[CML 044891] オスプレイ佐賀空港配備説明会報告
donko at ac.csf.ne.jp
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2016年 9月 5日 (月) 23:36:28 JST
坂井貴司です。
転送・転載歓迎。
9月2日、柳川市の市民会館で、防衛省九州防衛局による「陸上自衛隊佐賀空
港オスプレイ配備説明会」が開催されました。
佐賀県にある陸上自衛隊ヘリコプター部隊の基地である目達原(めたばる)か
ら、部隊が佐賀空港に移転します。それと同時にこの部隊が「オスプレイ」を配
備します。それで私の生まれ故郷である柳川市の上空を飛ぶことになります。そ
のため九州防衛局住民説明会を開催しました。
私はこれに参加しました。
以下がその報告です。
(ここから)
説明会に出席するために柳川市民会館に来ました。会館前ではオスプレイ配備
反対を訴える「九条の会柳川」の人々がビラを配っていました。すると柳川市役
所職員が「市役所の敷地内でチラシを配るのを止めてください。敷地の外に出て
ください」と追い出しました。
平日の夕方に開催されるためか、説明会に来る人の数は少ないようです。参加
しやすい土曜日か日曜日に開催すべきだと、「九条の会柳川」の方が憤りました。
オスプレイ佐賀空港配備の説明会が始まりました。
九州防衛局企画部長が中国や北朝鮮の脅威が高まっていると話しています。
「今、島嶼防衛の必要性が急速に高まっています。占領された島嶼を奪還する
ために、自衛隊は水陸機動団を編成しました。
島を奪還するためには、兵員を迅速に運ぶ必要があります。しかし、現在使っ
ているヘリコプターでは遅くなる可能性があります。そこで、オスプレイが必要
であるとの結論に達しました。
また、オスプレイは災害救援にも大変有功であります。先日佐世保でアメリカ
軍と合同でオスプレイを使った災害救援訓練を行いました。オスプレイは役に立
つ輸送機であることが証明されました。
佐賀空港西側に開設を予定している陸上自衛隊の駐屯地の面積は33ヘクタール
です。駐機場、格納庫、隊庁舎、燃料タンク、弾薬庫を建設します。平成30年度
末の完成を予定しています。
建設工事にあたっては環境保全に最大限配慮します。汚染物質が出ないように
します。完成後も汚染物資が決して出ないよう、厳しい環境基準を設けます。
佐賀空港西を自衛隊が使うのは平日朝8時から夕方5時まで、年間290日程度で
す。
夜の10時まで夜間離発着訓練をすることもあります。また、災害救援や急患輸
送で空港の利用時間外に佐賀空港を使うこともあります。
自衛隊機が飛行するのは空港南側、有明海上空を基本とします。住宅への騒音
被害を避けるためです。
ただし、悪天候の場合、民間航空機と同じルートで飛行する場合があります。
また、様々な条件によって基本飛行ルート以外を飛ぶことがあります。一概に、
必ずこのルートを飛ぶというわけではありません。
陸上自衛隊の飛行機は、病院や学校、福祉施設の上空を極力飛ばないよう、最
大限の配慮をしています。佐賀空港配備でも同じようにします。
オスプレイの安全性は確認しています。10万飛行時間に起こった重大事故を他
の飛行機と比べたところ、極めて事故の数は少ないことがデータにあります。
佐賀空港を自衛隊が使用した場合でも、騒音被害が環境基準の57デシベルを超
える範囲に住宅地はありません。
今年4月に佐賀空港で陸上自衛隊のヘリコプターを使ったデモフライトを行い
ました。騒音測定をしたところ、有明海上空を飛ぶ基本ルートでは環境基準を越
える騒音は測定されませんでした。
民間航空機と同じルートで飛ぶデモフライトをしたところ、騒音は環境基準を
超えました。ただしこれは一瞬の測定値でした。
オスプレイがホバリングした時の風は、公共の安全にいかなる問題を生じさせ
ないとアメリカ軍政府はしています。
陸上自衛隊のオスプレイは住宅地を低空飛行することは決してありません」
住民の質問時間です。
質問
「私は柳川市に住んでいます。私はオスプレイ佐賀空港配備に全面的に賛成で
す。
市民に理解を得るために、体験飛行をするのはどうでしょうか?
漁業共同組合が反対しているそうですけれど、それは余所から来た者が反対し
ているのであって、地元住民の組合員は賛成しています」
答え
「体験飛行については柳川市議会議員の方からも要望があります。しかし、今の
ところオスプレイはアメリカ軍が使っていますので、簡単に体験飛行ができると
いう状況ではありません。もちろん、皆さんの要望に応えるよう、体験飛行の計
画を作成しているところです。
オスプレイがアメリカから日本に引き渡されるのは平成31年です。それに間に
合うよう、佐賀空港の駐屯地を完成させる予定です」
質問
「防衛局が示したこの飛行ルートは柳川市には掛からないように見えます。本当
に柳川市には影響はないのか、この地図ではわかりません。
アメリカ軍が佐賀空港を使う可能性はありますか?」
答
「風向きによって飛行ルートが変わることはあります。それは操縦士の判断によ
るものです。操縦士は自分の目で地上の目標物、例えば筑後川や高速道路を目印
にして飛行します。その時に柳川市上空を飛ぶ可能性はあります。
そのルートをこの地図に書くことはできません。基本ルートしか書けませんでし
た。
佐賀空港開設の時、佐賀県と有明海の漁業共同組合との間で、この空港を自衛
隊が使うことはない、との付属協定を結んだことは存じています。これは佐賀県
と有明海の漁業共同組合との協定ですので、部外者である防衛省が言うののは遠
慮します。
アメリカ軍がオスプレイを沖縄県以外で訓練することについては、これから協
議することですので、今、佐賀空港については申し上げることは控えさせていた
だきます。」
質問
「私は柳川市に隣接する大川市から来ました。」
司会
「あの〜柳川市民を優先しますので」
「大川市上空をオスプレイが飛ぶのですよ!大川市市民にも質問させてください」
大きな拍手が起きました。
質問
「柳川は観光が大きな産業です。静さが売りです。そこへ、オスプレイやヘリコ
プターが轟音を立てて飛んだら観光客が逃げてしまうじゃないですか?
私たちは孫や子供のために未来を考える必要があります。オスプレイ配備を認
めたら、未来を壊すことになります」
質問
「私は佐賀空港に離発着する飛行機のルート下に住んでいます。
天候が悪ければ、あるいは夜間離発着訓練をする時、自衛隊のヘリコプターや
オスプレイが計器飛行をするため、私が住む地区の上を飛ぶことになります。
私は計器飛行ルートを飛ばないという約束を防衛省がしてもらわないと、納得
できません!」
答
「計器飛行ルートを飛ばないという約束はできかねます。計器飛行ルートを飛ぶ
ことは国土交通省が定めています。また、夜間飛行をする場合でも、夜間でも見
える装置をつけてパイロットは操縦します。基本は有視界飛行です」
質問
「防衛局が配った資料には、佐賀県のことばかり書いてあります。柳川市のこと
はほとんどありません。また、デメリットばかりでメリットは書いてありません」
答
「佐賀県のことばかりを書いたのは問題でした。配慮が足りませんでした」
質問
「佐賀空港を北朝鮮がミサイルで攻撃することはありますか?」
答
「佐賀空港にオスプレイが配備されたしても、北朝鮮が佐賀空港を攻撃すること
は考えられないことです。
佐賀空港にオスプレイを配備するのは、あくま南西方面防衛のためです。北朝
鮮に対する備えではありません。
佐賀県に対するいわゆる『お土産』を提示することはありません」
質問
「オスプレイの購入費用は一機いくらですか?」
答
「財務省への概算要求では、オスプレイ一機あたり100億円です。高いかもしれま
せんが、この飛行機の高い性能を見れば、妥当な額だと思います。税金の無駄遣
いには当たらないと思います」
質問
「私は柳川市大和町のある地区で区長をしています。
佐賀空港オスプレイ配備に関する防衛省の説明は佐賀県ばかりで、飛行ルート
の下にある福岡県柳川市などにはありませんでした。マスコミ報道やインターネ
ットで初めて知ることがたくさんありました。
防衛省は福岡県の私たちのことを軽視しているのではないですか?」
答
「ご指摘の通り、佐賀県にだけ説明したかのような印象を与えてしまいました。
周知不足だったと思います。
福岡県側にも、これから説明をしていきたいと思います。」
質問
「ハワイで起こったオスプレイの事故は?」
答
「ハワイの事故は、設計段階の想定を超えた砂塵を吸い込んだことによって起き
た事故でした。アメリカ軍は、どれくらい砂塵に耐えられるかマニュアルを変更
して、安全性の確保をしました」
質問
「私は沖縄に旅行に行きました。オスプレイの騒音はどんなものですか、とバス
ガイドさんに尋ねました。ガイドさんは、会話ができません、テレビが聞こえま
せん、と言いました。
私は数字ではなく、実感で騒音データを知りたいのです」
答
「沖縄でのオスプレイの騒音問題については、市街地を飛行するために起こって
いることは、私どもも理解しております。
佐賀空港に配備されるオスプレイやヘリコプターは、騒音問題を起こさないよ
う、やむを得ない場合を除いて、極力市街地を避けて飛行します」
九州防衛局の説明会は夜9時までの予定でしたけれど、9時を過ぎても続きま
した。参加者は防衛局の説明に納得できなかったからです。
徹夜になってもおかしくない勢いでした。
説明会が始まる前、オスプレイ配備反対を訴える「九条の会柳川」の方達から、
柳川の現状を聞きました。
最近柳川市では日本会議の活動が活発化しており、会員になる人が増えている
そうです。その中には柳川市議会議員がいるそうです。毎月一回は福祉センター
の会議室で集会を開催しています。先日は櫻井よしこが講演したそうです。
この日本会議が、柳川市にある県立伝習館高校の日本史教科書採択で「新しい
歴史教科書」を使うよう働きかけ、採択させています。
そして、佐賀空港オスプレイ配備を歓迎する市議会決議を採択するよう、署名
運動をしているとのことでした。
「今日の防衛局説明には、日本会議や自衛隊関係者が動員されているから、配備
賛成の質問をする人が多いかもしれません」と言いました。
実際、オスプレイ配備反対のチラシを渡そうとしたら、
「お前ら配備反対か!こんなもの要らねえよ!」
と突き返した人がいました。
ところが、蓋を空けてみると質問者10人の内、オスプレイ配備賛成の発言をし
た人は2人だけでした。残る8人は反対か懸念を示す発言をしました。
反応も違いました。
配備賛成の人の発言には無言でした。それに対して配備反対の発言には大きな
拍手が湧き上がりました。
会場にいて感じたのは、防衛省に対する強い不信感でした。
今から40年前に佐賀空港建設計画が発表された時、柳川市では騒音公害にさら
されると反対運動が起こりました。三里塚ほどではなかったものの、無視できな
い大きな反対の声が上がりました。
結局、深夜の飛行はしないこと、自衛隊には使わせないことを約束した協定を
佐賀県と有明海の漁業共同組合が締結したことで、佐賀空港建設が始まりました。
それなのに、佐賀県は予想通り利用者が少ない佐賀空港の存続と「活用」のた
めに、佐賀県内にある陸上自衛隊ヘリコプター部隊の基地を目達原(めたばる)か
ら移転させることで防衛省と協議に入りました。防衛省は「佐賀県当局と漁業者
が結んだものなので、防衛省は関与しません」と協定を無視する態度を取ってい
ます。これが柳川市民の不信感を買っています。
佐賀空港の軍事化、オスプレイ配備の成否は柳川市民の反対にかかっています。
(ここまで)
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
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