[CML 041686] 今日の言葉 ――エマニュエル・トッドの「シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧」 (文春新書)の出版ほど日本の主流左翼の情けなさを痛感したことはない。

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2016年 1月 24日 (日) 18:32:16 JST


【左派系論壇はシャルリエブド事件を言論の自由に挑戦するテロだとみなしてきた】
色々な意味で衝撃的な本だった。(略)欧米社会のイスラム差別は決して無視されてきたトピックではなかったはずなのに、
よりによって日本でシャルリエブド事件とイスラモフォビアを関連付けて論じた初の本があのトッドの著作だったことに驚き
を隠せないのである。(略)日本の左派系論壇は総じてシャルリエブド事件を言論の自由に挑戦するテロだとみなしてきた。
そのため、むしろシャルリエブドこそが差別の実行者であり、ヘイト・アートを継続して掲載してきた同社の編集方針を追求
せず、逆に英雄であるかのように称えるのはおかしいという発想が浮かばなかった。単純に「テロとの戦い」、「言論の自由
との戦い」という文脈で語り、この問題の裏側に潜むフランス社会の移民・ムスリムなどのマイノリティへの差別問題に踏み
込まなかった。結果的にそれはフランス社会を無批判に称揚するという如何ともしがたいヨーロッパ幻想を生み出したとす
ら思える。それほどこの事件に対する左翼の態度は妙だった。

本来なら、ヨーロッパにおける民主主義の病理は左翼にこそ指摘されるべきであり、左翼にこそ指摘して欲しかった。それ
がトッドか、文春かという悔しさ。例えるならば、ヘイト・スピーチに反対する本が岩波や新日本出版社ではなく、真っ先に文
芸春秋や新潮社、WACなどの日常的に差別を助長する出版社から出てしまったようなものなのだ。ヘイト・スピーチは良く
ないという発想が平和や平等を掲げる左翼からではなく日ごろから差別やデマに興じる右翼が所有し、発信してきたような
ものなのだ。この本の出版ほど日本の主流左翼の情けなさを痛感したことはない。(略) 


何せエマニュエル・トッドという人物は本人は中道左派を自称しているが、その主張内容を拾えば、中国をけん制するため
に日本に核武装を薦めたり、過去の歴史に対する反省行為を修正(つまり安倍的な姿勢に)しろと主張したり、リビアに対
するNATOの空爆を「認めざるを得ない」と黙認してしまったり随分と右的なのである。本書も企画に読売と日経が関わって
いるようで、出版元が文春と見事に保守系新聞社、出版社からプロデュースされたものである。
                                                  (時事解説「ディストピア」 2016-01-22)


以下、省略。全文は下記をご参照ください。
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東本高志@大分
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