制ではなく
“お願い”であるかのような体を貫く。
これが今回の警察(たぶん)の対応だった。
日比谷公園内に移動
検察庁前で30分ほど揉めただろうか。
麻雀を始めることすらできず、
主催者は撤収を決定。
キャスター付きの雀卓を押しながら、
日比谷公園を目指した。
雀卓の後を、
参加者や警官(たぶん)たち数十人が
大名行列よろしく行進する。
その間も、
参加者たちを撮影する警官(たぶん)や
身分を明かさない警官(たぶん)との間で
押し問答が続いた。
ある警官(たぶん)は、
身分の提示を求めた参加者に対して
「教える筋合いはない」と言い放った。
さらに、
同じ警官(たぶん)が、参加者につきまとって歩きながら
「ぶつかったら公妨(公務執行妨害)で逮捕だからな」とも
口走った。
日比谷公園に入っても警官(たぶん)たちがついてくる。
先ほどは「道路交通法」を盾に邪魔をしていたが、
日比谷公園は道路ではない。
公園の奥にある「健康広場」の隅で、
主催者が再び卓の準備を始める。
再び警官(たぶん)が群がり、
「やめてください」などと
「お願い」の体を装いながら邪魔をする。
警官(たぶん)の数は検察庁前よりもさらに膨れ上がり、
正確に数えてはいないが
最終的に60~70人にはなっていただろうか。
「黒川杯」の主催者・参加者・取材者は20~30人程度だ
(主催者発表では「参加者100人、うち警官60人」)。
しかも検察庁前のときより乱暴だ。
参加者の一人は警官(たぶん)に押し倒され、
地面に転がされた。
公園の広場内で遊んでいる家族連れなどが
怪訝そうにこちらを見ている。
ここでも、
騒ぎを大きくしているのは警察の方だった。
公園長も登場、そしていよいよ麻雀スタート
公園長を名乗る人物が、
公園事務所員らしき男性を従えてやってきた。
「公園内の占用はやめてほしい」(公園長)
「将棋ならいいんですか。
バドミントンのほうがよっぽど危険。
レジャーシートを敷いて
キャンプをするのもいけないんですか」(参加者)
「公園は緑と癒やしの空間で」(公園長)
「麻雀で癒やされる~」(私)
警官(たぶん)たちは、
ここでは
「公園の管理者がやめてくださいと言っている」
という理由で、麻雀開始の邪魔をするようになった。
「警察は(公園側と黒川杯側の)民事に介入すんなよ!」
(参加者)
「これは公園の正規の利用ではありませんから」
(警官(たぶん))
「公園の正規の利用って何ですか。
公園の清く正しい利用って何ですか」(参加者)
「ここは遊ぶような所じゃない」(警官(たぶん))
「公園法で決まっている」(警官(たぶん))
「公園法何条ですか?」(参加者)
「公園法で麻雀禁止なの?」(私)
「……」(警官(たぶん))
何か言うたびに参加者たちから言い返され、
結局は言葉ではなく
手や体を使って物理的妨害に走る警官(たぶん)。
女性参加者が切々と警官(たぶん)に訴えかける。
「なんで黒川さんが麻雀やっていいのに、
私達は警察に邪魔されなきゃいけないんですか。
黒川さんにさせてくれた麻雀を、
私達にもさせてください!
どうしても麻雀したいんです!
黒川さんは楽しく、
朝日の新聞記者と、産経の新聞記者と、
楽しく麻雀してました。
私達も彼らのように、
楽しく麻雀したいんです!
(黒川氏の写真の方を見ながら)
『麻雀のおかげでぼくは、
この、安倍(晋三首相)さんに気に入られるような
位置にまで上り詰めることができた』と。
この顔が、まさにおっしゃてるじゃないですか!
私達も麻雀のおかげで
皆さんとコミュニケーションを密にとり、
仲良くなりたいんです。
もっともっと登りつめて、
安倍さんに感謝の念を伝えたいんです!
麻雀をさせて下さい」
「ダメです」(警官(たぶん))
そしてついに牌が並べられ、麻雀が始まった。
私は麻雀がよくわからないが、
最初は私の脇で打っていた女性参加者が「リーチ」。
ほどなく「ツモ」。
女性は初心者だというので、
私が中継していたツイキャスの視聴者に
手牌を見せてアドバイスをもらっていたが、
一度上がった後は他の参加者からこれを禁じられてしまった。
その後、
私の向かい側で、
卓の正面に匂い立ちで陣取る警官(たぶん)たちの間から
手を伸ばしながら打っていた男性参加者が
「リーチ、一発、ツモ」とかいうもので上がった。
この間も警官(たぶん)が
参加者に話しかけたり手や体で遮ったりし続けた。
写真だと、
もはや警官が麻雀を打っているようにしか見えない。
午後4時半になった。
「健康広場」の閉園時間だ。
東3局で終了し、
「半荘で賭け成立」の条件を満たさなかったため、
金銭のやり取りはできなかった。
常習的にやりたい
終了後、主催者がインタビューに応じた。
「半荘できなかったのが非常に残念。
黒川さんの遺志を継げずに申し訳ない。
本当は賭けてカネをやり取りした後に
反省するつもりだったんですけど、
私の力不足です。
お詫びさせていただきます」(主催者)
謝罪会見だった。
「誰かが(我々の)遺志を継いで完全警護の下、
第2回をやってくれるかもしれませんが」(主催者)
「黒川さんは常習だったのでは?」(私)
「我々も常習していかないと」(主催者)
「メディアの取材用」なら賭け麻雀をしてもいい?
「健康広場」は閉鎖されたが
日比谷公園自体は開いていたので、
一行は広場外の公園内で一休み。
すると、
「黒川杯」のネット中継やTwitterでのリポートを見て
駆けつけた報道陣がパラパラと到着した。
うち一社のテレビ局の取材を受けつつ、
主催者と参加者たちが撮影用にまた雀卓を準備。
牌を並べ、
黒川氏の顔写真や朝日・産経新聞を卓上に置いた。
まだ遠巻きに見張っていた警官(たぶん)が近寄ってきたが、
主催者たちが「撮影用です」と説明すると、
それなら構わないという態度で引き下がった。
せっかくなので私は
財布からなけなしのお札を出して卓上に並べた。
すると、
別のスキンヘッドの警官(たぶん)が
「賭けてるの? 賭けてるの?」と詰め寄ってきた。
「撮影用だ」と言われると、
「賭けてるんじゃなくて撮影用に出してるだけ? 考えたな」
と言って遠ざかっていった。
「撮影用」なら、
麻雀をしようが卓上にお金が置かれていようが
問題ないらしい。
ならば、
次回以降は「撮影用テンピン麻雀大会」にすれば
警官(たぶん)は邪魔をしないのだろうか。
取材者にもお構いなし
私は、路上などの取材では極力腕章等を着けない。
公共の場での写真撮影等の取材活動に
許可はいらないのだから、
それをジャーナリストがやろうが
別の仕事を生業とする市民がやろうが全て自由であり、
腕章の有無で差別されるべきではないからだ。
しかしこの日は、
私が主宰するニュースサイト
「やや日刊カルト新聞」の腕章を着けていた。
警察と揉めることが目に見えており、
過去、
学生活動形のアジトで公安警察のガサが入れを取材した際に
警官から活動家の一味と間違えられ
乱暴に組み敷かれた経験があったからだ。
警察に向けて、
第三者による取材活動である旨を明示する意図で
腕章を着けた。
しかし全く意味がなかった。
雀卓の角に陣取っていた私に対しても、
警官(たぶん)は平気で押してきた。
私は大会が終わるまで
カメラを構えながら踏ん張り続けなければならなかった。
おかげで、
いま極度の筋肉痛に襲われながら本稿を執筆している。
警官(たぶん)からは
「撮影はやめてください」とも言われた。
もちろん従わなかったが、
どうやら取材をしてはいけなかったらしい。
主催者や参加者たちに対しては、
「路上(公園)での麻雀はダメ」といった趣旨のことを
口にした警官(たぶん)はいたものの、
私が把握できた範囲では
「賭け麻雀はやめなさい」との注意はなかった。
プラカードで
堂々と「テンピン」と謳っていたにも関わらず、だ。
「金賭けてるの?」と言質を取ろうとして
話しかけてきた警官(たぶん)がいただけである。
警察(たぶん)側は一貫して、
「道交法」と「公園法」あるいは
公園管理者の「意向」を妨害の理由として挙げた。
しかし具体的な条文を挙げることはなく、
道交法の関連で
「通行を妨げていない」という参加者の反論に対して、
「それは警察が判断する」としか説明できていなかった。
私自身は道交法にしろ公園法にしろ
法律の条文にも実際の運用にも詳しくはない。
しかしいずれにせよ、
警官が市民の行動に対して強制力を発揮する以上は、
市民側の反論に対しても
有効な法的根拠を示すのが手順というものではないのか。
言うまでもなく、
公共の場での取材活動をやめさせる権限も警察にはない。
根拠を示さず身分も示さず、
「お願い」の体で事実上の実力行使を行う。
同時に、
テレビの撮影用だと手を出さないという
恣意的な姿勢も見せた。
「黒川杯」は本来、
「黒川氏の賭け麻雀が逮捕や送検にならないのであれば、
同じ条件での賭け麻雀が解禁されたという認識で
よろしいか?」という
皮肉的な実地検証だった。
警官(たぶん)たちの妨害により賭けが成立せず、
この点は消化不良ではあった。
しかし賭博の摘発基準とは別に、
市民の行動や取材活動に対して
恣意的に強制力を用いるこの国の警察(たぶん)の本性を
見事にあぶり出した企画だった。
(ハーバー・ビジネス・オンライン)
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名前:酒井=徹(さかい=とおる)
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