[CML 042341]  『犯罪者が刑法を改正しろ』と言っているようなものRe: 今日の言葉 ――木村草太氏は特殊な自説を主張することによって、本来、端的に「7・1閣議決定は違憲である」と正すべきところ、これを弱め、曖昧にする楽観論を広めた。その責任は免れない。

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2016年 3月 8日 (火) 09:01:07 JST


みなさん前田さん
 
お世話様
 木村草太氏は
安倍晋三首相が憲法を『変えたい、変えたい』と
口にする倒錯について、
 『犯罪者が刑法を改正しろ』と言っているようなもの、と
ツイッターで書いていたので感心していたのですが。
 
            (石垣敏夫)


] Re: 今日の言葉 ――木村草太氏は特殊な自説を主張することによって、
本来、端的に「7・1閣議決定は違憲である」と正すべきところ、これを弱め、
曖昧にする楽観論を広めた。その責任は免れない。 

前田 朗です。
3月7日

東本さん

ご苦労様です。

木村草太さん、なかなかの曲者です。A説とB説の対立の中で、合間を縫った奇
説を繰り出します。単純な折衷説ではなく、あたかも、まったく視点を変えた斬
新な説であるかのごとく打ち出します。なかなか頭がいい。しかし、実は古臭い
学説に化粧を施しているだけです。

水島さんの木村草太批判は、水島朝穂『ライブ講義徹底分析 集団的自衛権』
(岩波書店)でもピシャリと書かれています。それ以前から憲法学者は皆知って
いたことです。この本については、
http://maeda-akira.blogspot.ch/2015/08/blog-post_2.html

ちなみに、上記ブログに、私は「本書はすでに国会審議やメディアの報道におい
ても活用されているようだが、まだまだ十分とは言えない。」と書きましたが、
不思議な現象がみられました。国会質問で、複数の議員たちが、明らかに本書を
使って質問をしているのに、誰一人として著者の名前も書名もだしません。

そして、憲法学者を国会に呼んだ時も、水島さんは呼ばれていません。改憲論者
の小林節さんや特定秘密保護法擁護の長谷部さんが呼ばれたのです。水島さんの
本、この時は新聞等の書評もあまり出ませんでした。不思議。他方で木村草太さ
んはメディアに出ずっぱり。マスコミは安保法制を本気で批判するつもりはなく、
最初から落としどころを探っていたので、木村草太さんだったのでしょう。

ヘイト・スピーチでも、木村草太さんは、「ヘイト・スピーチには現行法で対処
できる。だから立法は必要ない」とあちこちで喋って歩いています。まったく対
処できないから問題になっているのに、議論をひっくり返します。現状放置です
から在特会も大喜び。ところが、コロっと騙される人間が多い。また、「ヘイト・
スピーチの法的対応はアメリカ型とヨーロッパ型」などと珍奇な見解も述べてい
ます。初歩的知識のない人間が憲法学者と名乗って、あれこれ吹聴しているだけ
です。しかし、議論の立て方はなかなか巧妙というか、少なくとも形式的三段論
法プラスアルファ路線。

ではまた。


----- Original Message -----
> Blog「みずき」:木村草太さんは昨年末からテレビ朝日「報道ス
テーション」のコメンテーターに抜擢されるなど目下
> 売出し中の新進気鋭の憲法学者です。リベラルの論客としていわ
ゆるリベラル・左派からの人気も高いものがあ
> るようですが、そのリベラル度はほんものか。水島朝穂さんが彼
の説く論の本質的な保守性の問題性を鋭く剔抉
> しています。見るべき目を確かにするためにも読まれるべき指摘
だと思います。
> 
> 【来栖三郎が問うた「解釈者の責任」の問題】
> 「7・1閣議決定」は、集団的自衛権と個別的自衛権とが「重なり合う」なかで、
個別的自衛権の範囲の一部を集団的自衛権
> と呼んでいるだけであると主張する木村草太氏の議論の問題性について(略)
言及しておきたい。(略)木村氏の特異な主
> 張については、直言「「7.1閣議決定」をめぐる楽観論、過小評価論の危うさ」
や拙著『ライブ講義』 の68、73、75、81-82頁、
> 『沖縄タイムス』オピニオン欄の拙稿などで批判してきた通りである。また、
木村氏の説が、10年以上前にすでに質問主意
> 書で提起され、政府答弁書で否定されていた、およそ「新手」とは言えないも
のであることも「直言」で明らかにした。 個別的
> 自衛権か集団的自衛権かは二者択一の関係にあり、ある武力行使が個別的自衛
権行使でも集団的自衛権行使でもある
> ということはあり得ず、両者が重なり合うことはない。「7・1閣議決定」は、
端的に集団的自衛権行使を認めたのである。この
> ことを藤田氏は、「木村教授自身も亦結果的に、認めるところとなっている」
と的確に指摘している(上記注15)。木村氏の主
> 張の破綻は明らかだろう。(略)
> 
> 従来の法制執務の積み重ねに則って起案され、内閣法制局が審査をした閣議決
定や法案の文言を客観的に読むことと、
> 客観的に読めば違憲になるので合憲となるように文言を読み替えるということ
は全く違う作業である。善意に解釈すれば、
> 木村氏は後者を戦略として採用したのかもしれないが、法案審議の段階では、
違憲の法案は否決や修正により是正の可
> 能性がある以上、端的にその違憲性を指摘すればよく、政府の行為をチェック
する側がわざわざ「合憲限定解釈」的に当
> 該法案を合憲となるように読み替えてやる必要はないのではないか。「合憲限
定解釈」は、法律が制定された後に当該法
> 律をなるべく違憲・無効としないために行う事後的救済の解釈技術であり、い
くらでも是正が可能な法案審議の際にその発
> 想を持ち込むのはいかがなものか。そうでなく、あくまでも文言上客観的に
「重なり合っている」としか読めないというのであ
> れば、木村氏の実定法の読み方の作法を疑わざるを得ない。
> 
> 木村氏は、「重なり合っている」という特殊な自説を主張することによって、
閣議決定の違憲性に対する、事実上、過小評価
> となる楽観論を広め、本来、端的に「閣議決定は違憲である」と正すべきとこ
ろ、これを弱め、曖昧にする「効果」を発揮した
> のである。政府解釈が半世紀以上も違憲としてきたものを、昨年の閣議決定に
より合憲なものにひっくり返した安倍政権の
> 狼藉(藤田氏のいうところの「憲法学者の想定を超える程に「非常識」な政治
的行動」〔論文4頁〕)を、解釈技術の提供で合理
> 化した責任は免れない。半世紀以上昔の「法解釈論争」で来栖三郎が問うた
「解釈者の責任」の問題にもつながることをここ
> で改めて強調しておきたい。(水島朝穂「今週の直言」2016年3月7日)
> 
> 
> 以下、省略。全文は下記をご参照ください。
> http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1815.html
> 
> 
> 東本高志@大分
> higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
> http://mizukith.blog91.fc2.com/
> 
> 


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