[CML 053383] 司馬遼太郎が書く事ができなかった戦争
donko at ac.csf.ne.jp
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2018年 8月 13日 (月) 00:14:56 JST
坂井貴司です。
転送・転載歓迎。
今も絶大な人気を保ち続けている『国民的作家』司馬遼太郎が、歴史小説とし
て執筆することができなかった戦争がありました。
日露戦争を帝政ロシアの侵略から日本を守る防衛戦争として描いた『坂の上の
雲』は、右翼から絶賛され、左翼から激しく批判されました。読者からは好評を
もって受け入れられ、ベストセラーになりました。
司馬遼太郎が次に取りかかったのが、「ノモンハン事件(ハルハ河会戦 19
39年5月〜9月)」でした。
モンゴルと「満州国」の国境紛争に日本とソビエトが介入したことで、大規模
な軍事衝突になった戦争でした。
司馬は『坂の上の雲』と同様に「古書店を空っぽにしたほど」の大量の資料を
集めました。存命中だったノモンハン事件を闘った陸軍将兵に長時間インタビュー
を行い、戦闘の詳細な事実を聞きました。
執筆を始めようとしました。しかし、司馬はペンを握ったまま一文字も書くこ
とが出来ませんでした。
後年、司馬は語りました。
「ペンを握った途端、血が腐るほどの怒りが腹の底から湧き上がってくるのを
感じた」
司馬はノモンハン事件の作品化を断念しました。彼は、親友だった半藤一利に
資料を託しました。半藤はその資料を基にノンフィクション『ノモンハンの夏』
を執筆しました。
半藤は同書の後書きの中で
「日本陸軍に絶対悪があったことを知った」
と記しました。
司馬遼太郎が書く事を断念したノモンハン事件とはなんだったのか。それは情
報軽視、兵站軽視、戦闘至上主義、現場に責任を押しつけ知らんぷりをする上層
部、「声がデカい」一部の実力者の専横という日本陸軍の悪しき体質が露呈した
戦争でした。それを放置したまま、太平洋戦争に突入しました。
太平洋戦争の前哨戦となったノモンハン事件を問い直す番組です。
NHKスペシャル
『ノモンハン 責任なき戦い 」
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180815
放送日:8月15日
放送時間:午後7時30分〜8時43分
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
『伝送便』
http://densobin.ubin-net.jp/
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