[CML 046909] Fwd: [軍学共同反対:317] Newsweek日本版の記事について

りょうこ baffydct at gmail.com
2017年 2月 17日 (金) 13:23:39 JST


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From: <kodera at tachibana-u.ac.jp>
日付: 2017年2月17日 10:13
件名: [軍学共同反対:317] Newsweek日本版の記事について
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河さん 田中さん
ご意見ありがとうございました。私も田中さんと同様、軍学共同反対の闘いを阻
害する議論だと思います。
幾つか論点を提示します。
 崟鐐茲鯡榲とする科学研究は行わないという学術会議の声明を守るべきか、
それとも防衛省が進める「安全保障技術研究推進制度」を、どんどん削減される
研究費を補い大学経営を安定化させるための外部資金として受け入れるべきか、
といった点で大いに議論がなされている。」
▶︎こういう論点の立て方自体がおかしいです。後者のような意見を誰が主張し
ているのでしょうか?

◆屬海譴泙燃惱儔餤弔任蓮峽鎧目的」を持つ組織、すなわち防衛省が行うプロ
ジェクトには参加しないという、出資者による制限をかけることで「軍事目的の
科学技術を行わない」と理解されてきたのである。」
▶︎防衛省が資金を出すのは軍事目的でしかありえない。基礎研究であっても軍
事につながる可能性があるから出すのです。一方、企業が軍事目的ということを
隠して研究を行うよう科学者に働きかけることもあるでしょう。その場合、研究
者は軍事目的か否かがわからない中で参加することはあり得ると思います。しか
しその場合も軍事目的であることが明らかになった(あるいはそう推定された)
時点で、そこから手を引くべきでしょう。我々がまず出資者(防衛省や米軍)に
より制限をかけねばならないというのは最低限の必要条件であり、十分条件では
ないのは自明です。この筆者は、十分ではないから最低限のこともやめろと言っ
ているのです。

「こうした技術が軍事的な野心を持った国家や団体(たとえば北朝鮮やテロリ
スト)に使われ、その結果として日本だけでなく世界の平和と安全を脅かすよう
な結果になった場合、研究者がいくら「戦争目的の科学研究は行わない」と言っ
ても、その技術が戦争目的に使われてしまうという結果を招いてしまう恐れもあ
る。」
 ▶︎ここで「たとえば北朝鮮やテロリスト」と書くところに著者の予断や立場が含
まれています。現実問題として、それ以上に注意すべきは米国です。米軍は現に
アフガンなどで国際法も無視して無人機による攻撃を行って多くの民衆を殺戮し
ています。それをさらに進めるために無人化やAI化を行おうとし、そこに科学・
技術が使われることこそが現在の問題です。そういう問題意識は筆者に皆無です。

ぁ峽鎧技術、とりわけ大量破壊兵器に転用可能な技術を持つ国同士が協力をし
て、これ以上、兵器を開発する国を増やさないようにするという不拡散の概念も
前提となっている。」
▶︎不拡散とは自分たちだけ独占することです。核兵器の不拡散も、核保有国が核
を廃絶することと一体となって考えられねばなりません。米国は持つが北朝鮮は
持つな、ということ自体はおかしいし、北朝鮮が核不拡散条約から脱退した以上、
北朝鮮が核兵器を作るなという国際法上の根拠は本来ありません。もちろん北朝
鮮の核開発には断固反対ですが、同時に米国の核、およびその核の傘にすがる日
本政府の政策にも反対すべきです。合わせて、上述したように現在の焦点は、例
えば無人戦闘機や攻撃ロボットのような技術を日本が、米軍と一体化して開発す
ることの是非であり、不拡散が問題ではありません。不拡散を問題にするという
ことは、それを開発し独占するということです。その場合、米国や日本は「人道
的国家」だから持っても良く、北朝鮮は異常な国なので持たせない、という価値
観があるのでしょう。それこそが問題です。

ァ嵳⊇亟浜当局が安全保障上の懸念のある輸出先には許可を与えない、という
形で運用される。そのための国際情勢や軍事活動に関する情報収集や分析も各国
のインテリジェンス機関などと協力して行っている。」
▶︎こうして、諜報機関の問題まで結びつけていきます。CIAなどとも協力しようと
いうのです。CIAが行っているのは正しい、という価値観が前提です。

Α峺Φ羲圓本当に考えなければいけないのは、誰が出資者であるのか、という
問題ではなく、自分の研究が戦争に使われないためには何をすれば良いのか、と
いう問題なのではないだろうか。もちろん、原子力やロボティクスなど、軍事的
に応用可能な分野に近い研究者はそうした意識を持っているであろう。ここで問
題にしたいのは、学術会議や政府の考え方、対応である。戦争に自らの研究成果
を使われないようにするためには安全保障貿易管理の仕組みのように、規制当局
がその技術の公表や移転について許可制にし、それを監視していくという作業が
必要となるだろう。」
▶︎「誰が出資者であるのか、という問題ではなく、自分の研究が戦争に使われな
いためには何をすれば良いのか、」ここがすり替えです。前述したように、出資
者の問題は必要条件であり、そこにとどまるべきではな位、というべきです。
そして今後私たちも後者の問題を深く考える必要はあります。例えば鳥インフ
ルエンザのワクチン開発の問題が4日のフォーラムで指摘されました。確かにそ
の研究成果を悪用すれば猛毒の生物兵器ができるかもしれません。そこで米政府
はその技術の公表を差し止めました。しかしそれが良いのか、また規制するとし
てもそれを政府に委ねるのか、学術コミュニティ内での倫理基準による自主規制
に委ねるのか。両者を含みさらに国際機関を含む制度を作るのか。日本政府、米
政府が独占するべきではなく、なんらかの国際機関が必要でしょう。それでも学
問として秘密にした場合、結局はワクチン開発自体を遅らせることにもなりかね
ないという問題もあります。政府による規制は、大きな問題です。731部隊の
知見を戦後米国が自分だけのものにし、軍事利用したという事実に踏まえれば、
政府による規制は原理的に不十分です。そこに人権団体や民間の科学機関や市民
の監視を組み込む必要があるでしょう。国連がその機能を担いうるでしょうか。
これもUNSCARE国連科学委員会が放射線被曝の問題で、IAEAの意を受けて原発推
進に偏っている現状を見ると、それとは異なる制度も必要ではないでしょうか。

А岼汰簡歉稻念彜浜の考え方で参考になるのは、技術の戦争目的・軍事目的の
利用の中で最も望ましくないものは何か、というプライオリティ付けである。現
在の議論では、「戦争目的」に関わるものは何でもダメ、という一般論から始ま
り、「防衛目的」と「攻撃目的」といった区分けをして議論する論者もいるが、
それはナンセンスと言えよう。技術をどう使うかは、兵器を開発し、使用する側
の問題であり、防衛目的のみに使われる技術も存在しないわけではないが、それ
はあくまでも防衛目的のみに使うという意思があって初めて成立するものである。
その点で日本の安全保障政策は専守防衛を基本としているという点で、防衛省が
開発し、使用する兵器は防衛目的とは言えるが、それは技術だけで峻別すること
は出来ない。故に技術サイドから峻別できるのは、その技術が大量破壊兵器に使
われる可能性があるかどうか、という点であると言えよう。」
▶︎軍事研究反対という本質的立場を据えた上で、中でも絶対に行うべきではない
研究から段階付けて議論することは現実論として必要でしょう。国際人道法上、
非人道的兵器として毒ガスなどを禁止してきた議論を振り返る必要があります。
あらゆる兵器は非人道的だというだけでは一歩もすすまないのです。
問題はそれを筆者のように大量破壊兵器に切り縮めて良いかということです。前
述したように無人機やロボットによる戦争(しかも非対称的 ロボットが人間を
攻撃する)が現実のものとなっている今、その研究をストップさせることが緊急
の課題です。そしてそこでこそ、デュアルユースの問題を突き詰めねばなりませ
ん。防災のために開発するロボットを軍事に転用することは容易でしょう。それ
を100%阻止することは不可能です。だからこそ、研究者の倫理として、少な
くとも軍とは一切関係を持たない(金ももらわず、人的交流もしない)という線
を貫くとともに、自分の開発したロボット技術が軍事転用されないよう注視し、
あるいはそうならないような歯止めをかけることを積極的に学術コミュニティに、
社会に、国に、国際社会にうったえていく責務があるとおもいます。現実的な課
題としては、瀬犬つ化学兵器の禁止条約のように、無人機による爆撃やロボット
による殺傷行為を禁じるような国際法の制定に向けて、そういう科学者も尽力す
べきでしょう。
なお上記の文中で防衛省が開発するのは防衛目的、という論理と現実認識も間違
っており、著者の立場をうかがわせます。

─峺什漾日本で行われているデュアルユース技術の議論が無意味だとは思わな
い。しかし、あまりにも政治化されすぎてしまい、本来の目的である科学研究と
戦争ないしは軍事利用の関係が、防衛省からの資金提供を受けるかどうか、とい
う問題に収斂してしまっているという印象が強い。」
▶︎学術会議の中の議論は不十分な点もありますが、それでも真摯に議論を重ねて
います。それを「政治化」と一言で批判しますが、防衛省が110億も予算化し、
学術コミュニティに対し政治的に介入しようとしていること自体が問題なのです。
いわば金の力で政治的に学術を取り込もうという攻撃であり、学術の世界に土足
で踏み込む政治こそ糾弾すべきです。その根底には、憲法9条を変え、集団的安
全保障で米軍と一体となって戦争ができる国にしようという安倍政権の狙いがあ
るわけで、政治に学術が動員されてきた過去の反省に踏まえて、学術会議がそれ
への対応を学術的に考えようとしていることを「政治化」と切り捨てる筆者の立
場は許すことができません。

以上思いつくままに書きました。こういう議論を丁寧に批判していく作業も必要
ですね。皆様のご意見をお寄せください
小寺隆幸






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