[CML 042699] 「政治変革」という視点からは民進党の結成をどう見るべきか ――メディアの「自民党1強」論と元日本共産党議長の不破哲三氏の「別に自民党が強くなったと思わない」論に関連して

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2016年 3月 28日 (月) 18:14:10 JST


昨日の27日、民主党と維新の党が合流して「民進党」が正式に結成されました。朝日新聞はこの同党の発足について28日
付けで「民進党の発足 1強と対峙するには」という新民進党にとってはややシビアな社説を掲げています。しかし、その社説
の前提は自民党という「1強と対峙するには」というものです。朝日社説のこの前提は正しいか? 元日本共産党議長の不破
哲三氏はその「自民党1強」論について次のように述べています。「過去に比べて別に自民党が強くなったと思わない。仕掛け
を利用して文字通りの少数独裁を実行しようとしていることの表れ」にすぎない、と。この「自民党1強」論についてもう少し詳し
く不破氏の論を引いてみます。

      「そういう状況の中で現在の自民党があるが、よく自民党1強といわれるが、過去に比べて別に自民党が強くなった
      と思わない。仕掛けを利用して文字通りの少数独裁を実行しようとしていることの表れだ。この現状は、自民党自身
      にとっても危険な瀬戸際政策にもなっていると思う。やる政策の主要部分が全て国民世論から孤立している。戦争
      法、沖縄の辺野古問題、TPP、原発再開等々。安倍内閣が年を経るごとに焦りが目立つように感じている」

      「アベノミクスの総括もしないで、すぐ次のミクスが出てくる。スローガンが出てから関係官庁を集めて裏付けをつくれ
      ということになる。例えば、消費税の問題も、これまでの自民党政権は最初に消費税を導入するまでにものすごく時
      間がかかった。何代も内閣が替わった。しかも最初の内閣が取り上げるまでに、経団連が1年にわたって自民党本
      部を説得に日参する事態まで起きた。ところが今では消費税を増税するのをいとも簡単に決めてしまう。憲法の改
      定に匹敵する憲法解釈の変更さえ、今朝の新聞に大きく出ていたが、何の議論も残さないで内閣法制局が一夜に
      して決めてしまう。こういう政治、政権は本当に危ないと思う」

      「対話と論戦も回避するのも特徴だ。大局的に見ると、自民党は結党以来60年にして最も危険な段階に入りつつあ
      るのではないかと思っている。これが私の安倍政治を見てきた率直な感想だ」(不破哲三「産経新聞」 2015.12.13)

「自民党1強」論については不破氏の見方は正鵠を射ているだろうと私も思います。しかし、そうした論調とは別に、同党の政
調会長に「リベラル」の山尾志桜里氏が就任したことを理由に民進党結成に祝意を述べるリベラルもいます。山尾氏がリベラ
ルかどうかについては私は同氏自体をまったく知らないので同氏自体の評価は保留しておきますが、そのこととは別に果たし
て民進党結成は祝意を表すべき政治的事象といえるのか。その点については私ははっきりと疑問符を突きつけておきたいと
思います。以下、そのことについて若干のことを述べます。

私の疑問の第1は上記の不破哲三氏の「別に自民党が強くなったと思わない」論に関連してのものです。不破氏の「自民党は
結党以来60年にして最も危険な段階に入りつつある」というのはそのとおりでしょう。その点については私も不破氏の見方に
同意できます。しかし、同党をそれほどまでにも「最も危険な段階」にまで入らしめたのはいったいどこの誰か? 不破氏の言う
ように「過去に比べて別に自民党が強くなった」のではないのであれば、当然、同党以外の「強くなった」ほかのなにかの要因
があるはずです。私はそのことを問題にしたい。

共産党綱領の改定という要因に絞ってみても、不破氏と現共産党委員長の志位氏が同党委員長をつとめてきたこの20年の
間に共産党はずいぶん「右傾化」してしまいました。その積層した「右傾化」のさまが突出して現われたのが昨年末の天皇臨席
下の国会開会式出席と慰安婦問題に関する「日韓『合意』」評価ということができるでしょう。同党の「右傾化」のさまが市民運
動の分野、新聞、雑誌をはじめとするメディア、市民社会にも伝播し、さらにその空気感が自民党政権下にも伝播していったそ
の結果として自民党を「最も危険な段階に入」らしめた。自民党外に「強くなった」もののひとつの説得的な論理的帰結としてそ
う考えるのが自然です。不破氏の上記の政治的回顧にはおのが足元を見るという視点が欠落しているのではないか。自己点
検を欠いた他者批判は一方的なものでしかなく、客観性という点において説得力に乏しいといわなければならないでしょう。

疑問の第2はAfternoon Cafeブログ主宰者の秋原葉月さんの論を援用して述べることにします。秋原さんは民進党の前身母
体のひとつの民主党の評価について次のように述べています。

      「これは私の想像ですが、第一次の時はまだ国民は民主党という希望を託せる先があったから安倍・自民からどんど
      ん離反していって支持率が下がりまくった。けれど、結局民主政権になってみたら自民と変わらず大失望。だから今
      回「他にどこもない」とますます政治に関心を失って、安倍消極支持が続いてるのだと思うのです。何が民主党の罪か
      と言えば、これが一番の大罪です。民主党政権の失敗は、特に小泉内閣以降、日本が急速に戦前回帰の憲法破壊
      というゴールに向かって転がりおちてる速度を、更に加速させました。今の戦後最悪の民主主義破壊政権を固定させ
      た立役者は民主党なのです。」(Afternoon Cafe 
2015/02/28)


以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1847.html


東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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