[CML 042661] 今日の言葉 ――国が和解に転じたのはそのほうが自らに利があると判断したからだろう。沖縄が勝てる闘いを最後まで闘い抜いていれば、より大きな実を手にしていた可能性はないだろうか。

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2016年 3月 25日 (金) 10:28:03 JST


      Blog「みずき」:辺野古和解条項9項問題に関する仲宗根勇さんの下記掲載の論のほか既出記事「まさに問題とすべき
      辺野古和解条項9項問題に触れたがらないような雰囲気が沖縄の中にあるのは不可解である」(2016.03.18)も合わせ
      てご参照ください。

【「和解」は果たして沖縄に利する選択だったのか】
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、県と国との間で成立した「和解」の翌日、県紙には「県主張沿い『勝訴』」「つい
にやった」などの見出しが躍った。県内で和解を評価する声があふれる傍ら、米側には冷静さが漂う。果たして和解は誰に利する
ものなのか。

「和解の前提は辺野古見直しのための協議ではない。移設先をめぐる議論はすでに終わった。だから法廷闘争が始まった」と話
す米国務省高官は、日米両政府は移設先を辺野古と定めた現行計画を一貫して堅持しており、移設を着実に履行するための
選択が和解勧告の受け入れだったと指摘。地方分権の理念を無視して代執行に踏み切った日本側の判断の甘さを批判し、「もし
敗訴していれば影響は大きかった」と解釈する。

米側の最大の懸念は、日本政府が敗訴し、県の主張の正当性が認められるという点だった。法で定められた手順を無視してま
で沖縄を抑え込もうという日本政府の姿勢が「敗訴」という形で明確になれば、米国防予算のひもを握る米連邦議会の目や世論
の風当たりも厳しくなる。そうすれば辺野古移設そのものを見直す契機となりかねない。 


米側が「最善の選択だった」と捉えるこの和解案で気になるのは「判決確定後は、直ちに同判決に従い、同主文およびそれを導く
理由の趣旨に沿った手続きをするとともに、その後も同趣旨に従って協力して誠実に対応することを相互に確約する」と定めた和
解条項だ。元裁判官でうるま市具志川九条の会共同代表の仲宗根勇氏は「県にとって最悪の問題が和解条項9項に潜む」と指
摘したうえで、同項の射程範囲をめぐる県と国の解釈の差を懸念し、「この9項にこそ『工事中止』を見せ金として、安倍官邸が和
解にかける新基地工事強行戦略の秘密が隠されていると考える」と警鐘を鳴らす。(本紙3月22日付)国が和解に転じたのは、工
事を一時中止しても、そのほうが自らに利があると判断したからだろう。沖縄が勝てる闘いを最後まで闘い抜いていれば、より大
きな実を手にしていた可能性はないだろうか。「和解」は果たして沖縄に利する選択だったのか。和解に至るまでの過程とともに多
角的な検証が必要である。(平安名純代(米国・特約記者) 沖縄タイムス「想い風(うむいかじ)」 2016年3月23日)

【県にとって最悪の問題が和解条項9項(略)に潜む】
(略)

通常の裁判官が和解勧告案にこのような条項を入れるはずはなく、入れるとすれば、和解成立のためには米国を利害関係人と
して和解手続きに参加させる必要があるはずである(大審院昭和13年8月9日判決)。このような和解条項は和解全体の無効を
きたすものとなる。今回、同時に二つの和解案が提示されたこと自体、通常の裁判実務ではあり得ず、県のハードルを高くしたA
案の提示は、県の暫定案(B案)の受け入れを誘導するための狡知にたけた心理作戦的目くらましのためのものであったのか。

二つの和解案は裁判所から出た和解案とは到底思えない。裁判実務・理論に不案内な法務官僚と安倍官邸が共同で作成した
裁判手続き的に無効原因を含む政治的な和解案ではないかと当初から私は疑った。案の定、官邸と法務省幹部が舞台裏で協
議し、和解案を受け入れたことなど、驚くべき報道が一部でなされている。もし報道が事実だとすると、ことは司法権の独立に関
わる重大な事件へと発展することが必定である。

県にとって最悪の問題が和解条項9項(「判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った
手続きを実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する」)に潜む。

(略)

この9項にこそ、「工事中止」を見せ金としつつ、安倍官邸が和解にかけた新基地工事強行戦略の秘密が隠されていると考える。
そのための国の周到なアリバイ的訴訟行為が口頭弁論でも発現された。翁長雄志知事への反対尋問で、国側は、「判決に従う
かどうか」と執拗に何度も質問したことを詳細な尋問報道が伝えた。また安倍首相も和解成立後の会見で9項の文言を繰り返し
繰り返し強調した。県が将来主張するだろう対抗手段を切断するための国の予防的策動である。これまでの法廷闘争は前知事
の埋め立て承認は瑕疵(法律上何らかの欠点・欠陥があること)のある行政行為だとして現知事が承認を取り消したことに始ま
った。行政行為の「取消」のほか公益上の必要から認められる行政行為の「撤回」というカードも知事が握っているが、和解条項
は知事がそのカードを切る際のマイナス要因にもなりかねない。(仲宗根勇 沖縄タイムス 2016年3月22日)


以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1841.html


東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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