[CML 045161] IK改憲重要情報(161)
河内 謙策
kenkawauchi at nifty.com
2016年 10月 1日 (土) 16:03:02 JST
IK改憲重要情報(161)[2016年10月1日]
私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)
弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策
連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所電話
03-6914-3844,FAX03-6914-3884
河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
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(以下の見解は、河内個人の見解です。市川の見解は、必ずしも河内の見解と
同じでは有りません。御了解ください。)
安倍首相の「変身」について
私は、「IK改憲重要情報(160)」で、
安倍首相が今国会で憲法改正に突き進むのかどうか、について問題提起をさせていた
だきました。
安倍首相の、9月26日の国会での所信表明演説で答えが出たようです。
安倍首相は、憲法改正問題について、演説の一番最後で「憲法はどうあるべきか。
日本が、これから、どういう国を目指すのか。それを決めるのは政府では有りませ
ん。国民です。そして、その案を国民に呈示するのは、私たち国会議員の責任であり
ます。与野党の立場を超え、憲法審査会での議論を深めていこうでは
ありませんか」と述べるに止めたのです。
明らかに、今国会をスタートにして憲法改正へ突き進むという姿勢を後退させたので
す。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement2/20160926shoshinhyomei.html
このような安倍首相の姿勢は「保守派」の中に複雑な波紋を広げているようです。
「正論」という産経新聞社から発行されている保守派のオピニオン雑誌が有りま
す。この11月号が本日発売されました。
この雑誌でも安倍首相の「変身」については立場の異なる意見が表明されています。
上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、「「真田丸」も、最後に勝つのはやっぱり家康
鳴くまで待とう安倍晋三」と題して、次のように述べています。
「私は、安倍さんが改憲を忘れてしまった、などとは考えていません。大事なことは
戦後レジームからの脱却を口にすることではない、長期政権を盤石にし日本に有利な
状況を築くなかで元来の志を実現する機をうかがう、彼はそう考えを変えたのだと
思っています。」(同上誌95頁)
日本文化チャンネル桜 代表の水島総氏は、次のように述べています。
「靖国神社への総理参拝にたいする米国大使への失望表明に示された米国政府の本気
で強烈な圧力と、中国の尖閣侵略、北朝鮮の核開発等の安全保障問題の連動圧力を受
けて、安倍総理は自身が「異変」たることを「中断」した。戦後体制との妥協の道を
選んだのである。総理は、安倍談話で、我が国が大東亜戦争という「間違った道」を
歩んだという東京裁判史観を受け入れ、その踏襲を米国に誓った。危険な歴史修正主
義者として国際的圧力で葬られる前に、総理は戦後日本体制への「回帰」と服従を内
外に宣言し、その長期政権への道を切り開いた」(同上誌287頁)
私が現時点で強調したいのは次の事です。
すなわち、今改憲勢力が一歩後退したのだから、改憲反対勢力も一歩後退したり休
息するのでなく、自分たちの弱点を克服し、運動を将来大きく発展させる好機と考え
て、新たな前進を開始すべきではないか、ということです。
私は正確な民衆運動の実情を把握していないので誤りがあるかも分かりませんが、
運動の発展方向についての私見を大胆に述べさせていただきたいと思います。
まず第1に、「敵」は、憲法改正しないで実質的に憲法改正へと進む道を選択した
のですから、憲法改正批判運動を継続することはもちろん、北朝鮮問題、東シナ海問
題、南シナ海問題、沖縄問題(高江問題、辺野古問題)等に真正面から取り組むこと
が要請されると思います。中国の核ミサイルだけでなく、北朝鮮の核ミサイルの下に
暮らすことは、絶対に我慢できないことです。どの問題についても、ニヒリズムを克
服して創造的な闘いを展開する工夫が求められていると思います。
第2に、私は、民衆運動の足腰を鍛えることを真剣に考えなければならないと思い
ます。最近の運動を見ていると、1960年代・1970年代の社会党・総評ブロックが陥っ
た誤りを再び繰り返そうとしているのではないか、と心配になることがあるのです。
あの強大だった社会党・総評ブロックも80年代に「消失」してしまいました。その最
大の原因は、社会党・総評の外に打って出なかった内向きの姿勢にありました。暑い
夏に1軒1軒まわって核問題を訴えることをしませんでした(もちろん全然しなかっ
たという訳ではありません)。
私は、改憲反対運動が地道に国民と対話をしているか疑問なのです。
足腰を鍛えるには名案はありません。私は「9条改憲反対、緊急事態条項反対」の
広範な署名運動をすることと、憲法学校などを利用して大量の改憲反対の平和活動家
を養成することを考えていただきたいと思います。
第3に、日本の民衆運動に理論家部隊(仮称)を創設する必要があると思います。
私は、この「IK改憲重要情報」で何回も訴えているように、日本の民衆運動の理
論水準は明らかに劣化しています。一体、中国問題を話せる活動家は、どれくらいい
るのですか、また「東京裁判史観」に関連してこの間議論が進められてきた第2次世
界大戦のことについて語れる活動家がどれくらいいるのでしょうか、また保守派の理
論家とシンポジウムに同席して保守派を論破できる活動家がどれくらいいるのでしょ
うか。
理論的な問題を闘うためには「理論家」が必要なのです。私に言わせると、日本の
民衆運動はマニュファクチュア以前で、組織のリーダーは、自分が理論家のリーダー
だと思っています。これは大きな間違いです。分業と協業が必要なのです。
また、困った時には、どこか学者を呼んで来れば良いと考えることも大きな間違い
です。
私は、全国各地に、現場の活動家から要請された理論家と知識人から選抜された理
論家がチームを組む、無数の理論家のシンクタンクができないか、と考えています。
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以上
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