[CML 041695] 【宜野湾市長選に関する各紙社説:京都新聞・毎日新聞・東京新聞・琉球新報・沖縄タイムス】:宜野湾市長選  移設の免罪符ではない

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2016年 1月 25日 (月) 09:59:26 JST


【宜野湾市長選に関する各紙社説:京都新聞・毎日新聞・東京新聞・琉球新報・沖縄タイムス】:宜野湾市長選  移設の免罪符ではない

【京都新聞・社説】宜野湾市長選  移設の免罪符ではない
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160125_2.html

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選は、飛行場の名護市辺野古移設計画を進める政府・与党の推す現職の佐喜真淳氏が、移設に反対する新人で元県幹部の志村恵一郎氏を破り、再選を果たした。
 沖縄では2014年の名護市長選、知事選、衆院選4小選挙区で辺野古反対派が全勝してきたが、飛行場のお膝元では政権側が連敗を止めた形となった。
 だが、今回の選挙結果で、辺野古移設の免罪符を得られたわけではない。むしろ「世界で一番危険な米軍施設」とされる普天間飛行場に苦しむ宜野湾市でさえ、これほどの反対票がある事実を重く受け止めるべきだろう。
 市長選の最大の争点は、普天間飛行場を辺野古に移設する政府の計画に対する姿勢だった。移設工事を進める安倍政権が支援する佐喜真氏と、移設に反対する翁長雄志知事を中心に擁立した志村氏の一騎打ちとなり、政権と翁長知事の「代理対決」の構図となった。
 志村氏は無条件の飛行場閉鎖と返還を日米両政府に求めるとして新基地反対を力説し、「基地被害の苦痛を名護市民に押し付けてはならない」と訴えた。
 これに対し、佐喜真氏は辺野古移設の是非に触れずに、「飛行場の危険性除去が最優先」として速やかな閉鎖と返還の実現を主張した。
 佐喜真氏の再選は、日米の返還合意から20年を経ても事態が進展しない中、より確実な返還実現の道を重視した市民の苦渋の選択といえる。
 政府は辺野古で代替施設の本体工事を既に始めており、選挙後は護岸工事に向けた海上の工事へ進む構えだ。政府と県の法廷闘争も今後、本格化することになる。
 だが選挙結果が示したのは、普天間飛行場の早期閉鎖と返還への宜野湾市民の切実な願いであり、辺野古移設への手放しの賛意ではない。事実、共同通信社の出口調査では辺野古移設「反対」が56%を占め、「賛成」の33・2%を上回った。
 政権側が「辺野古」の文字に徹底して触れない戦略で支持獲得を狙ったのも、沖縄の民意がどこにあるかがよく分かっていたからではないか。
 ごり押しで工事を進めれば、安倍政権と沖縄の溝はさらに深まろう。「辺野古が唯一の解決策」と繰り返すばかりでは何も解決しない。基地を押しつけられてきた沖縄の歴史と県民の心に寄り添う誠実な姿勢こそ政府には求めたい。

[京都新聞 2016年01月25日掲載]

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【東京新聞・社説】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016012502000142.html

宜野湾市長選 辺野古信任とは言えぬ
   
2016年1月25日

 
 米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市長選は、安倍政権が推す現職が再選を果たした。基地の閉鎖を願う民意の表れだが、名護市辺野古への県内「移設」が信任されたと考えるのは早計だ。
 米海兵隊普天間飛行場の「移設」問題をめぐる安倍政権と翁長雄志県知事との激しい対立が持ち込まれた「代理対決」だった。激しい選挙戦を制したのは、自民、公明両党の推薦を受けた佐喜真淳市長である。
 宜野湾市の中心部に位置する普天間飛行場は墜落事故を起こすなど「世界で最も危険」とされ、周辺住民に不安を与えてきた。
 安倍政権は、同じ県内の名護市辺野古に造る米軍施設に普天間飛行場の機能を移すことで、日本側への返還を進めようとしてきた。
 しかし、沖縄県には基地や訓練場など在日米軍専用施設の約74%が集中する。同じ県内に米軍施設を移設しても、県民の抜本的な負担軽減にはつながらない。
 安倍政権が強引に進める県内移設に異を唱えてきたのが翁長知事だ。今回の市長選でも、対立候補の志村恵一郎氏を擁立し、政権と対決する姿勢を示した。
 安倍晋三首相は「安全保障に関わることは、国全体で決めることだ。一地域の選挙で決定するものではない」としながらも、閣僚経験者や与党幹部らを投入し、てこ入れを図った。
 政権側は、佐喜真氏が翁長氏の推す候補を破ったことを受けて、辺野古移設に自信を深め、作業を加速することになるだろう。
 とはいえ、辺野古移設が宜野湾市民に「信任」されたと考えるのは早計だ。佐喜真陣営は選挙戦で普天間飛行場の固定化回避には言及したものの、辺野古移設推進を直接訴えたわけではないからだ。
 今回の結果は、辺野古移設に対する賛意ではなく、生活を脅かす身近な米軍基地を一日でも早く撤去してほしいという切実な気持ちの表れと受け止めるべきだろう。
 沖縄県内では移設先の名護市長選、沖縄県知事選、衆院選の県内全四小選挙区など直近の主要選挙でいずれも、辺野古移設反対派が勝利してきた。
 安倍政権は県民の民意を尊重して、辺野古移設を強引に進めるべきではない。県内に米軍施設を新設しなければ普天間返還は進まないという、住民を分断する姿勢も改めるべきだ。
 「米軍基地のない島」。それこそが宜野湾市民はもちろん、沖縄県民全体の悲願である。

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【琉球新報】<社説>佐喜真氏再選 新基地容認ではない 国に「5年以内」閉鎖責任
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-209783.html

2016年1月25日 06:01

 宜野湾市長選で佐喜真淳氏が再選を果たした。佐喜真氏の1期4年の実績を市民が評価し、今後の市政運営に期待した結果である。

 ただし佐喜真氏再選で沖縄の民意が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設容認に変わったわけではない。佐喜真氏は選挙戦で辺野古移設の賛否を明言せず、市民が容認したことにはならないからだ。
 重視すべきは、佐喜真氏が公約した普天間飛行場の5年以内運用停止を、市民が国に突き付けたことだ。佐喜真氏を支援した安倍政権には5年以内の期限である2019年2月までに運用停止を実現する責任がある。

 曲解は許されない

 安倍晋三首相は市長選を前に「安全保障に関わることは国全体で決めることだ。一地域の選挙で決定するものではない」と述べた。民意をないがしろにする許されない発言だが、翁長県政与党が支援した志村恵一郎氏が落選したことを捉えて、辺野古移設が支持されたとする可能性がある。曲解は許されない。厳に慎むべきだ。
 宜野湾市長選を前に琉球新報社などが昨年12月末に実施した世論調査で「県外移設」「国外移設」「無条件の閉鎖撤去」は計71・1%に上った。1月調査でもその割合は計74・4%に達した。国が推し進める「辺野古移設」支持は12月調査11・1%、1月調査12・9%でしかない。この結果からしても市民が普天間飛行場の閉鎖と引き換えに、辺野古新基地建設を望んでないことは明らかだ。
 佐喜真氏は「普天間飛行場の固定化は許さない」と訴えて当選した。選挙結果が示すことは、普天間飛行場によって市民が危険にさらされている状況を、1996年の返還合意後20年も放置する国に対する市民の強い怒りである。
 佐喜真氏には5年以内運用停止を実現する責任がある。だが、たなざらしにされる可能性は否定できない。
 中谷元・防衛相は昨年、5年以内運用停止の定義を「飛行機が飛ばないこと」と明言した。菅義偉官房長官が(1)空中給油機能(2)緊急時着陸機能(3)オスプレイの運用機能-の3要件停止だとの見解を示すと、防衛相は「幻想を与えるようなことは言うべきでない」と前言を撤回した。
 市民が求める運用停止は、飛行機などが飛ばないことである。佐喜真氏も「一日も早い閉鎖、返還を求める」と訴えた。安倍政権が支援したのは佐喜真氏の政策と合致したからだろう。ならば、その実現に全力を尽くすのが筋である。裏切りは許されない。

 分断策克服を

 沖縄は、基地をめぐる対立をうんざりするほど抱え込まされてきた。なぜ沖縄ばかりが市民を分断されねばならないのか。
 市民の一体感が損なわれれば政策効果が上がらないことは、ロバート・パットナムのソーシャルキャピタル(社会関係資本)をめぐる研究で実証済みだ。沖縄の社会を分断してきた国の罪は大きい。もう分断はたくさんだ。
 佐喜真氏にはその克服も求めたい。市民の一体感回復へ包容力を持って進んでもらいたい。
 今、子どもの貧困が可視化されつつある。宜野湾市も例外ではない。子ども全ての生活、学びを保障するのは喫緊の課題だ。親の経済格差を次世代に引き継いではならない。佐喜真氏は有効な手だてを講じてほしい。
 今選挙では両候補に共通する政策も目立った。学校給食費の無料化、子どもの医療費無料化などがそれだ。子どもをめぐる環境を意識しての政策だろう。これらの実現はいわば最大公約数だ。佐喜真氏は公約を早期に実現してもらいたい。
 「公約は破るもの」という昨今のあしき常識を、佐喜真氏には打ち破り、政治は信頼できるものだと実感できる結果を示してほしい。18歳選挙権が実現する年の最初の主要選挙の結果として、望まれるのはそのことだ。

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【沖縄タイムス】社説[佐喜真氏再選]辺野古外しが奏功した
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=151177

2016年1月25日 05:30 

 宜野湾市長選は24日投開票され、現職の佐喜真淳氏(51)=自民、公明推薦=が元県幹部で翁長雄志知事や県政与党の支援を受けた新人の志村恵一郎氏(63)に5800票余りの大差をつけ、再選を果たした。

» 佐喜真氏が再選 志村氏に5857票差圧勝

 予想を超える差がついたのはなぜか。市長選は米軍普天間飛行場の返還問題が最大の争点だったが、佐喜真氏は普天間の移設先である「辺野古」の是非には一切言及しなかった。普天間の「固定化を許さない」と主張し、返還合意から20年たっても返還が実現していないことに対する市民のいらだちを代弁した。

 志村氏が「辺野古新基地建設反対」を前面に打ち出したことから、争点は最後までかみ合わず、地元の要望に即した公約を掲げた佐喜真氏に票が流れた。辺野古移設の是非の争点化を巧妙に回避したことが奏功したといえそうだ。

 2014年の名護市長選と違って公明党が全面支援し、自公体制がフル稼働したことも大きかった。

 安倍政権は宜野湾市長選を夏の参院選と並ぶ重要選挙と位置付け、国政選挙並みの態勢で佐喜真氏を支援した。

 ディズニーリゾート施設の誘致支援や普天間の一部先行返還、西普天間地区の跡地利用推進のための交付金新設-などは佐喜真氏の実績づくりの後押しである。

 中央から乗り込んだと反発を招かないように表に出ることを控え、水面下で医療や農業など職域団体の支持を受ける比例代表選出の国会議員らが票固めに動いた。

  ■    ■

 志村陣営は候補者決定が大幅に遅れ、志村氏に決まった後も司令塔の不在で昨年12月下旬まで選挙になっていなかった。志村氏は選挙戦術を誤ったのではないか。辺野古移設反対を前面に出しすぎたため、市民の身近な関心事に応える姿勢が弱かった。選挙後半になってその事実に気づき、選挙戦術を変えたが、時すでに遅しで、有権者に浸透させることができなかった。

 志村氏が無党派層に十分食い込めなかったのはその辺りの事情を物語る。知名度の低さも挽回できなかった。

 佐喜真氏の再選で政府、与党は沖縄の直近の民意は辺野古新基地を容認した、と宣伝するかもしれないが、佐喜真氏の再選で辺野古移設が支持を得たとまでは言えない。

 佐喜真氏を推薦した公明党県本部幹部が「民意が辺野古容認であるとは受け止めてほしくない」「結果を辺野古の賛否に直結させるべきではない」と選挙前のインタビューで語っている通りである。

  ■    ■

 選挙が終わった途端に、佐喜真氏が辺野古移設を容認するような発言をすれば、有権者を軽んじたことになり、政治不信を高める。公約の着実な実行を期待したい。

 敗れた志村陣営は終始、「翁長頼み」の選挙だった。今回の選挙で明らかになったのは革新政党の地盤沈下、足腰の弱さである。

 翁長知事の新基地建設反対の姿勢に変化はないが、志村氏を推した翁長知事や県政与党は夏の県議選、参院選に向け態勢を再構築する必要に迫られている。 		 	   		  


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