[CML 045244] いずれが人民の側につきつつあるか、激化する論戦の本質をしっかりと掴もう。−−アメリカ大統領選論評第4弾、(中)  塩見孝也    2016 年 10 月 07 日

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2016年 10月 8日 (土) 23:54:05 JST


 ●そろそろ、トランプ氏の綜合評価をやれる時期に達しつつあるようだ。 
 最早、トランプ氏は、思いもよらぬヒラリー批判の中傷の新しい強力爆弾を見つけ出
して来、更なる妄言を繰り広げ、巻き返し図ることは出来なくなりつつあるのではない
か。 
 これまでトランプ氏が、共和党予備選で、他の候補に競り勝って来たのは、彼が、そ
れまでの共和党政治に比較的手を染めていず、ライバルへの放埓極まる個人攻撃を共和
党の伝統、文化、ルール等を無視し、恥じも外聞もなく、厚顔無恥に繰り広げることが
出来たからである。 
 共和党は「大義無き対イラク戦争」、「その勝利後の事後処理の誤り」と小ブッシュ
の大統領時代の最終局面で勃発した「リーマン恐慌」で、既に破産し、統一性や統制力
を失っていたから。 
 ところが、民主党は解体せず、影響力ある大勢力として維持され、大統領選でも統一
を維持して来た。であれば、勝手、気ままな中傷、デマを流して、ヒラリー氏を圧倒す
ることは出来ない。逆に「非難合戦」では、トランプ氏の方が分が悪くなっているのだ
。所得税申告を公開できないこと。18年間近く、税金を払っていないこと。この事態
に対するあきれ返った個人利己主義の極のような、屁理屈の弁明を重ね、開き直るだけ
なのである。かくして、彼の思想が奈辺にあるかをより鮮明に表出させた。この事件、
事態は、有権者の判断に、大いなる影響を及ぼすであろう。 
 ●ビジョンと政策の関連とその質の違い。 
 ビジョンであれば、マスコミ受けする駄法螺も許されるかも知れないが、それを政策
化してゆくとなると万人が関わる、具体的、実践課題となるが故に、その妥当性につい
て、万人の議論を通じた合理的検証が、予めでも要求される。それを経て、翻って、そ
もそものビジョンが実際に正しかったか、否かも、再検討されてゆく。そして、両者を
繋いで行くものとして大統領としての資質について、その人の力量・手腕だけでなく、
気質や人格性も吟味対象とされつつ、いろんな調査がなされて議論がなされてゆく。こ
れは、当たり前のことである。このような吟味に必要な調査活動は、「中傷合戦」とし
て疎まれたりもするが、この論戦を回避する方が、誤った態度と言える。 
 自国が今も、第一等の超大国でありながらも、相対的に地位低下し、ある種の行き詰
まり状態にあることは、アメリカ人の大方の政治家、経済人、知識人、或は運動家(革
命家)らの共通の自己認識であろう。 
 この認識の下で、アメリカ大統領選で、トランプ氏はは以下のようなイメージ、ビジ
ョンを展開し、かつこのビジョンに基づいて、一応の具体的な政策を展開して来た。 
 ビジョン、構想、イメージはトランプ氏にとっては「グローバリズムに対する<アメ
リカ第一主義(ワスプと白人中心を掲げた)>のナショナリズム」であった。 
 このビジョンは一種のデザイン、構想であるから、茫漠としても良い。マスコミ受け
する駄法螺のようなものでも、許容されるが、政策となると、具体的で実践可能なもの
でなければならない。 
 それは、彼にとって、以下のものであったといえる。 
★a,ヒスパニックに対して「壁を作る」★b,「イスラム教徒の入国禁止」★c,「
同盟国への<応分の負担>要求。」「それがないなら、米軍を退き上げ、同盟関係から
脱退する」。 
★d,「中国や日本らに雇用を奪われている事態を打破する」。「雇用を盗まれること
なく、新規投資・イノベーションを奨励し、新しく雇用を生み出す」。★e,中国への
「弱腰外交を止め」、<元>の実質以下の待遇を改める。改めさせる。★f,「法と秩
序」を厳格にしてゆく。 
 しかし、ビジョン(やイメージ)は、現実の実践的政策は違う。政策は具体的で、実
現可能でなければならない。a〜fの政策は、実現可能か,否かを問えば、様々な点で
、様々な壁を持ち、物議を醸し、現実不可能かそれに近いものも含まれていることが、
検証、論争の過程で露呈したこと。 
 トランプ氏は最初、バラク・オバマ氏が、アメリカ人ではないと言い張ったりもした
。この件が、彼の主張する、人種差別、民族差別、先住民差別などを集約する、象徴的
な、環とする必要を感じていたからであろう。しかし、この件は、まったく根も葉もな
い、願望でしかないことは、明らかであった。 
 続いて、メキシコ人を始めとしてのヒスパニックの反撃に遭ったり、ヒスパニックの
権利を擁護せんとしたりする、ある州の裁判所への的外れの批判をしたりして顰蹙を買
ったりした。イスラム系の米軍兵士の自爆テロによる犠牲の死亡について、死亡した息
子さんの両親から、涙ながらの悲痛な非難で、イスラム教徒を無差別に差別することの
反人間性の批判がなされたりもした。アフリカ系黒人のアメリカ人からも、その人たち
への予断と偏見について強い抗議を受けたりもした。こうしてトランプは、政策面では
修正せざるをえなくなった。「壁」の問題はトーンを弱め、「応分の負担」は「既にな
されている」と強烈な反論がなされ、NATOや日米安保は、アメリカ帝国主義自身の
帝国主義的独自利益確保が絡んでいることらも指摘され、彼の無知蒙昧振りが馬脚を現
わすこととなった。 
 ここまでの政策は、人種、民族、宗教を巡る差別の問題であった。 
●このような差別に加え、より人間にとって普遍姓を持つ、根本的差別ともいえる女性
差別が加わわった。女性を「太った豚」などとなじり、「妊婦は一人前の労働者ではあ
れ得ない」、「スカートは短く、容姿端麗であること」「あの女(部下、従業員の)と
は寝たい」など、公然たる性差別的言辞を続けた。この分野は、前各論評でも述べてい
るので繰り返しませんが、「ガラスの天井の存在」をまったく身をもって知っているヒ
ラリーさんであるからこそ、この性差別批判、反対の最前線を担え、女性達を激励しえ
るのである。ヒラリーさんは女性解放の頑強、不屈の最前衛の役割を果たしつつあるの
だ。 
●この30年間のアメリカ政治の停滞の所為をビル・クリントン−オバマ−ヒラリーら
の所為であると、共和党の、遠くはニクソン、レーガン、近くはブッシュ親子らの諸大
統領の責任は棚上げにして短絡させる、トランプ氏お得意の責任のすり替えによる追及
、なすりつけの手法は実行された。しかし、ヒラリーさんから「それは事実と違う」「
全部私になすり付けるのは正当ではない。」と反撃された。共和党のライバル候補位な
ら、このようなペテン的口車が通じるが、堂々たる規模と見識を持つ、民主党大統領候
補には通じなかったのである。 
●「FRBの金利政策を変えさせる」ことぐらいで、多国籍化した資本を、呼び戻すこ
とは出来ない。 
 本当に「強いアメリカを再興する」には、これまでの設備投資・イノベーションを引
き出ださねばならないが、そのやり方は従来のやり方では通用せず、それを根本的に改
めた、労使双方が平等となり、双方向的に助け合い(互助・互恵し合い)、「共同」「
協働」する「自主管理型の生産・労働」体制が必要となる。現にヒラリー(氏達)はア
メリカで歴史的に形成されてきた、民主主義、フロンティア精神に則り、自己省察しつ
つ、大胆にこの方向に踏み込み始め、体制内与党から、労働者を中心としての体制変革
者になることを目指し始めた。そのための自己否定、自己変革の態度を宣言しつつある
と僕は理解する。 
 このヒラリー民主党の大転換、<社会民主主義的な政治革命者>への自己否定、自己
変革の闘いは、トランプ氏にとって、対抗的関係性、位置・役割の鮮明化を迫られざる
を得ない。彼の政治は、旧来型の<資本(経営者)第一><階級としての労働者、労働
運動の否定、資本主義体制の革新、変革の否定><反革命の肯定><人民の搾取・収奪
を強めるやり方の肯定>となる。 結局、現今では、彼が資本主義体制護持のチャンピ
オンであることを鮮明にせざるを得ないのである。 
●第一回両者、直接対決では、触れられるだけで終わったが、最近では、極め付きのト
ランプの「スキャンダル」が暴露されてきている。「トランプ氏が納税申告手続きをと
っていない」こと。つまり、「18年間近く、彼は所得税(連邦税)を払っていなかっ
た」ことが判明したのである。 
 しかも、その開き直り方、弁解の言質が、これまたおかしいのである。奇奇怪々なの
だ。かろうじて、あからさまに言えば、徹底した資本家本位、反変革の立場から組み立
てられているのである。この見地から、従業員の雇用、生活保障、生活安寧の保障もつ
け足し的に触れるが、それは、付け足し、口先だけに過ぎない。。 
 彼は以下の如く弁明する。「大量な赤字が出れば、法律の抜け穴を使って、所得税不
払いすることは、大企業であれば違法ではない法曹上の解釈(余地)がある。」「なぜ
ならば、大企業(独占資本、金融資本)は生産と労働の経済面での中心、屋台骨で、社
会を支える支柱であり、それだけの苦労をしているのだから、免税、減税、ある種の<
脱税>は社会的に容認されるべきである。」「誰でも、特に、会社(資本)は、税金を
払わないように努めるのは、『常識だ』。従業員も、これで、恩恵を受け、生活も保障
された。自分は、そういった法曹面に精通していたから、「違法」告発はされることも
なかった。だから、自分は、他の実業家より<賢こかった>。自分は<経営の天才>で
あった。」と居直る。 
 これは人民主権、個人尊重・想像性、創造性、自由、公平、平等を民主主義の原則と
して、アメリカ国民の安寧・福祉、幸福を守ることを第一とする大統領(候補)であれ
ば、決して言ってはならない弁明と言える。<心得>違いも甚だしいのである。トラン
プ氏は、ビジネスマンとしてすら、いかがわしい限りではあるが、これを一応は許され
る(?!)としても、経営者としての心得、経営術と大統領としての身の処し方、生き
様、心得を混同している。否、大統領(候補)としての心得を、ビジネスマンの心得(
それも、いかがわしい限りなのだが)と混同させ、これにスリ替える論法を使っている
。彼は、未だ、自分が大統領候補であるのか、実業家であるのか、分別をつけきれてい
ないともいえる。 
 庶民は汗水たらしつつ労働・生産し、見積もられた税金を払い、国民としての義務を
果たす。ところが、トランプはその義務を果たしていず、「自分はそれだけ賢いのだ」
と開き直るのである。 
 こんな小利口、小ズルさ、不徳さは経営者としても道義上からしても、三流といえよ
う。ロックフェラー財団などは、前途有望で、志を持つ学者や専門家を育てようと無償
の援助をする。トランプ財団などとは雲泥の差がある。この財団はニューヨーク市から
、最近、慈善事業団体とは言えない、とその認定を取り消されたとのことも留意してお
こう。 
 まったく呆れかえった弁明である。これから残すところ後、一ヶ月の投票日までの最
終局面で、この問題はトランプ氏が抱え込む極め付きの弱点となろう。 
 ところで、ヒラリーさんの言い分では、トランプ氏は、その口先とは違って、自分が
手がける諸事業に関わる各関連業者、従業員、労働者らの人々に対して、普通以上に、
あくどい限りの収奪、搾取をやり、隷従関係を強いているとのことが公表されている。
彼の<雇用の確保、生活の保障、安寧><労働者への思いやり>はこの程度であり、実
質、空文句なのだ。この程度、ていたらくであれば、彼流の「強いアメリカ経済の再建
」が如何様なものであるかは、推して知れます。 
●トランプ氏は、「太平洋地域における、聖域無き、無関税の貿易、経済体制と銘打た
れるTPPに反対したのは、自分だ」と自慢する。これには、サンダースさん達も反対し
てきていた。(日本では、ずっとその前からか、僕ら民衆や反安倍の野党共闘に参画し
てきた人々は反対して来た)。その主張に、ヒラリーさんらが共鳴し、思想的、政治的
大転換を行おうとしているのだ。「TPPは、無政府主義的自由競争を促進させる」から
、「労働者を犠牲にして、更なる貧困を増大させ、格差が益々肯定されることとなる。
」、これはサンダースさん達の主張であった。トランプの<アメリカ第一主義>では、
ただただ、他国との経済戦争に負けないようにするために、保護主義、閉じこもりのモ
ンロー主義の見地に踏み込んでゆくような排外主義的な国家主義の見地でしかない。 
 2、3日前、ヒラリーさんは、「TPPが格差社会を助長し、労働者の貧困化を更に促
進するから、この見地で、仮にオバマ氏が議会承認にこだわっても自分は反対する、」
と旗幟を鮮明にして、元気溌剌と遊説して回っていた。気合が入り、理路整然とし、顔
色も至極良かった。これで、まったく良いのである。 
●政治は、類的利益を如何に守って行くか、の課題も有す。とりわけ、経済がグローバ
ルに発展し、巨大な生産力水準にいたり、核兵器が発達し、地球環境が、破滅に瀕する
、瀬戸際に至っている現代では、政治は世界史を総括しつつ、類的見地、類的利益の擁
護を焦眉の課題として掲げなければならない。 トランプ氏には、人類的課題に挑戦す
る気構えなどまったく見受けられない。核戦争の禁止、核実験・核武装の禁止、地球環
境防衛などの課題と向かい合う姿勢など蚊ほども見受けられないのである。朝鮮半島、
極東の朝鮮国の核実験、核武装などに対してまともに考え、向かい合う姿勢など全くな
いのである。そのくせ、プーチン・ロシアが組織したハッカー部隊の情報だけは利用す
る。そして、プーチン氏に「偉大な政治家」とおだてられ、悦にはいり、体よく利用さ
れているのが分からないのだ。こんな具合だから、「アジアはアジアで、勝手に核戦争
でも何でもやらかせ」などの暴言が吐かれるのである。 

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