[CML 044085] 【水野和夫インタビュー】(この人に聞きたい)多くの政治家が訴える成長は可能?

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2016年 7月 8日 (金) 10:02:42 JST


(この人に聞きたい)多くの政治家が訴える成長は可能?
http://digital.asahi.com/articles/ASJ7165S6J71PLFA00V.html?_requesturl=articles%2FASJ7165S6J71PLFA00V.html&rm=271

笠井哲也2016年7月6日18時13分

■参院選編:上

■法政大教授・水野和夫さん(62)

 ――高い経済成長はもはや望めない、と主張されています。

 「企業の資産に対する利潤率(もうけの割合)は、長期的には国債の利回りと一緒の方向に動きます。国債の利回りは向こう10年の予想利回りです。マイナス金利ということは、向こう10年、企業が工場や店を建てても、もう利益は出ませんというサインなのです」

 「北海道ではコンビニエンスストアが新たに店を出すと、既存店の売り上げが落ちるそうです。今後、こうした動きが日本全体に広がるということです」

 ――低金利の社会では高い成長は無理ですか?

 ログイン前の続き「日本の国債利回りは1997年ごろから2%を切りました。400年前にイタリアでしか起きなかったことが日本で起きた。今回、英国の欧州連合(EU)からの離脱が決まると、ドイツ国債の利回りもマイナスになりました。日本で起きることは、欧州でも同じように起きます」

 「もう資本主義社会の到達点にきたのではないでしょうか。18世紀、19世紀の経済学ができたときは資本の蓄積が進まず、みんなが『あれもほしい』『これもほしい』と言っていました。工場もたくさん建てなければいけませんでした。でも、必要な時に必要なものが手に入る、物質的に豊かな社会になりました」

 ――日本でも高度成長期のころは、ほしいものがたくさんありました。

 「そういうサイクルはもう終わりました。コンビニ社会ができて、一家に一台、自動車もある。いつでも、ほしいものが手に入る。かつての国王は深夜におなかがすけば、お抱えの料理人がすぐつくってくれました。国王しかできなかったことが、いまはできるようになったわけです」

 ――日本銀行は大規模な金融緩和で世の中に流すお金の量を増やしています。

 「家には、洋服もモノもあふれています。消費者がほしいものがないことを経営者もとっくに分かっています。工場を建ててもリスクが高いので、土地や株式、新興国のブラジルの国債などを買う。だから金融緩和で株価や地価が上がりました」

 「土地や株式は、ごく限られた人しか買えないので、量的緩和をすればするほど、一部の人に富が集まっていきます。資本主義は、お金を持っていない人には見向きもしません」

 ――それでも多くの政治家が高い成長を訴えます。

 「貧富の二極化が進んでいますが、これは分配によって解決できます。でも、政治家は成長にこだわる。選挙で投票する人が『もう成長はいい』とは言っていないからなのでしょうね」

 「いま、日本には個人の金融資産が1700兆円ほどあります。増えつづけていますが、資産を持っている人は減っています。1千兆円くらいの時は97%の人が資産を持っていましたが、いまでは7割に。より少ない人が過剰に持つ状態です。これを分配する政策をきちっとやることが重要です。分配を進める中で、どういう社会にするべきかが見えてくるでしょう」(笠井哲也)

     ◇

 みずの・かずお 1953年生まれ、愛知県出身。80年、早稲田大院経済学研究科修士課程を修了し、八千代証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。2010年に退社し、内閣官房内閣審議官などを歴任。13年4月から日本大教授に就き、16年4月からは法政大法学部教授。専門は経済。著書に「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社新書)など。

■日本経済の成長率

 物価変動の影響をのぞいた実質国内総生産(GDP)成長率は、1980年代は平均4%超のプラスだったが、バブル崩壊後の90年代半ば以降はおおむねプラスマイナス2%の間を行ったり来たりが続いた。2010年の成長率は4・7%だったが、前年がリーマン・ショックでマイナス5・5%まで落ち込んだ反動だ。政府はいま、「実質2%成長」の目標を掲げ、税収の見通しなどを計算している。だが、直近の15年10〜12月期の実質GDPは年率1・8%減、16年1〜3月期が同1・9%増と一進一退の状態だ。個人消費や企業の設備投資が振るわず、日本経済の潜在成長率も現在は0・2%前後とみられる。

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 インタビュー「この人に聞きたい」では今回、3人の識者に参院選の論点について語っていただきます。 		 	   		  


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