[CML 045491] TPP批准阻止に全力をつくすしかない。PARCのTPP批准阻止と RCEPウォッチのための 国際会議参加経費支援宜しくお願いします
dctthanks at excite.co.jp
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2016年 11月 1日 (火) 12:27:05 JST
TPP批准阻止に全力をつくすしかない
安倍政権はまだTPPの英文書類8400ページ中6000ページ分もの和訳が未提出なのに、国会審議に入るとして24日に衆院にTPP特別委員会を設置し、4月には審議入りします。
TPPは農産物の関税のほとんどを撤廃させるのでそれによる日本の打撃は甚大ですが、決してそれに留まるものではなく食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達、さらに投資家対国家紛争解決(ISD)条項などあらゆる分野で日本の経済主権をアメリカに売り渡すものです。
政府は日本の皆保険制度や薬価基準、保険診療制度などは守られるかのような言い方をしていますが、そんな保証はありません。
アメリカの製薬会社や医療企業が、「日本の皆保険制度や薬価基準等によって日本における金儲けが制約されている」とISDで訴えれば、世銀傘下の裁定機関(米人弁護士2人ともう1人の弁護士によって一審制で行われる)が審議することになります。
裁定は「その制度の良し悪しではなく、それによって実際に企業の利益が失われているかどうかで判断する」と明記されているので、裁定者が「非関税障壁に当たる」と判断すれば、「米企業が本来得べかりし利益金」として、多分「兆」円に及ぶ賠償金の支払いが日本政府に命じられることになります。
そしてその訴訟は、それらの制度がなくなるまで毎年繰り返されるので、結局 皆保険制度その他は全て廃止せざるを得なくなります。
裁定機関の決定には、日本政府は勿論米政府すら口出しすることはできません。企業が政府に代わって世界を支配すると言われる所以です。
この機関は別に「公正を実現する」ためのものではなくて、米大企業の利益を守るためのものです。現に北米通商協定NAFTA(米・加・メキシコの3国)における訴訟の実績では、40数件の提訴に対してアメリカの全勝となっています。
またISDでは提訴されるたびに、被告国側が審査手数料として裁定機関に約8億円を払うというシステムになっているので、米・韓通商協定では韓国はその負担に耐えかねて、数十の国内法を協定に適合するように改定しました。
最も重要なことは、TPP協定は加入したが最後、関係国家がすべて了承しない限り脱退することができないという点で、国家が丸々その蟻地獄から逃れられなくなります。
通常、そこから得られる利益によって参加する協定であれば脱退は自由な筈です。あらゆる協定はそうなっていますが、TPPだけはその逆で、不利益を受ける標的を手放すことはしないという仕掛けになっています。そんな恐ろしい協定がかつてあったでしょうか。とにかく絶対に参加してはならず、協定を批准してはいけません。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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衆院、TPP特別委設置 与党、今国会成立目指す
産経新聞 2016年3月24日
衆院は24日の本会議で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案件と関連法案を審議する特別委員会の設置を議決する。参院で平成28年度予算案を審議中のため、特別委での実質審議入りは4月となる見通し。与党は今国会での成立を目指すが、会期末を6月1日に控え、審議日程は窮屈だ。
正式名称は「環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会」で、委員長には自民党の西川公也元農相を互選。与党は定例日を設けず、審議促進を図る考えだ。
TPP批准阻止に全力 志位委員長が表明
徹底審議で関連法案廃案へ
しんぶん赤旗 2016年3月25日
日本共産党の志位和夫委員長は24日、国会内で記者会見し、同日衆院に特別委員会が設置され、後半国会の最大の焦点となる環太平洋連携協定(TPP)について「徹底審議を通じて協定の批准を阻止し、関連法案を廃案にするために院外のたたかいと連携して全力を尽くす」と表明しました。
志位氏は、TPP協定は国会決議や自民党の選挙公約に明確に違反すると指摘。日本農業に壊滅的な打撃を与えるとともに、食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達、さらに投資家対国家紛争解決(ISD)条項など「あらゆる分野で日本の経済主権をアメリカに売り渡すものです」と強調しました。
その上で、国会での徹底審議を行うためには次の2点が当然の前提となると述べました。
第1は、安倍政権が秘密裏に進めてきた交渉の全経過を国会と国民に報告することをはじめ、十分な情報開示を行うことです。
志位氏は「これは国会決議でも求められていることです」と指摘。付属書などを含む協定全文の和訳の提出が求められているのに、英文で8400ページのうち6000ページ分もの和訳が提出されていないと述べました。
第2は、TPP協定を実施した場合の影響試算を、政府が責任をもって提出することです。
志位氏は「(昨年12月に公表された)政府の試算は、農業への影響を軽微に描き、経済面でも失業を見込んでいないなど、TPP協定が本来与える影響を覆い隠し、ばら色に描くものとなっています」と強調。各県やJAの試算はより大きな生産減少額を見込んでおり、「政府の試算は到底国民の納得を得られるものではない」と述べました。
その上で「交渉の全経過を明らかにし、十分な情報公開を行い、きちんとした試算を行うということが当然の前提です。それをもとにしつつ徹底審議を通じて批准阻止、廃案に追い込むために全力をあげたい」と力説しました。
TPP特別委 衆院に設置 共産党は反対
環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案を審議する衆院特別委員会の設置が24日の衆院本会議で賛成多数で決まりました。日本共産党と社民党は反対。与党は4月5日の本会議で両案の審議入りの日程を描いています。
本会議に先立つ衆院議院運営委員会で日本共産党の塩川鉄也議員は、両案の撤回を求め、特別委設置反対の理由を表明しました。
塩川氏は、TPP協定は「あらゆる分野で国民の命や暮らしを脅かす一方で多国籍大企業の要求を最大化する仕組みで、国民の利益とは相いれない」と強調し、国会決議にも明確に違反するものだと指摘。米大統領選挙の主要候補もTPPに反対するなど日本が前のめりに議論を進めていく状況にはなく、秘密交渉を行い、今も情報を開示せずに審議を進めるのは到底認められないと述べました。
特別委員会の委員数は45人で、日本共産党は笠井亮、畠山和也の両議員が委員になりました。
投稿者 湯沢 事務局 時刻: 4:51
TPP批准阻止と RCEPウォッチのための 国際会議参加経費支援
https://ssl.parc-jp.org/e/html/products/detail.php?product_id=41
「いのちよりも利潤の追求」を求める多国籍企業
PARCは、1990年代以降、MAI(多国間投資協定)やWTO(世界貿易機関) など自由貿易の推進に反対してきました。「いのちよりも利潤の追求」を求める多国籍企業研究・批判にも取り組み、2010年からはTPP反対の活動を行なってきました。
多くの皆さまからのご支援によって、これまでもシンガポール、ペルー、ハワイ、アトランタでの交渉会合にNGOの一員として参加してきました。TPP協定は昨年10月に大筋合意し、11月には協定文公開、2016年2月には12カ国の署名と着々と道筋がつけられ、現在は各国議会での批准手続きに入っています。昨年11月以降、私たちは6000ページにも及ぶ膨大な協定文を読み解き、国会議員や市民社会にTPPの危険を伝え、批准を阻止する活動に取り組んできました。TPP批准阻止と RCEPウォッチのための 国際会議参加経費支援
★TPP発効はまったく不透明
日本は去る4月の国会にて、TPP協定の批准をめざしましたが、野党が求めた交渉経過の文書は「真っ黒塗り」。また農産物の関税で「聖域」とされた品目を含むすべてについて「無傷のものはない」と森山農水大臣が発言するなど、政府の姿勢に野党は猛反発、議論にならないまま審議はストップし秋の臨時国会へと先送りになりました。
そもそも署名から2カ月で批准をしようとする国は他になく、実際2016年6月時点で、完全に批准を終えた国はありません(図参照)。他ならぬ米国自身が、大統領候補者がそろってTPPに反対している中で、拙速に批准しようとする日本の姿は極めて異様です。
まずは7月の参院選にてTPPを重要な争点とすることが必要ですが、その結果に関わらず、秋の臨時国会での再審議に向け、PARCを含めTPP批准阻止を求める団体・個人は夏からの運動を強化しようとしています。PARCもさらなる情報発信やキャンペーンに力を入れていきます。とりわけ、日本政府の説明にはない情報を得たり、他国の交渉結果との比較によって日本の危機が改めて浮かび上がるという意味でも、他国のNGOや諸団体、労働組合との連携にさらに力を注ぎたいと考えています。 TPP批准阻止と RCEPウォッチのための 国際会議参加経費支援 画像を拡大する
★もう一つのメガFTA「RCEP」
TPPと並行して交渉が進んでいる貿易協定に、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)があります。2013年5月から始まったRECP交渉は、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドが参加している大規模なFTAです(図参照)。TPPが米国中心である一方、RCEPは中国の発言力が強く、またインドも入っていることから、TPPと比較されることも多くあります。日本がこのRCEP交渉にどのような姿勢で臨むのかは、アジア諸国とどのような関係をつくっていくのかを考える上でもとても重要です。
しかし、RCEP交渉もTPPと同じく、交渉内容は秘密です。参加国の市民社会はネットワークをつくり、リークされた文書などを共有したり、メーリングリストなどを通じて日々情報交換をしていますが、限られた情報の中で交渉内容を分析し問題提起をしていくことは極めて困難です。RECPはTPPと比較すれば、自由化度も低く、各国の保護措置もそれなりに担保されるといわれていますが、農産物の関税だけでなく、サービス貿易や知的財産権など幅広い分野が交渉の対象とされている点はTPPと共通しています。特に、知的財産分野では、医薬品の特許に関して、日本と韓国がTPPと同じ水準の特許保護を主張しているとの情報もあり、ベトナムやマレーシア、インド、ラオス、カンボジアなど貧困層も多くエイズ患者も多い国の市民からは強い懸念が表明されています。「国境なき医師団」も、TPPと同じくRECPにおいても製薬大企業の利益が優先されることへの警告を発信しています。TPP批准阻止と RCEPウォッチのための 国際会議参加経費支援
★日本が関わる他の貿易協定に関しても注視・提言
私たちPARCは、TPPへの反対と批准阻止はもちろん、日本が関わる他の貿易協定に関しても注視し、日本の通商交渉やアジア政策の方向性全体について、提言をしていく必要があると考えています。その意味でも、TPPとRCEP、そしてTiSA(新サービス貿易協定)を総合的にとらえ、今まで以上に力を注いで取り組むく予定です。
具体的には、RCEPをウォッチする参加国のNGO・市民団体・労働組合が、7月27日―28日に大規模な国際会議・ワークショップを開催する予定です。ここにPARCスタッフが参加し、参加各国の団体との情報交換と戦略づくりを議論したいと考えています。この会合にはRECP参加国から合計100名近くの参加者が見込まれており、TPP反対活動でこれまでご一緒してきたジェーン・ケルシーさん(ニュージーランド)他、オーストラリアのAFTNETやTWN(第三世界ネットワーク)などPARCの旧知の団体からも多数参加されます。TPP批准に関する各国の状況、TPP批准阻止のためのキャンペーンやロビイ活動についての相談もこの機会に行い、その結果を日本でも発信し、今後のTPP批准阻止の活動にも十分活かしたいと考えております。
しかし限られた財政の中にあっては、十分な活動資金がまかなえない状態です。これまでも皆様にはTPP交渉会合の機会には渡航費カンパをお願いして参りましたが、今回もお願い差し上げる次第です。7月末の国際会議に関する渡航費・宿泊費・帰国後の情報発信経費として、目標額20万円といたしました。
多くの方のご助力を得ながら、TPPやRCEPの問題をさらに広く訴え運動をさらに進めたいと願っています。どうぞよろしくお願いいたします!
ヒラリーもトランプもTPP反対なのに日本だけがなぜ強行するのか? 安倍政権のTPPインチキ説明総まくり
http://lite-ra.com/2016/10/post-2657_4.html
「結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と言ったのは誰だったのか。──安倍政権は早ければ11月1日に環太平洋経済連携協定(TPP)承認案と関連法案を衆院で強行採決する見込みだという。
しかし、一体何のために政府はこれほどまでにTPPに前のめりなのか。安倍首相は「日米関係の強化」などと述べ、政府筋も「オバマが成立したがっているのだから仕方がない」と言うが、当のアメリカの世論はTPPに批判的で、トランプもヒラリーも反TPPの姿勢を強調。さらにオバマ大統領が任期中にTPP発効の承認を議会で得ることは難しく、アメリカが批准する可能性はゼロに近づきつつある。こうした事態に自民党の茂木敏充政調会長も「TPPも通せないような大統領は、私はアメリカの大統領じゃないなと思いますね」と言い出す始末だ。
「アメリカのためのTPP協調」だったならば、日本にもはや意味をなさなくなったはず。なのになぜ強行採決までして押し進めようと躍起なのか。その理由は、呆気にとられるようなものだ。
「オバマなんてたんなる言い訳で、TPPは経産省の“悲願”だからですよ。戦前、軍部が悲願のために暴走したのと同じで、走り続けてきたものをもう引き返せなくなっているだけ。とくに安倍首相の主席秘書官である今井尚哉氏は経産省出身で第二次安倍政権のTPP交渉を後押ししてきた人物。官邸も“TPPありき”で進んできたので、何の合理性もないんです」(大手新聞政治部記者)
制御不能のフリーズ状態に陥りながら、満足な説明もないままTPP承認案・関連法案はいままさに強行採決されようとしているというのだ。国民を馬鹿にするにも程があるだろう。
しかも、安倍政権は馬鹿にするだけでなく、嘘の説明によって国民をあざむき続けている。
まず、安倍首相は「TPPの誕生は、我が国のGDPを14兆円押し上げ、80万人もの新しい雇用を生み出します」と今年1月の所信表明演説で述べたが、これは空言虚説と言うべき恣意的な数字だ。
そもそも、安倍政権は2013年の段階では「TPPによって10年間でGDPが3兆2000億円上昇」と公表していたが、これに対して理論経済学や農業経済学、財務会計論などの多岐にわたる研究者たちで構成された「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、同年、「GDPは約4兆8000億円減少」「全産業で約190万人の雇用減」という影響試算を出している。
さらに、アメリカのタフツ大学も今年1月、「日本のGDPは10年間で0.12%(約56億4000万円)減少、約7万4000人の雇用減」という影響試算を公表。これらは政府とはまったく真逆の評価だ。
この影響試算の食い違いについて、元農林相でTPP批准に反対してきた山田正彦氏は著書『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』(サイゾー)で、政府試算は〈関連産業や雇用への影響など、ネガティブな面を考慮に入れず、地域別の試算もなされていないため国民生活への悪影響が出てこない〉ものだとし、一方の「大学教員の会」やタフツ大学の試算はネガティブな面も含めて試算された結果であることを指摘している。つまり、政府試算は〈ネガティブな面をほぼ無視した数字〉でしかないのだ。
しかも、安倍首相は昨年10月のTPP大筋合意の後の記者会見で、農産物重要5品目(コメ、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖)の“聖域”を死守したとし、「国民の皆様とのお約束はしっかりと守ることができた」「関税撤廃の例外をしっかりと確保することができました」と語ったが、これもとんだ詭弁だ。山田氏は前掲書で、〈重要5品目の分野が586品目あり、そのうちに関税が撤廃されるものは174品目、残りは関税が削減されるものなので、それだけでも約3割は「聖域は守れなかった」と断定できる〉と批判する。
さらに、同年11月に公表された協定案では、アメリカ、オーストラリアなど5カ国と、相手国から要請があれば協定発効から7年後には農林水産物の関税撤廃の再協議に応じる規定があることがわかった。これはあきらかに日本を狙い撃ちした規定であり、7年間の“執行猶予”を与えられただけだったのだ。
にもかかわらず、テレビは大筋合意を政権の言うままに「歴史的快挙」などと大々的に取り上げ、「牛肉や豚肉が安くなる」「これで品薄状態のバターも安価で手に入りやすくなる」などと強調。報道によって、他方で甚大なリスクがあるという事実を隠してしまったのだ。
少し考えればすぐわかるように、輸入品が増えることによって国内の農畜産物が大打撃を受けることは明々白々で、廃業に追い込まれる生産者は続出するだろう。となれば、食料自給率も低下するのは必然だ。日本の食料自給率は2015年のデータでもカロリーベースで39%と主要先進国のなかでも最低水準なのだが、農林水産省は2010年の試算でTPPが発効されれば食料自給率は14%に低下すると発表している。それでなくても命に直結する食を海外に依存している状態であるのに、もしも気候変動で農作物が凶作となり輸入がストップしても、そのとき国内に広がっているのは生産者のいない荒廃した農地だけだ。
それだけではない。アメリカなどでは牛肉や豚肉、鶏肉などに発がん性リスクが懸念されている成長ホルモン剤を使っており、食肉だけではなく牛乳などの乳製品にも健康リスクへの不安は高まる。くわえて心配なのが、遺伝子組み換え食品の問題だ。前述した山田氏は〈TPP協定では、何とこれらの遺伝子組み換え鮭など数多くの遺伝子組み換え食品を安全なものとして、域内での自由な貿易を前提にさまざまな規定が置かれている〉と指摘し、現行では遺伝子組み換え食品には表示がなされているが、これもTPP協定下ではできなくなってしまう可能性にも言及。そればかりか、「国産」「産地」といった表示もできなくなる可能性すらあるのだという。
しかし、こうした問題点は氷山の一角にすぎない。TPPをめぐる問題は、挙げ出せばキリがないほど多岐にわたる。たとえば、山田氏が前掲書で提起している問題を一部だけ取り出しても、この通りだ。
・リンゴやミカンなどの果樹農家が打撃を受け、水産業・関連産業で500億円の生産額減少
・残留農薬や食品添加物などの安全基準が大幅に下がる
・薬の臨床試験や検査が大幅にカット。また、ジェネリック薬品が作れなくなる可能性
・医薬品はさらに高額となり、タミフル1錠7万円のアメリカ並みかそれ以上に
・健康保険料が現在の2〜3倍になり、国民皆保険も解体される可能性
・パロディなどの二次創作物が特許権に反するとして巨額の損害賠償を求められるように
・政府はプロバイダを規制できるようになるため「知る権利」「表現の自由」が大きく損なわれる
・外国企業から訴えられるために最低賃金引き上げができなくなる
そして、最大の問題が、「ISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)」だ。前述した遺伝子組み換えの食品表示などもISD条項が問題の根本にあるが、それはISD条項が企業などの投資家を守るためのものであるためだ。しかも、国内法ではなく国際仲裁機関が判断を下すISD条項は、〈最高裁判所の判決よりも、ワシントンD.C.の世界銀行にある仲裁判断の決定が効力を生じることになっている〉(前掲書より)。これは日本国憲法76条第1項「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」に反することになる。さらに〈私たちに憲法上保障されている基本的人権もTPP協定によって損なわれていくことになる。憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるが、TPPでは貧富の格差がさらに拡大して、金持ちでないと医療も受けられず、安全な食料も手に入らなくなってくる〉のだ。
昨年、来日したノーベル経済学者のジョセフ・E・スティグリッツ教授は「ISD条項で日本国の主権が損なわれる」と指摘したというが、この言葉通り、TPPはわたしたちのいまの生活を悪化させるだけでなく、憲法という根底さえも崩す。そう、「TPPは、グローバル企業のロビイストたちが書き上げた世界の富を支配しようとする管理貿易協定」(スティグリッツ教授)でしかないのだ。
このような問題点は国会でも野党が追及、参考人質疑でも専門家から厳しく指摘がなされたが、安倍首相は「TPP協定には、わが国の食品の安全を脅かすルールは一切ない」などと大嘘をつくだけで、同じように山本有二農水相も石原伸晃TPP担当相も納得のいく具体的な説明を一切行っていない。情報開示を求められた交渉記録さえ、いまだ黒塗りのままだ。
国民からあらゆるリスクを隠蔽し法案を強行採決する──特定秘密保護法や安保法制でも安倍首相のそのやり口を見てきたが、またしても同じことが、いままさに繰り返されようとしているのである。
(野尻民夫)
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