[CML 044342] 30年代のドイツの医者は快癒できない慢性病患者にフラストレーションを感じ、不満の源泉である患者自身を抹殺しようとしたのである。

檜原転石 hinokihara at mis.janis.or.jp
2016年 7月 28日 (木) 06:42:21 JST


★ナチスによる政治的に最初の犠牲者は共産主義者、集団殺戮の最初の犠牲者は
障害者。
★ナチスの集団殺戮の被害者は、障害者、ロマ(ジプシー)、ユダヤ人。

★傷害を持ったドイツ人のために発明された殺害方法でユダ人も殺害された

●1988年に、ペンシルベニア大学のロバート・プロクター教授は、ナチス・
ドイツの医学犯罪の実態を描いた本『人種衛生 〈ナチスの医学〉』を刊行した
が、彼はこの本の中で、

最も野蛮な「保健措置」の多くが医者の発案によるものであったこと、その医者
たちは無理やりナチスに協力させられたのではないこと、医者たちはヒトラーに
利用されたのではなく、むしろ率先して事に当たっていたという事実を指摘して
いる。

▼ヒューG・ギャラファー 『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画』長瀬修・
訳、現代書館、1996年、2006年第4刷

 頁11──

 ヒトラー帝国の医者は慢性病患者を殺害する計画に参加したのである。20万
人以上のドイツ市民が自分たちの医者の手によって計画的に効率よく殺されたの
である。命を失ったのは社会の良き市民だった。多くは死病にかかっていたわけ
ではない。絶え間なく苦痛を訴えていたのでもなければ、著しく苦しんでいたの
でもない。殺されたのは、施設に収容されていた精神障害者、重度の障害者、結
核患者、知的障害者である。医者の目で「生きるに値しない」と判断された生命
だった。
  この計画はヒトラーが承認し、第三帝国の国家社会主義政権の支持のもとで
実行されたのは事実だが、だからこれをナチス計画と片づけるのは誤っている。
これはナチス計画ではなかった。この計画の生みの親は医者であり、実行者も医
者だった。医者が殺したのである。ナチス党員の医者も多かったが、大多数の医
者はナチス党員ではなかった。計画を強力に支持した有力な参加者はドイツの指
導的立場にあり、国際的にも定評のある医学教授や精神病理学の権威だったので
ある。
  この計画は突然降って湧いてきたのではない。基本的な考え方は50年以上
にわたり議論の対象となっていた。この計画は社会進化論の原理と花開き始めた
優生学を論理的に応用したに過ぎないのである。基礎となっていたのは、ドイツ
だけではなく欧米で幅広く受け入れられていた、いわゆる科学的原理である。優
生学、遺伝学、生理学が殺人の正当化に用いられていた。
  慢性病患者を快癒できないことによって医者はしばしばフラストレーション
を感じるといわれる。もしそうだとすれば、30年代のドイツの医者はこのフラ
ストレーションを抜本的に解決しようとしたことになる。つまり、不満の源泉で
ある患者自身を抹殺しようとしたのである。・・・


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