[CML 046958] なぜ無所属候補に単純比例代表制を適用してはいけないか

OHTA, Mitsumasa otasa at nifty.com
2017年 2月 21日 (火) 00:09:47 JST


本日のとりプロ選挙市民審議会第10回第2部門会議でも、比例代表制を採用する場合、比例代表制選挙に参加する資格を無所属候補に与えるだけで無所属候補に対する配慮は十分であるという旨の意見がありました。私から応答する時間がありませんでしたので、既に投稿した下記メール記事(の後段)をもって応答とさせていただきたいと思います。

付け加えるなら、議員選挙の本質は、候補者同士の競争ではなく、確実に各投票者の意見を背負った議員を議会に送り込んで平等な主権を議会内に確保することにあります。無所属候補に単純比例代表制を適用するだけでは、それが達成できません。

小選挙区制が生み出す程度の死票は問題だが、無所属候補に単純比例代表制を適用した場合の死票は無視してよいとする考え方を採用する場合、死票を否定する説得力に普遍性がなくなるでしょう。

さらについでに言うと、小選挙区制を否定する論拠として大量の死票は重要ですが、単純小選挙区制についてはそれが多数決にならないと指摘すれば単純小選挙区制の錯覚的な価値を根底から突き崩すことになります。

死票の最小化を目指すのではなく、さじ加減や個人の主観で死票の多寡感を評価するという方針を認めると、フランス型小選挙区制(決選投票)やオーストラリア型小選挙区制(優先順位付き連記投票制)はいわゆるコンドルセ勝者(2人1組の総当たり戦で最も優秀な成績の候補者)を当選させる保証がないにもかかわらずコンドルセ敗者(その逆)を当選させることがないという程度の価値しかありませんが、単純小選挙区制より(第2選好に対する)死票が低減してマシだ、という評価を認めることにつながります。

死票の最小化を目指すという主張を徹底して展開していくことが必要です。


太田光征

-------- Forwarded Message --------
Subject: クオータ制と政党主権
Date: Tue, 6 Dec 2016 00:21:31 +0900
From: OHTA, Mitsumasa <otasa at nifty.com>
To: uniting-peace at freeml.com <uniting-peace at freeml.com>

[転送・転載歓迎します。重複受信の際はご容赦ください。]

選挙におけるクオータ制実現には拘束名簿式比例代表制が不可欠というのは致命的な思い込みです。非拘束名簿を分割して一方に女性、他方に男性を搭載するだけで、簡単に男女ジェンダークオータは実現します。原発に賛成と反対の議員が入り混じっているなど、政党の体を成していない現在の政党の執行部が決める「政党主権拘束名簿」で主権者の候補者選択権を奪う必要などありません。

オーストラリアなどの単記移譲式比例代表制(優先順位付き投票で得票し過ぎた上位選好候補者の票を得票の足りない下位選好候補者に移譲)における政党推薦の順位付けでも、クオータはほぼ実現します。しかし、これも拘束名簿の思想です。

クオータ制は、私が提案している非拘束名簿の分割で実現できます。分割数によって男女ジェンダーだけでなく、3種以上の候補者カテゴリーが可能となります。

クオータ制と政党主権の抱き合わせ販売は、特に今日の日本において本当に不幸です。私の見るところ、上記の思い込みに合わせた後付けの理屈として政党主権を主張している方がいると推測しています。確信的に抱き合わせを狙いたい方もいるでしょうが。

*

なお、私は無所属候補を差別する単純比例代表制には反対です。無所属候補も単純比例代表選挙に参入できることをもって無所属候補を差別していないということにはなりません。小選挙区制が少数政党などに配慮していないのと同様です。

政党候補が単純比例代表選挙で議席を獲得するということは、政党名簿ではなく政党候補者に対する投票だけを認める比例代表制を考えてみれば分かるように、議員1人の当選に要する当選基数(参院選であれば約100万票)を超える得票をした候補者、当選基数に満たない得票の候補者の「選挙互助」によって、通常は「候補者の一部」を当選させるというものなのです。落選した政党候補者は「選挙運動員」という意味合いを持ちます。

ところが無所属候補が単純比例代表選挙で当選するためには、1人で当選基数を超える得票をする必要があります。ある無所属候補と同じ主張をする運動員が複数いれば、当該候補が単独では当選基数に満たない得票をするような候補であっても、運動員の得票と合わせれば当選ラインに達する可能性があります。

これだけの考察で分かる通り、選挙における当選=選好度の測定というものには幅があって、選挙運動の多寡が候補者に対する選好に大きく影響するものなのです。

従って、無所属候補が必ず当選基数を超えなければ有権者からの選好を勝ち得ていないとはいえないわけで、無所属候補に「当選の幅」を許容する必要があります。

無所属候補の当選基数を引き下げるのも一案ですが、私は「当選の幅」を許容する制度として、まずは中選挙区比例代表併用制を提案しています。

中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164

国政規模の場合は中選挙区などに区割りをしますが、地方議会などでは一区でも通用するところがあるでしょう。一区の場合で中選挙区比例代表併用制の骨格を説明すれば、通常の多数代表制と同じように投票し、無所属候補が当選圏内に入れば当該無所属候補を当選させ、残りの議席を各党(候補者グループ)に得票数に基づいて比例配分するというものです。

この骨格に政党名簿投票などを少し肉付けするだけで、理想的な場合には死票をゼロにできます。なお、無所属候補を当選させた有権者による政党名簿投票は、二重の投票価値を防ぐために基本的にカウントしません。

ご意見いただけると幸いです。


太田光征


CML メーリングリストの案内