[CML 053307] IK改憲重要情報(266)
河内 謙策
kenkawauchi at nifty.com
2018年 8月 2日 (木) 15:56:26 JST
IK改憲重要情報(266)[2018年8月2日]
私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)
弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策
連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所
電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884
河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
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(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必らずしも河内と同一ではありませ
ん。御了解ください。)
討論の作法について
私は、2001年から2002年にかけてアメリカに留学し、ハーバード大学でのゼミや研
究会、アメリカのNGOの会議や集会に参加しました。そして、そこでの討論のあり
方に、非常に大きなショックを受けました。そのことは、このメールを読まれる方の
参加する討論のあり方に参考になること大と考えますので、書かせていただきます。
アメリカでの討論のあり方が優れている第一の点は、討論参加者が自発的に積極的
に発言することです。
日本の場合は「沈黙は金」という格言が流布されていますし、「空気を読まない者
は大人でない」ということで「勝手な発言」をはしないという自制の働く人が多いの
ですが、アメリカでは、そういうことはありません。小さい時から、「発言しない人
間は何も考えていない人間だ」「発言しない人間は馬鹿だ」という家庭教育がされて
いる、と聞きました。
また、発言する人間は平等である、ということが徹底していました。学会の偉いボ
スでも、偉い人はおもむろに後から発言するということはありません。私の出た学会
では、発言受付に白髪頭が並んで壮観でした。
アメリカでの討論のあり方が優れている第二の点は、発言者の発言がどんなにおか
しい発言であっても、他の参加者は、寛容の精神で、じっと発言を聞いているという
ことです。討論の問題提起者も、自分に対するどんな質問に対しても“It’s a good
question”と言ってから、自説を展開するのです。
私は、英語がまずいので、問題提起者が、“今の質問の意味が分からない”と言っ
て逃げようとしたことがあります。すると、すかさず、一人の参加者が発言し、“英
語はまずいかもしれないが、意味は明瞭だ。発言者の言葉尻をとらえて答えようとし
ないのは寛容の精神に反するし、発言者の発言の権利を奪うものだ“と言ってくれた
ことがあります。感激しました。
アメリカでの討論のあり方がすぐれている第三の点は、新しい問題を提起する発言
者に対して、討論参加者が激励的(encouraging)であるということです。
日本では新しいことを提起すると、「出所はなんだ」「誰の説だ」「貴方の
考え方には、こういう問題がある」「貴方は、こういう問題を無視しているのではな
いか」「貴方の考えは〇〇と一緒だ」「貴方の考えは〇〇を利する」「貴方の考えは
まだ早い」などという本筋でない質問攻めに合うことが多いのですが、アメリカでは
そういうことはありません。
「貴方の考えは素晴らしい」「貴方はなぜ今までそういう素晴らしい考えを黙ってい
たのか」「貴方は、この点をもっと深めれば、もっといい考えになる」「あなたの素
晴らしい考えに協力したいが、私は何をしたらよいか」などという質問攻めにあうこ
とになります。
もちろん、アメリカの討論のあり方は、素晴らしい点ばかりではありません。私が
経験した例でも、つまらない自分の意見を長々と発表する人もいるのです。何か発言
しないといけない、という強迫症にかかっているような人もいました。
しかし、小さい時からdebateできたえられたアメリカの草の根民主主義のあり方
は、大いに学ぶべき点が多いと私は感じました。
その点から言えば、日本の草の根民主主義はまだまだです。いや明治以来の不十分
な伝統を、私達は、まだ本格的に自覚していないように思うのです。
アメリカの私の知ったある友人は、「日本の民主主義は権威的民主主義だ、それは
明治維新以来変わっていない」「日本の討論の仕方は、既存の権威や通説を守る純潔
的討論だ、アメリカの討論のアイデア探求型討論とは異なる」と言っていました。私
は的確な反論はできませんでした。
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以上
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