[CML 048718] 共謀罪の創設に反対する百人委員会「共謀罪法案の強行採決を断固として弾劾する声明」

Maeda Akira maeda at zokei.ac.jp
2017年 6月 16日 (金) 10:24:59 JST


前田 朗です。

6月16日



共謀罪法案の強行採決を断固として弾劾する声明

 

参議院本会議では、本日7時46分ごろ、共謀罪法案の採決が行われ、賛成165、反対70で、共謀罪法を可決・成立させた。

 この法案に対しては、刑事立法の基本原則である罪刑法定主義を無視し、「テロリズム集団」「組織的犯罪集団」「準備行為」等、処罰範囲を確定するために必要な概念が明確にされず、277(法務省は、数を少なく見せるために1項犯罪と2項犯罪を同一犯罪と計算している。それらをすべて別個に計算すると、その数は316に及んでいる)にも及ぶ犯罪を処罰対象犯罪としているが、それについてもその根拠についての十分な説明がなされないままである。また、近代刑法の基本原則である行為主義に違反し、社会に何らの害悪も与えず、あるいは与える可能性すら存在しない「二人以上での計画」を処罰するものである。

 法律の必要性については、「テロ対策」だと明言しているが、本当にテロ対策なのであろうか。

 277犯罪の内訳は、テロ関連犯罪110、薬物関連犯罪29、人身搾取関連犯罪28、資金源犯罪101、司法妨害犯罪9である。110に及ぶテロ関連犯罪として列挙されているものは、テロが行われた際に発生するであろう結果を上げたものにすぎず、それらの計画を事前に察知し、取締りを強化してもテロ行為を防げるものではない。

 そもそも、特定秘密保護法12条に規定する「テロ活動」は、\治上の主義主張に基づくこと、⊆腟繊主張を強要し、又は社会に不安を与える目的の存在、人を殺傷し、重要な施設その他の物を破壊するための活動という三要件が必要である。

 ここで掲げられている110のテロ関連犯罪の計画罪は、このテロの三要件とは無関係なものであり、この法案がテロ対策ではないことは明白である。

 また、TOC条約は、国をまたいで存在する組織犯罪を防止するために締結された条約であり、テロ対策のためのものではない。テロ対策の一環としてテロ集団への資金提供を防止するために、2002年に「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」が制定されたことを忘れてはならない。

安倍内閣は、この条約の批准のためと言いながら、市民をだまし、「この法律がなければテロは起きるのだ」と主張し、テロ対策には必要だという論法で押し通してきた。しかし、この条約を批准したとしても、テロが無くなる訳ではない。テロが頻発する米英仏の実情をみれば明らかであり、格差社会、差別主義に基づく人権侵害こそが、テロ発生源のマグマとなっている。これらの国は、すでにTOC条約を批准しているのである。このことは、共謀罪がテロ防止に役立たないことを示している。

 この共謀罪法は、277にも及ぶ犯罪の計画を処罰するものであり、計画していることを監視し、従来の刑事立法では絶対に処罰されることのない「心の中」を処罰するものである。

 それを法務省は、「処罰の間隙」ととらえ、予備以前の段階での早期処罰を狙っているのである。それは、その段階での警察捜査が可能とするものである。それは、警察による「心の監視」そのものであろう。それは、現在、各都道府県警に課されている検挙数の数値目標が冤罪発生件数をさらに大きくし、弾圧に使われるであろう。

 安倍内閣が推進する「戦争国家への道」に異議を唱える者を監視し、国論を一つにまとめ上げようとするものであることは明白である。そのことを示す証左は、この共謀罪法の対象犯罪から、選挙関係や警察・検察関係の権力犯罪が除外されていることである。本来、監視されるべきは、一般市民ではなく、権力そのものであろう。

 刑法は、民法とともに、国家の基本法である。国家の基本法を人々の理解を得る努力もせず、多数の数に頼り、委員長の「中間報告」という、委員会採決を省略する暴挙の中の暴挙ともいうべき強行採決で処理したことは、民主主義の否定であり、日本という国が安倍専制国家へと変容したことを示すものである。

 私たちは、このような安倍内閣を許さず、安倍内閣の退陣を求め、闘いを継続するであろう。

2017年6月15日

共謀罪の創設に反対する百人委員会



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