[CML 042719] 今日の言葉 ――日本ファシズムは、すくなくとも日本人と社会との底流に奥深く根を下ろしたものであり、その特質はこのような底流に鋭いメスを加えることなしには解明されえない。
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2016年 3月 30日 (水) 06:06:43 JST
Blog「みずき」:辺見庸のいう「戦争法施行賛成のハナクソデモ」という表現を誤読してはならないでしょう。それはもちろん、
現在日本の「革新」状況に対する辺見の疑念の表明であり、その時代閉塞感を表現しようとした辺見のアフォリズムです。
しかし、辺見の乾坤一擲の指摘はおそらく現在(いま)の「市民運動」勢力には届かないでしょう。運動には運動に到るま
での人間の精神過程というものがある、というあまりにも当然なことを認識する力が見失われて久しいからです。逆にいえ
ば現在(いま)は表層だけが浮遊している時代なのです。だから、そこにファシズムがつけこみ、忍び寄る。辺見の批判と
はそういうものではないか。
【オーウェルの率直な述懐はなにを意味するか】
「日本ファシズムは、すくなくとも日本人と社会との底流に奥深く根を下ろしたものであり、その特質はこのような底流に鋭いメスを加
えることなしには解明されえないのであり、そのような解明なしに未来を企図することも許されないであろう」(神島二郎『近代日本の
精神構造』第一部「天皇制ファシズムと庶民意識の問題」1960年)。(略)このクニに「桃太郎主義」というのがあったのを知らなかっ
た。
pacifismのつかいかたをかんがえる。いっぱんてきに、pacifism springs from the
belief that nations do not matter, that "humanity is
the great idea."とも言うが、オーウェルは“Pacifism is objectively
pro-fascist. This is elementary common sense. If you hamper the war
effort of one side, you automatically help out that of the other. Nor is
there any real way of remaining outside such a war as the
present one. In practice, 'he that is not with me is against me'.”と書いた。「pacifistが暴力を放棄できるのは、だれか他の者がかわり
に暴力を行使してくれるからにすぎない」とも述べている。Objectively the
pacifist is pro-Naziとも記したことがある。(略)いまにしてお
もえば、pacifistを自称するのは、あまりに安直で敵前逃亡(の言い訳)に似るときがある。
ロンドンのハースト&ブラケット社が刊行したヒトラー著『わが闘争』(英国人エドガー・ダグデール訳 MY STRUGGLE)の再版本には、
〈本書からの利潤はすべて赤十字に寄付する〉とうたった新しいカバーがつけられていたという。1930年代に同社から出版された『わ
が闘争』無削除版は、ジョージ・オーウェルによれば、ヒトラー擁護の立場で編集された。「訳者はその序文と注で、あきらかにこの
本の残忍さを弱め、ヒットラーをできるかぎり好意のもてる人物に仕立てようとしている」(オーウェル「書評――アドルフ・ヒットラー著
『わが闘争』1940年)。オーウェルはおどろくべき率直さで書いている。「わたし(オーウェル)は、自分が一度もヒットラーを嫌いになれ
なかったことを、はっきり言っておきたい」「……わたしは、もし手の届くところまで近づければぜったいに彼(ヒトラー)を殺すだろうが、
それでも個人的な敵意を抱くことはできまいと考えてきた」。後知恵ではない。ナチスドイツによる「ザ・ブリッツ」(The Blitz、ロンドン大
空襲、1940年9月~41年5月)のころの実時間にそう記している。そのことにおどろく。pacifist、pacifismをpro-Nazi、pro-fascist呼ばわ
りしたオーウェルには、そう言うだけの骨があった。国会前で戦争法施行賛成のハナクソデモがあったらしい。えっ、安保法制反対?
あれが?(辺見庸「日録」2016/03/25~抜粋)
以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1850.html
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/
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