[CML 052322] IK改憲重要情報(220)
河内 謙策
kenkawauchi at nifty.com
2018年 4月 14日 (土) 17:28:16 JST
IK改憲重要情報(220)[2018年4月14日]
私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)
弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策
連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所
電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884
河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
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(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必らずしも河内と同一ではありませ
ん。御了解下さい。)
米中貿易戦争について
皆様ご存知のように、アメリカと中国の間で、相手側の輸出品への関税引き上げを
めぐって激しい応酬が続いています。
日本のテレビは、日本の景気が悪くなるかどうかしか報道していませんが、私は21
世紀の歴史的大事件だと思います。私の関心は、この事件をどうみるか、ということ
と、今後どうなるか、ということです。
この米中貿易戦争につき薬師寺克行は、米中関係が大きな転機を迎えたこと、アメ
リカが関与政策(engagement policy)から封じ込め政策(containment policy)に転
換したことが背景にあると述べています。
他方、中国のほうも「韜光養晦」から「中国の夢」へ政策を転換している。した
がって、経済貿易政策で中国の勢いを止めることはできない、と薬師寺は考えるので
す。
たしかに、薬師寺が単なる経済問題と考える見方を批判しているのは、卓見だと思
います。世界第一の帝国主義が自分に追いつこうとしている世界第二の覇権主義に対
して「お前が出しゃばるのは少し早いんだ」とぴしゃりと釘を刺したということで
しょう。これは第1次大戦の時の英と独、第2次大戦時の米と日にもみられた危険な
構図です。しかし、米中貿易戦争は、私流にいう帝国主義論的分析方法で分析しきれ
ないものがあると思います。つまり、経済分析が別個に必要なのです。
https://toyokeizai.net/articles/-/216306
安達誠司は、中国政府が2015年に始めた「中国製造2025」により、IT、ロボッ
ト、航空宇宙、電気自動車などの発展をはかろうとしており、これがトランプ政権の
かかげた「米国製造業の復活」をを支える産業分野ともろにバッティングすること、
しかも、中国はこれらのの分野の技術開発を自前でやるというよりも、模倣を通じて
技術を取得することは必至なので、トランプ政権はそれを阻止するための行動に出
た、と見ています。
そして、このまま「ガチンコレース」を続けると中国は負ける可能性が高い、
最も危険なシナリオは、現在の元高およびデフレ的な経済政策運営が、今後、中国景
気の減速を鮮明にさせた場合、今度は財政支出の拡大と対外開放路線の強化にともな
う外資の大量流入が発生し、これが「バブル」を誘発するというシナリオであると述
べています。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55226
安達の分析は、なかなか鋭いところを衝いていると思います。しかし、私は、
中国のバブルは2014年をピークに崩壊したこと、その後、「構造改革派」と「安定成
長派」の争いにより、ジグザグの経済運営が行われているとみています(私の見方
は、津上俊哉「「米中経済戦争」の内実を読み解く」PHP新書にほぼ依拠していま
す)。「ガチンコ」勝負では、私も中国は負けると思います。それゆえ、
中国は「対外開放度」を高めるしかなくなるでしょう。したがって、対内的には、
「安定成長」の追及、国威の一層の発揚のための対外的冒険政策に結びつく可能性が
大きい(危険です!)と思うのですが、いかがでしょうか。
中国が白旗をかかげたような報道も一部でなされていますが、この米中貿易戦争は
まだ最終決着はついていないと思います。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180411/soc1804110018-n1.html
ここまで書いたところで、「夕刊フジ」4月14日号32面に、辛坊治郎が「「中国の
モラル問う」貿易戦争」という面白い評論を発表していることが分かりました。
辛坊は、「中国高速鉄道が日本の新幹線を丸パクリしたのと同じことが、航空機、
自動車、産業用ロボット、果ては家電製品からワクチン、医療機械にまでおきていま
す。そして、一度中国に移転した基礎技術は、飛躍的速さで進化することが分かって
います。そんなことが起きるのには理由があります。それは中国のモラルの低さで
す。たとえば医薬品の開発をする場合、基礎研究、動物実験を経て、最後に人間で試
す必要がありますよね。この際、日本やアメリカなどでは、万が一にも臨床試験を受
ける人の命に危険が及ばないよう、徹底的に安全性が審査された後でしかゴーサイン
が出ません。ところが中国では、死刑囚の臓器を取り出して病気治療に充てると噂さ
れるほど倫理基準が緩いですから、他国ではとても許されないような臨床試験が行わ
れているようなんです。」と述べています。
辛坊治郎の鋭い分析には、脱帽です。
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以上
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