[CML 052920] IK改憲重要情報(244)

河内 謙策 kenkawauchi at nifty.com
2018年 6月 16日 (土) 15:38:40 JST


IK改憲重要情報(244)[2018年6月16日]

 

私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。

 

(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)

 

弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策

 

連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所

電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884

 

河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。

 

http://www.southcs.org/

__________________

(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必らずしも河内と同一ではありませ
ん。御了解ください)

 

     日朝首脳会談について(続)

 

 日朝首脳会談について、安倍首相が本日のテレビ「ウェークアップ!ぷらす」に出
演し、以下のとおり述べました。

「すべての拉致被害者を日本に帰国させたとき、はじめて解決する。拉致問題が解決
しなければ、経済支援はおこなわない。金正恩朝鮮労働党委員長が、大きな決断をす
ることが求められる」「最終的には私自身が、金正恩委員長と向き合い、拉致問題に
資する会談としなければならない。相互不信という殻を破って踏み出したい」「(河
野洋平元衆議院議長の、拉致問題より国交正常化を優先すべきだ、という考えにつ
き)北朝鮮自身も要求しておらず、大変なサービスをされている。そういう発言は
(日本側の)交渉力をそぐ。私たちの大先輩であるから、大変残念だ」(「夕刊 フ
ジ」6月17日号第2面)

 以上の発言につき、2点コメントしたい。

 第一に、来るべき日朝会談につき、安倍首相は、自身の考えをオープンにし、国民
的討議でコンセンサスをまとめる姿勢を堅持していただきたい。たとえば、安倍首相
は、日朝会談のテーマにつき、

拉致問題にしぼっておられるが、それが一つの見識であることは私も認めるが、しか
しそうであれば、北朝鮮の非核化とミサイル問題については、米朝交渉を優先させる
ことを認めるが、日本はアメリカに交渉を委任していないから、米朝交渉が日本の立
場から見て不十分な場合、日本は独自の立場で交渉する固有の権利を持つ、という意
見表明がなされるべきであると考える。トランプは、そのことを分かっていない。自
分が日本のことを決める権利があるように誤解している。3兆円密約説がうわさされ
るが、日本がきっぱり否定しなければ、とんでもないことになるだろう。

 第二に、北朝鮮に何を要求し、どのレベルで妥協するかについても、国民的コンセ
ンサスが必要である。日本国家は拉致被害について損害賠償を要求する権利がありま
す。最終的に、被害者の帰国を優先させるにせよ、初めからこれをかかげないという
ことは、私は賛成できません。

 

  米中経済戦争について

 

 皆様御存じのように、アメリカは、知的財産権の侵害に関して中国を制裁する巨額
関税の発動を決めました。

 アメリカの今度の措置は、アメリカの北朝鮮外交の敗北から世界の人々の目をそら
せる動機もあるかも分かりませんが、それは副次的動機でしょう。「IK改憲重要情
報」でも、米中経済戦争を重視して取り上げてきましたが、渡邉哲也氏は、次のよう
に述べています。

「中国は、経済の発展とともに、みずからのルールを押し付け、他国への経済侵略を
開始し、アメリカの世界覇権に挑戦し始めた。そして、われわれ先進国にとって、中
国は不都合な存在になってしまったのだ」「今回始まった貿易戦争は、経済戦争の名
を借りた価値観のたいりつであり、道徳的価値観の戦争なのである」

(渡邉哲也『これからヤバイ 米中貿易戦争』徳間書店。この本は絶対“お勧め”

です。)

 

 米中経済戦争は、全世界的規模で展開され、激化している、米中覇権闘争の一環で
す。中東/アフリカで後退しつつあるアメリカにとって、世界の中で一番おいしいア
ジアは、絶対手放せないというところでしょう。ところが、アジアは、今、中国に大
きく傾いているのです。

 宮崎正弘は次のように述べています。

「現在のアジア諸国において米国と密接な絆を持つ国は日本、韓国、台湾とベトナム
であり、完全に中国側に転換したのはラオス、カンボジア、マレーシア、タイ、ミャ
ンマー、そしてブルネイである。

両天秤にかけての様子見がフィリピン、インドネシア、シンガポールという色分けに
なるだろうけれど、はっと気が付けば、南アジアでは、インドが保護してきた周辺国
のネパール、バングラデッシュ、スリランカ、パキスタン、モルディブが中国寄りへ
の傾斜という実態に驚愕の声をあげたように、米国はいま、アジアにおいて米国の同
盟国が減って、中国サイドに急傾斜している国々のおびただしさという現実(リア
ル)を目撃し、外交の転換を熟慮してきた。したがって、反中国という米国の姿勢
は、共和党タカ派のみならず民主党の多くも、そしてリベラルなニューヨークタイム
ズの論調もそういう方向へ変質しているのである。」

(宮崎正弘『アメリカの「反中」は本気だ アジア争奪の米中貿易戦争が始まった』
ビジネス社。この本は最近のアジアを知る上で必読本だと思います。お勧めしま
す。)

 

         以上

 



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