[CML 051472] IK改憲重要情報(213)
河内 謙策
kenkawauchi at nifty.com
2018年 1月 14日 (日) 17:46:51 JST
IK改憲重要情報(213)[2018年1月14日]
私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)
弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策
連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所
電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884
河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
__________________
(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必らずしも河内と同一ではありませ
ん。御了解ください。)
謹賀新年
遅くなって申し訳ありませんでしたが、今年もよろしくお願い申し上げます。
9条改憲阻止を熱烈に願う貴方に!
9条改憲阻止の熱い年賀状をいただき有難うございました。貴方の真摯な気持ちに
水をかける訳ではありませんが、
「遠くへ飛ぶものは、後ろへ下がらなければならない」という言葉があるように、
ちょっと立ち止まって考えていただきたいのです。
9条問題を国民はどうみているか
私が言いたいことは、国民は今回の9条問題を、日本とアジアの今後の進む方向の
中で考えようとしているということです。
ところが、9条改憲運動に熱中すると、
この国民の気持ちが分からなくなるのです。ものごとを9条改憲運動の方からだけ見
て、9条改憲阻止だけを言っていれば良いという幻想に陥るのです。国民が一番関心
があり、心配しているのは北朝鮮問題です。それについて沈黙を守ることの異常さが
分からなくなるのです。
日本の平和運動には、長い間一国平和主義の弱点があるのです。すべての国際問題
を国際問題と考えないで、国内問題に還元し、時の政府を攻撃する方向に矮小化する
方向です。私は、1990年代にペンタゴンを訪問し、今まで、ペンタゴンと議論する日
本人は来たことが無い、と言われて絶句したことが有ります。
北朝鮮問題に口を閉ざして9条改憲阻止に熱中する平和主義者を、日本の少なから
ぬ人々は冷たい目で見ているのです。
自己の主張が本当に説得力があるか
私が次にお願いしたいのは、自己の主張が本当に説得力があるか、よくよく考えて
欲しいということです。
日本の平和主義者のなかには、「北朝鮮問題は対話で解決を」という人がたくさん
います。
しかし、今の時点でそれを言うのなら、
今までの対話(例:六か国協議)はなぜ失敗したのか、今回の対話の主張は今までの
それとどこが違うのか、対話についてうまくいかないときはどうするのか、」
という説明が不可欠のはずです。
ところが、「対話」を主張する多くの人は、このような説明をせず、戦争はいや
だ、いう感情に依拠しようとするだけです。
私が心配しているのは、日本の核武装の問題です。多くの平和主義者は、こんなも
のは簡単に阻止できると思っているようですが、本当にそうでしょうか。アジア太平
洋戦争の時も、多くの国民は初めからアメリカとの戦争に賛成していた訳ではないの
です。「日本の生きる道はこれしかない」と考えを転換したのです。今回も、「自分
が死ぬよりは、相手を核兵器でやつけて何が悪い」という気持ちに日本国民が変わる
可能性があるのです。この核の問題を軽視することは出来ないと思います。
一国平和主義と幅広イズムの克服を
私は、長い間、平和運動の消長を見てきました。その私の率直な感想を言えば、
日本の平和運動は衰退期に入っていると思います。
日本の平和運動が衰退しつつある最大の原因は、日本の平和運動の中にある一国平
和主義と幅広イズムだと思います。一国平和主義については先ほど述べました。幅広
イズムというのは、何よりも多くの国民に支持されることを優先する思考のことで
す。
多くの国民に支持されることを優先することが何故悪いのか、という反論がなされ
るかも分かりません。たしかに多くの国民に支持されることを大事にする考えは正し
いのです。しかし、それを過度に強調し、多くの国民に支持されないことはやらな
い、少数の人が決起するしかない場合にも、決起せず、そのような人を冷たい目で見
る、常に多数意見の中にいなければ気持ちが悪くなる、そうなると幅広イズムにな
り、運動を衰退させることになるのです。
私が、この幅広イズムの問題に一番深刻にぶつかったのは、1990年代の沖縄闘争で
した。沖縄闘争を日本の平和運動が全力をあげるべき課題の一つにすべきだという私
の主張に対し、「まだ多くの国民は沖縄問題についてわかっていない。そのような段
階で沖縄問題をスローガンにすれば、運動の輪を狭め、国民の支持が得られなくな
る」という反論がなされました。私の記憶では、それ以来、日本の平和運動が沖縄問
題に全力で取り組んだことはありません。恥ずかしい事です。沖縄の人たちに申し訳
ない事です。
日本の平和運動のリーダーは、北朝鮮に核ミサイルの第一の標的にされた沖縄の人
たちの気持ちをどれだけ理解しているのでしょうか。沖縄問題を取り上げないで9条
改憲阻止を叫ぶ人たちは、右翼がいう「9条狂」とどこが違うのでしょうか。
貴方は私の発言に、やや感情を害したかも分かりません。私の発言に誤りがあれば
訂正することに吝かではありません。しかし、老人が、日本の平和運動の前途を危ぶ
み、心から忠告したいという気持ちになっていることは御理解いただきたいのです。
以上
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