[CML 051546] IK改憲重要情報(215)
河内 謙策
kenkawauchi at nifty.com
2018年 1月 24日 (水) 15:41:50 JST
IK改憲重要情報(215)[2018年1月24日]
私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)
弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策
連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所
電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884
河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
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(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必らずしも河内と同一ではありませ
ん。御了解ください。)
鳥居民 著『昭和二十年』全13巻 草思
社刊 のお勧め
貴方は、鳥居民(とりい・たみ)という歴史家を御存知でしょうか。本名は池田
民、
1929年生まれで、2013年に亡くなっています。
彼は「毛沢東5つの戦争」とか「毛沢東と周恩来」とか「「反日」で生きのびる中
国」
などのすぐれた中国研究書を出版しているので、私の頭の中では中国研究者という評
価だったのですが、偶然、彼の日本物を読まなければならない事情ができて日本物を
読んで、初めて、彼がたぐいまれな優れた歴史家であることが分かりました。私の不
勉強をさらすようで申し訳ないのですが、遅ればせながら紹介させていただく次第で
す。
「昭和20年」は彼のライフワークで、なんと30年かけて研究を進めたもので、残念
ながら未完の作品です。
この作品は、昭和20年の日本を1日、1日洗い出します。私は、これを読んで初め
て、「ああ、父が話していたのはこういうことだったのか」と分かったことが一杯あ
ります。彼は、日本の支配層の中にもアジア太平洋戦争を回避しようという努力が
あったことを丹念に掘り出します。彼が洗い出した事実の中には、山本五十六が昭和
16年11月(!)に高松宮を通じて戦争回避の努力したという驚くべき事実もありま
す。
このように言うと、当面の9条改憲阻止の闘争にどれだけ役立つのか、という声が
あるかも分かりませんが、日本の平和運動の当面主義の弱点(当面が大事と言うこと
で、当面のこと以外には関心を向けず、物事をすぐ図式で判断してしまう性急な思
考)を克服するためには、正しい歴史意識が必要不可欠で、そのために役立つと思う
のです。
鳥居民氏は、いわゆる民主的研究者ではありません。政治的立場は「保守派」に近
いでしょう。したがって彼の方法的立場は、
マルクス主義では有りません。私流の要約では、事実の追及・確定とそれを基礎にし
た推論ということになるのではないでしょうか。
この方法論が縦横に駆使されている本書を読むと、いかに過去の方法論争というも
のが限界のあったものであったか、われわれが、いかに事実を軽視して、イデオロ
ギッシュに分析するという泥沼に足をとられてきたか、ということが分かります。そ
の意味でも、この本はお勧めです。
「13巻はどうも」と言う方には、彼の「山本五十六の乾坤一擲」「原爆を投下する
まで日本を降伏させるな」「近衛文麿「黙」して死す」という単行本のどれかを手に
取られんことをお勧めします。
以上
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