[CML 042521] 今日の言葉 ――まさに問題とすべき辺野古和解条項9項問題に触れたがらないような雰囲気が沖縄の中にあるのは不可解である。「オール沖縄」に傷がつくことを恐れているのであろうか。
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2016年 3月 18日 (金) 09:42:51 JST
Blog「みずき」:仲宗根勇さんは沖縄「復帰」前の琉球政府裁判所公務員で、「復帰」後は最高裁判所の簡易裁判所
判事試験に沖縄県から初合格した元裁判官です。私は知りませんでしたが、1972年の日本「復帰」をめぐって反
復帰論の指折りの論者としても名を轟かせていたそうです。さすがというべきか、その駆使する論理は強靭なものが
ある、というのが同氏の論をはじめて読んだ私の感想です。
【和解条項9項をリアルに読み込むということ】
辺野古和解は、早くも訴訟後の対応を巡っての国と県のせめぎ合いに焦点が集まりつつある。つまり、和解条項9の「原告・
国及び利害関係人・沖縄防衛局長と被告・沖縄県は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主
文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続きを実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応する
ことを相互に確約する。」という和解条項の文言をどう読むかという解釈論である。残念ながら、県知事や県の弁護団は、こ
の条項の射程範囲は埋め立て承認の取り消しだけに適用され、判決後の知事の設計変更申請に対する権限行使などは可
能であると解釈している。それは民事訴訟法114条1項(「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」)だけ
を前提とすればその通りである。
既判力というのは、同じ当事者間で判決後に別の訴訟が提起された場合、当事者は前訴で確定された権利または法律関係
に反する主張ができなくなるという効力である。その既判力が生ずるのは、結論的な判断である判決主文だけであって、主文
に表示された判断以外の判決理由については既判力は生じないのが原則である。(略)つまり、所有権がないことを判決理由
として敗訴した当事者は、別の訴訟でまた所有権を主張することができる。判決理由には既判力が認められないからである。
しかし、和解条項9で判決主文ばかりでなく「判決理由の趣旨」、「その後も」同趣旨に従うとなっているから、民訴法114条の
解釈論とは無関係に和解条項9の効果として、もしも、県が敗訴し、その判決理由が県知事の権限行使を否定するような事項
にわたって判断された場合は、沖縄県の判決後の対応は袋小路に迷い込む恐れがある。つまり、前の例で言えば、敗訴した
当事者は別の訴訟で所有権の主張ができなくなるわけだ。
「政府が和解に応じたのは、「その後も」に注目し新たな訴訟で負けないとの官邸筋の見通しの下、判決が確定すれば県の協
力が得られると考えたからだった。」(毎日新聞3月10日報道)し、3月7日の官房長官会見でも9項を引いて裁判で判断が示
された場合はそれに従って進めていくと述べている。いかにこの9項が今回の和解の決定的なものであったかがわかる。しか
し、県の弁護団が9項の文言を厳格に検討した形跡はみられず、「工事中止」に舞い上がって9項にこめた国のワナを見逃し
たのではないか。
9項の射程範囲についての自説を固守することなく、国が仕掛けたワナの対抗策を県内はもちろん全国的な英知を集めて準
備すべきだと思う。しかし、まさに問題とすべきこの9項問題に触れたがらないような雰囲気が沖縄の中にあるのは不可解であ
る。和解成立=工事中断=勝利の味や手柄を関係者が数ヶ月の瞬間にせよ感受したい思いからであろうか。「オール沖縄」に
傷がつくことを恐れているのであろうか。今はただ将来の辺野古の戦いのためには和解成立によってもたらされた現実を和解
条項を厳密に読み込むことでリアルに認識する必要があると思うのだが、、。(仲宗根勇Twitter 2016年3月15日)
以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1829.html
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/
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