[CML 042675] 今日の言葉 ――「抵抗運動は権力者によって操作されている」というミシェル・チョスドスキ(カナダ・オタワ大学経済学教授)の市民運動家への警鐘をどう聴くか。

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2016年 3月 26日 (土) 15:05:42 JST


      Blog「みずき」:ディストピア氏は「デモはあまり意味がない」と述べていますが、私はこのディストピア氏の論には賛
      成しません。いま、アメリカで吹き荒れているサンダース旋風の当事者のサンダースの主張とウォール街デモの際
      のインディペンデント(無党派層)の"We are the 99%"の主張は相似しています。そして、そのインディペンデントた
      ちがサンダース旋風の主役であることからもウォール街のデモが今回の政治的波動の大きな震源のひとつになっ
      ていることは明らかです。「デモはあまり意味がない」とはいえないでしょう。なお、ここでディストピア氏が述べてい
      るアラブの春などのいわゆるカラー革命の評価については同様の認識を元外交官で政治学者の浅井基文さんな
      ども述べています。ディストピア氏の主張は決して自己流ではないということです。

【市民運動が侵略者にとって最大のエールとなっているという逆説】
貧困の撲滅をうたうデモ行進、ウォール街デモはアメリカの著名な知識人も支持していることもあり、現代世界の代表的な社
会運動の1つとして数えられているように思われる。同運動は、非暴力抵抗運動の世界的権威、ジーン・シャープの『独裁体
制から民主主義へ』を教科書としたものだ。(略)結論から言うと、私はこのデモはあまり意味がないと思っている。民主主義
の原則は選挙と立法だ。主義を同じくした人間が結党し、選挙を通じて国民から信託を得て議会を通じて法案を成立、制定
する。これが基本的なルールである。これを無視して、デモを行っても、これはしょせんは権力者に対して「どうか願いを聞き
届けたまえー」と騒いでいるだけのこと。言ってみれば裏技なのだ。本当にルールを変えたいのであれば、自分たちの手に
権力を集中させるよう政党活動をするべきである。(略)

他にも疑わしい点はある。前述のジーン・シャープの著作は、「アラブの春」の時にも参考にされたが、結果的に同運動は
(特にシリアやリビアでは)地域の治安と秩序を破壊し、政情をますます不安定化させ、ダーイシュ(ISIS)を誕生させ大量の
難民を発生させている。池上彰のような小賢しい合法詐欺師は、当初は民主主義運動だったのだが…と語っているが、当
初からリビアの侵攻はNATO軍と現地の過激派(アルカイダ系列)が協力して展開されていた。エジプトの革命だって、ムバラ
ク政権下、過激派として弾圧されていたムスリム同胞団も運動の主体になっていた。
少なくともエジプトの革命は、現地の過
激な宗教主義者と妥協 されて行われたもので、案の定、その後の政治はムスリム同胞団が主導権を握り、結果的に更なる
困難が待っていたわけである。同運動の支持者はリビアとシリアを名指しで悪の巣窟と語っていた。これはアメリカと全く同じ
立場である。こういう究極的にはアメリカの国益に従って行動している正義がはたして民衆を救えるのだろうか。アラブの春
は、その答えを示した運動でもあったと言えよう。

ウォール街の占拠運動は、国際ハッカー集団、アノニマスが企画したものでもある。この集団は北朝鮮系の在日団体、総連
の広報機関である朝鮮新報のサイトをハッキング、しばらくの停止へと追い込んだことがある。北朝鮮では人権が侵害され
ていると言って、シー・シェパードも真っ青の強引な手段をもって攻撃するこの集団に理性があるとは思えない。そして、彼ら
がデモを企画したというのであれば、そのデモも十分、一見非暴力的に見えてその実、非常に暴力的な行動ではないかと感
じる。(略)チョスドスキー博士は抵抗運動が権力者によって操作されていると語っているが、まさにそのとおりで、(略)こうい
う行為が侵略者にとって最大のエールであることは言うまでもない。そして、こういう行為をするように誘導されている連中が
叫ぶ貧困撲滅、自由、人権の浅薄さは被侵略国の惨状をみれば明白だ。(時事解説「ディストピア」2016-03-23)


以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1843.html


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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