[CML 051849] IK改憲重要情報(216)

河内 謙策 kenkawauchi at nifty.com
2018年 2月 27日 (火) 17:16:40 JST


IK改憲重要情報(216)[2018年2月27日]

 

私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。

 

(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)

 

弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策

 

連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所

電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884

 

河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。

 

http://www.southcs.org/

__________________

(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必らずしも河内と同一ではありませ
ん。御了解ください。)

 

     中国が、習近平の個人独裁の国に

 

 皆様ご存知のように、中国共産党が憲法にある国家主席の任期に関する制限を撤廃
する案を3月5日からの全人代に提案することを決定しました。おそらく、この案は決
定されるでしょう。決定されれば、習近平の長期政権が可能になるでしょう。私は、
長期政権かどうかというよりも、習近平の

個人独裁体制の最終的確立という側面を重視すべきではないか、と考えています。中
国は、中国共産党独裁の全体主義国家でしたが、習近平個人独裁の全体主義国家にな
るのだと思います。

 習近平の個人独裁の傾向を早くから指摘した石平氏は、胡錦濤時代の集団指導体制
が今日の習近平時代を招いた遠因にあると次のように指摘しています。

「たしかに毛沢東独裁は、文革を引き起こし、中国を大混乱に陥れた。しかし、それ
でも中国共産党の一党支配は揺るがなかった。だが、集団指導体制の胡錦濤政権にお
いて、亡党亡国の危機が現実のものとなりつつあったわけだ。そこで誕生したのが習
近平政権であった。以上のような毛沢東時代以来の中国共産党の成功と失敗の経験か
らすれば、やはり権力を一人に集中させたほうがいいという暗黙の了解が共産党内で
生まれていたと見ていいだろう」(石平「習近平の終身独裁で始まる中国の大暗黒時
代」徳間書店、100頁以下)

 石平氏は、集団指導体制の欠陥が個人独裁をもたらした、と言っていますが、私
は、むしろ中国の危機が個人独裁をもたらした、すなわち、中国の支配体制は現在危
機的状況にあるので、中国共産党のトップを中心とした支配階級が、「恐怖の団結」
をした結果ではないか、と思うのです。

 中国が危機にあることについては、日本の一般マスコミは報道しませんし、最近で
は「崩壊論の崩壊」などと揶揄するような論調が見られます。

 しかし、中国の危機の現状は、すさまじいものがあります。

 たとえば、2017年の12月にIMFと世界的な格付け機関のムーディーズが報告書を発
表し、投資不適格の烙印を押しています。

 また、中国50都市の地下鉄で工事中断が始まっています。

 中国の「国防」にかける意気込みもけたはずれで、最近、100万人が生活できると
いう、深さ2000メートルの核シェルターの存在が明らかになりました。(以上は、宮
崎正弘「かくも長き日本の不在 米国衰退、中国膨張」海竜社、参照)

 中国の個人独裁化が何をもたらすか、は別個に論じなければならない重要問題です
が、とりあえず、宮崎正弘氏が「習近平主席が真っ青になるのは秒読みとなった不動
産バブルの崩壊であり、経済的に窮すれば矛盾回避のためにも戦争を始めざるを得な
くなるだろう」(同書187頁)と警告を発していることを指摘したいと思います。

 

 中国問題と日本の民衆運動

 

 私は、日本の民衆運動が衰退しつつあると警告を乱打していますが、民衆運動の衰
退は、中国問題に取り組まないことに端的に表れています。

 21世紀も20年になろうとしています。この20年の経過を振り返ってみれば、中国の
「興隆」がいかにすさまじかったのか、中国問題に警告を発してきた人間に「右翼と
同じだ」とか「団結を乱す」と言ってきたことが如何に誤っていたかは、明白になっ
ていると思います。

 今日の時点になっても、中国問題に取り組もうとしない日本の民衆運動の誤りを私
は「幅広イズム」の誤りと言ってきましたが、最近、それでは不十分だと思うように
なりました。日本の民衆運動は、言挙げ(ことあげ)をしないという日本の伝統=日
本思想に屈服したのではないでしょうか。日本の民衆運動は何時の間にか議論が嫌い
になっています。問題提起をする人もいなくなりました。本音で議論をすることもな
くなりました。団結を乱す、とか、まだ多くの人はそこまで考えていない、と言う人
は、結局、そのような議論をする勇気が無いことを、そのような言葉によってカムフ
ラージュしているだけではないでしょうか。その証拠に民衆運動の立場に立った本格
的な中国論が20年経っても生まれなかったのです。

 あえて極端な言い方をすれば、日本の民衆運動は歴史的な衰退過程をたどってお
り、そのことは憲法9条の帰趨より日本の将来にとって重大な問題だと考えるので
す。

 

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