[CML 048063] Re: マクロンは本当に2017年フランス大統領選挙で有権者の支持を得ていたのか?

まっぺん mappen at red-mole.net
2017年 5月 15日 (月) 13:18:15 JST


まっぺんです。太田さん、こちらこそありがとうございました。
太田さんの言われるとおり、上位2名の決戦投票方式が公平なのかどうかは疑問があ
ると私も思います。私は「民主主義」という制度そのものが、実は「何が正しいの
か」を選ぶ方法ではないと思っています。そもそも人間は間違えるものです。人類は
これまでの歴史の中でもたくさんの間違いを犯してきました。ドイツではナチス党政
権が民主的選挙によって選ばれ、さらに首相と大統領を兼務する「総統」も民主的選
挙で選ばれたのはご存じの通り。多数決とは「多数が正しい」ことを意味していない
のは、おそらくここに集う多くの人々が日々実感されていることでしょう。

つまり多数決とは「とりあえず多数者の意見を採用してみよう」という謙虚な態度で
政治を執行することなのであり、その政策が失敗に終わり、多くの人々がそれを認め
れば、次の選挙では少数者の意見が代わって採用される事になるだろう・・・という予
測のもとに成立するものである「べき」性質のものです。しかし実際はそうはなって
いません。日本では政治的意見によってではなく、政治をよく考えずに利権によって
投票する人々が多いからに他なりません。その現実に、残念ながら日本ではまだまだ
民主主義が本当には開花していないと思わざるを得ません。

諸外国の制度についても考える事が多々あります。アメリカは民主主義の先進国であ
ると思われていますが、大統領の選出方法が州ごとに単独候補の独占となる方式には
疑問が持たれています。しかしそれ以前に、「大統領」という制度は「制約付きの独
裁制」に他ならず、民主主義に対して様々な限定の枠をはめてしまっている制度であ
ると言わざるを得ません。フランスもまた大統領制度であるわけですが、フランス場
合、面白い現象に驚かされます。以下は本日ネットで拾った情報です。フランスに住
む日本人が観た大統領選挙についての感想です。

https://cakes.mu/posts/16234?utm_source=owned%20media&utm_medium=mail&utm_ca
mpaign=20170515m&r=20170515m
>おもしろすぎる、仏大統領選挙の無効票たち

これを見ると、フランスでは無効票と白紙票とが区別されており、また無効票の内容
が発表されていることに驚かされます。今回はその合計が過去最多の11%だそうで
す。これは無効票・白票の中にも政治的主張の存在を認めていこうという現れです。
これは自由な政治主張を大切にする姿勢であり、投票率も約75%と、日本では考え
られない高さです。日本の選挙制度では「有効投票」内での多数票だけが問題なので
あり、無効票も白票も、さらには投票にいかず棄権した人々も、選挙に対してはまっ
たく影響がありません。結局「投票に行った人」で「当選者に投票した人」だけが価
値を持つという選挙制度であり、これでは民主主義の実践とはとても言えません。戦
後72年目になってもいまだに日本には民主主義が根付いていないと思うばかりで
す。



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From: cml-bounces+mappen=red-mole.net at list.jca.apc.org
[mailto:cml-bounces+mappen=red-mole.net at list.jca.apc.org] On Behalf Of OHTA,
Mitsumasa
Sent: Friday, May 12, 2017 9:11 PM
To: 市民のML
Subject: Re: [CML 048008] Re: マクロンは本当に2017年フランス大統領選挙で有権
者の支持を得ていたのか?

まっぺんさん

反応していただきありがとうございます。仮定の正当性を主張したいというより、選
挙制度の不公正さを説明するのが目的です。実際の選好順位についてはまっぺんさん
が言われる通りかもしれません。

本日の選挙市民審議会でも首長選挙制度の改正案について議論したのですが、やはり
上位2名だけに決選投票の参加資格を持たせるのは乱暴で、民意の反映を原理的に保
証しません。

一番分かりやすい例は、確率的にはほとんどありませんが、第1回投票で各候補者の
得票数が並んだ場合です。上位2名というのはありませんね。じゃあくじ引きで2名を
決めていいかというと、やはりダメなのです。4人が並んだとしても、総当たり戦を
させてみれば、下記のように候補者間の選好順位が判明する可能性があるから。総当
たり戦で3勝する候補者(この場合はフィヨン)が投票者から最も選好されていると
評価するのが自然です。

そして各国の大統領選挙の制度を真に民意の反映したものに改革することは、米国の
大統領選挙を見てみれば、非常に大きな意義のあることが分かります。これは世界の
平和の問題などに大きな影響を与えるはずです。私はそういう観点から日本の選挙制
度の改革に取り組んでいます。日本発の選挙制度改革運動で世界の民主主義革命をと
いうのが私の夢です。

ようやく多数決のまやかしについての認識が広がり始めています。コンドルセなどに
代表される社会的選択理論、すなわち数理科学の知見に裏打ちされた選挙制度という
ものは、私の知る限り、世界にありません。上位2名の決選投票など、「見かけの上
で分かりやすい制度」があるだけです。

細かいことを言うと、私はボルダールールには反対です。ボルダールールというのは
下記の例でいうと、投票者が選好順位を1位とした候補者に4点、2位に3点、3位に2
点、4位に1点を与え、投票者をまたいで候補者ごとに点数を集計して、最多点数の候
補者を当選させるという制度です。

一見して合理的なようですが、ある候補者が別々の投票者から1位と4位に選ばれた場
合と2位と3位に選ばれた場合を同価値と見なしてしまうことに合理性があるでしょう
か。投票者が候補者に付けた選好順位を勝手に候補者の得点にすり替えてしまうので
す。相対的な選好順位という妥当な評価手法を加算性が強引に付与された得点という
半絶対的な手法にすり替えているのがボルダールールで、コンドルセ勝者の勝利を保
証しません。


太田光征


On 2017/05/12 12:40, まっぺん wrote:
> まっぺんです。CMLの皆さんにはいつも貴重な情報やご教示をいただき感謝してお
り
> ます。
> 太田さんの論について「反論」というほどの確信をもっているわけではないので
「疑
> 問」として提出いたします。
>
> フランス大統領選挙における太田さんのご意見には考えさせられるものがありま
す。
> 「上位2名」という方式がそもそも公平かどうか、というものですね。
> その結論についてはともかく、ご提示のシミュレーションについての疑問です。
> 太田さんは以下のような場合を仮定していらっしゃいます。
>
>> マクロン   24
> ルペン    23
> フィヨン   22
> メランション 21
>
> 仮定2:フィヨン支持者の選好順位はフィヨン>マクロン>メランション>ルペン
と
> する。
> 仮定3:マクロン支持者の選好順位はマクロン>フィヨン>メランション>ルペン
と
> する。
> 仮定4:メランション支持者の選好順位はメランション>フィヨン>マクロン>ル
ペ
> ンとする。
> 仮定5:ルペン支持者の選好順位はルペン>フィヨン>マクロン>メランションと
す
> る。
>>
> この仮定によればコンドルセ式選挙制度ではフランソワ・フィヨンが1位となるだ
ろ
> う、ということですね。
> それは、仮定3から仮定5まで全ての支持者が「2位にフィヨンを挙げている」から
で
> す。
> それなら、そのような結論になるのは当然と言わねばなりません。
> その場合にまず検証しなければならないのは、この仮定が自然であると考えられる
か
> どうか、です。
> しかし、この仮定には無理があるのではないでしょうか。
> それは「支持者は一番支持する候補を1位に、より自分に近い方の候補を2位に挙
げ
> る」
> のが自然だと一般的に考えられるからです。そこで、4候補の支持者が2位に誰を
挙
> げるかを考えてみましょう。
>
> 今回の場合、
> (1)「右翼か・左翼か」という基準で右から並べれば
>    ルペン(極右)フィヨン(中道右派)マクロン(中道)メランション(左
派)
>
> (2)経済政策では
>    ルペンは保護主義、メランションは反新自由主義、あとのふたりは新自由主
義
> という順序になります。
>
> (1)の「右か左か」を基準にするなら、メランション支持者が二位にフィヨンを
選
> ぶのは考えにくい。
> 当然にもマクロンを選ぶでしょう。そうなれば、僅差でやはりマクロンなのではな
い
> でしょうか?
>
> (2)について、もうひとつの考え方ですが、「反新自由主義」を基準にするな
ら、
> メランション支持者が2位にルペンを選ぶ可能性が考えられます。
> これは米大統領選挙で失業者や低所得層が新自由主義の被害にたまりかねて
> 排外主義にすがりついた結果、トランプが選ばれたのに似ているように思います。
>
> ただ、この可能性はあまりないでしょう。ナチス支配の経験を持つフランス人が極
右
> の排外主義者を選ぶ可能性は少ない。
> 実際、第2回投票でもルペンに大きく差をひろげてマクロンが勝っています。
> また、これは今回だけの現象ではありません。15年前、ほぼまったく同じことが
起
> こっています。
> 2002年の大統領選挙では第1回投票で、1位が右派共和国連合のジャックシラ
> ク、2位がルペンの父親のジャン・マリ・ルペン。
> フランスでは大きな勢力を持つ社会党のリオネル・ジョスパンは通常は2位なので
す
> が、その時は3位で敗退しました。
> この時は左右どちらの政権党もともに新自由主義政策であったため、それに反感を
> もった有権者が
> 右派は極右へ、左派は極左へ、それぞれ票を投じた結果でした。
> しかし極右派はルペンに統一できたが、極左派はバラバラであったため、このよう
な
> 結果となったわけです。
> この時の2回目の投票がフランス人の傾向をよく表しているように思います。
> ルペンの得票は第1回目とほとんど変わらず18%ほどだったのに対してシラクは
8
> 2%という驚異的な得票率となりました。
> フランスの「反ファシズム」の伝統が非常に強固であるのを感じないではいられま
せ
> ん。
>
> 結論としては、やはりマクロン当選はコンドルセ式でも動かないのではないだろう
> か、というのが私の意見です。
> もっとも、それももちろん「仮定」にすぎません。
>
>
>
> -----Original Message-----
> From: cml-bounces+mappen=red-mole.net at list.jca.apc.org
> [mailto:cml-bounces+mappen=red-mole.net at list.jca.apc.org] On Behalf Of
> OHTA, Mitsumasa
> Sent: Friday, May 12, 2017 1:40 AM
> To: uniting-peace at freeml.com
> Subject: [CML 047997] マクロンは本当に2017年フランス大統領選挙で有権者の支
持
> を得ていたのか?
>
> [転送・転載歓迎します。重複受信の際はご容赦ください。]
>
> 2017年フランス大統領選挙はフランス式2回投票制によってマクロンが勝利を収め
ま
> した。しかし、コンドルセ式選挙制度であれば、マクロン勝利という結果にはなら
な
> かった可能性があります。
>
> コンドルセ式選挙制度とは、投票者が候補者すべてに選好順位を付けた投票を行
い、
> 候補者に総当たり戦、すなわちあらゆる組み合わせの2人対戦を行わせ、全投票者
に
> よる絶対多数決で候補者間の選好順位を決めるものです。
>
> 実際の第1回投票では下記の有力4候補がかなりの接戦でした。
>
> エマニュエル・マクロン(中道、無所属、新自由主義)
> マリーヌ・ルペン(極右、国民戦線、保護主義)
> フランソワ・フィヨン(中道右派、共和党、新自由主義)
> ジャンリュック・メランション(左翼党、反新自由主義)
>
> 2017年フランス大統領選挙を下記の仮定で単純化して、コンドルセ式選挙制度のシ
> ミュレーションをしてみます。
>
> 仮定1:上記4候補が立候補し、第1選好投票(第1回投票に相当)の得票数は下記の
通
> りとする。
>
> マクロン   24
> ルペン    23
> フィヨン   22
> メランション 21
>
> 仮定2:フィヨン支持者の選好順位はフィヨン>マクロン>メランション>ルペン
と
> する。
> 仮定3:マクロン支持者の選好順位はマクロン>フィヨン>メランション>ルペン
と
> する。
> 仮定4:メランション支持者の選好順位はメランション>フィヨン>マクロン>ル
ペ
> ンとする。
> 仮定5:ルペン支持者の選好順位はルペン>フィヨン>マクロン>メランションと
す
> る。
>
> 結果は、フィヨン>マクロン>メランション>ルペンという選好順位となり、マク
ロ
> ンではなくフィヨンが勝者となります。
>
> コンドルセは、フランス式2回投票制のように相対多数の上位2名だけで決選投票を
行
> うことの不合理を教えているのです。
>
>
> 太田光征
>
>



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