[CML 042485] 今日の言葉 ――あの当時中国は荒廃の極に達し、経済は崩壊の危機に瀕していたというのに、日本では文革を生半可に知って礼賛し、さらには「歴史的・哲学的意義」を求めた人々がいた。

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2016年 3月 16日 (水) 09:13:16 JST


      Blog「みずき」:60年代の終わり、私は「文化大革命」という言葉を「造反有理」という言葉とともに知りました。造反有理
      とは「造反に理有り」という意味で当時は肯定的に用いられていました。まだ毛沢東は日本の革新勢力の中では神格化
      されていて、『毛語録』も盛んに読まれていた時代です。「造反有理」という言葉はその『語録』の中にあった言葉だと記
      憶しています。いまでは毛沢東の「大躍進」政策も「文化大革命」の扇動もともに誤りであったことは明らかですが(習近
      平は「『大躍進』は正しかった」と言っているそうですが)、ともあれ、あれから半世紀(50年)の月日を経たということです。
      私は私として思想上の問題を含めたこの時期の「青春の蹉跌」ということを思わざるをえません。それは個としては成長
      の糧ともなりうるのですが、「国家の蹉跌」はいったい治癒するのか? 50年の年月を経ても治癒していないというのが
      現実というのはなんとも悲しいことです。

【「文革」は毛沢東の狂気だった】
今年は中国で文化大革命が始まって50年にあたる。現在中国では文革研究は低調だ。新事実の発見があっても公表は控える。
文革だけではなく「大躍進」の研究についても有形無形の圧力がかかる。さいきん習近平中国共産党総書記が毛沢東の「大躍進」
は正しかったといったそうだから、同じ毛沢東主導の文革では研究はますますやりにくくなっている。ところが、昨年12月の中山大
学(広州市)の「文化大革命の反省」講座で、具体例をあげて文革の実態をリアルに語った教授がいて、関係者や学生の注目を浴
びた。

この教授は于幼軍という。(略)彼は聴講を大学の教師らと学生に限り、撮影や録音をやめさせたうえでこの講義をおこなった。講
義内容は、若者にとっては衝撃的で深刻であろうと思われる。はばかりながら中国の学生らは、大躍進や文革について我々日本
人ほどの知識はない。于幼軍は講義の中で、劉少奇国家主席をはじめ、230万の官僚が迫害され、副部長(省次官)レベルの75%
が審査あるいは打撃・迫害を受けた。またその経済的損害は5000億元に及ぶだろうと語った。ここにいう打撃とは言論思想上のこ
とではない。吊し上げやぶん殴ることである。迫害というのは拷問や殺人のことである。(略)于幼軍教授は、学生の「文革再発の
危険性はあるか」という質問に答えて、「文革の起きるような土壌はやはり存在する。とくに理性の存在しない条件のもとでは再発
する可能性がある」と話した。(略)

文革は毛沢東の呼びかけによって、「我々は搾取階級のあらゆる旧思想・旧文化・旧風俗・旧習慣(四旧)を大いに打ち破り四つの
新を打立てる」として始まった。そして壮大な破壊・殺人になった。そして文革をやった連中の歴史認識は以上の程度のものだった。
あの当時中国は荒廃の極に達し、経済は崩壊の危機に瀕していたというのに、日本では文革を生半可に知って礼賛し、さらには
「歴史的・哲学的意義」を求めた人々がいた。だが実態を知らずしてなにがわかるというのだろう。どんな悲劇でも事実を忘れてしま
えば、いくらでも再現するのだ。3000万、4000万の餓死者を出した「大躍進」が毛沢東のコミューン幻想だったとすれば、文革は彼
の狂気だったというほかない。(阿部治平「リベラル21」 2016.03.15)


以下、省略。全文は下記をご参照ください。
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東本高志@大分
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