[CML 041638] 今なぜ違憲訴訟か(その1) 弁護士 内田雅敏

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2016年 1月 21日 (木) 10:22:31 JST


今なぜ違憲訴訟か
弁護士・内田雅敏(総がかり行動・戦争をさせない1000⼈委員会事務局⻑)

立憲主義の否定
「必要性」という政策論で国の根幹をなす憲法解釈の
変更は許されない
安倍首相は、閣議決定による集団的自衛権の行使容認
というこの国の安全保障政策の根幹の変更について安
全保障を巡る環境の変化、とりわけ中国の脅威を強調す
る。安全保障を巡る環境の変化が本当にあるのか否か、
仮にあったとして、集団的自衛権行使容認、安保法制の
制定によって対処できるのか否かについては、厳密な検
証が必要であるが、仮に検証の結果、安倍首相の主張す
るような「事実」が存在したとしても、憲法第9条「戦
争の放棄」を国是とする日本国憲法の下では、閣議決定
という方法による集団的自衛権行使容認、それに伴う安
保法制の制定は許されない。

立憲主義が否定されるとどういう国柄となるか
外から見た日本
▶米軍と一体となった自衛隊の活動により日本が米国
と同視される
集団的自衛権行使容認・安保法制の施行により日本が
「平和国家」たることをやめ、自衛隊が米軍と一体活動
を行うことが可能となり、また「同盟国」米国からその
ことを強く期待されている。
▶外交努力の放棄、対中国関係の改善はより困難となる
「中国の脅威」を声高に語る、集団的自衛権行使容認・
安保法制は中国を「仮想敵国」とするものである。これ
は「日中両国は一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝
統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれま
で存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切
望している。…両国間の国交を正常化し、相互に善隣友
好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致する
ところであり、またアジアにおける緊張緩和と世界の平
和に貢献するものである」(日中共同声明前文)に反する
ものである。
日中間には日中共同声明を含め四つの基本文書があ
り、習近平主席もこの文書によるべきだとしている。こ
の四つの基本文書を使って、日中関係の改善を模索する、
これこそが外交である。ひたすら、米軍と一体となって軍
事的に対峙をしようとするのは外交努力の放棄である。
▶歴史に向き合わない姿勢
2001年、独国防軍改革委員会報告書は、冒頭において
「ドイツは、歴史上初めて、隣国すべてが友人となった」
と記述べている。このようなことが可能になったのは、
戦後の独が歴史に真摯に向き合って来たからである。
西欧列強の植民地政策を批判する安倍首相談話の冒
頭部分は、「アジアで最初に立憲政治を打ち立て独立を
守り抜」いた日本が戦った「日露戦争は、植民地支配の
もとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づ
けました」へと収斂する。これは靖國神社の歴史観と軌
を一にする。
日本国内がどう変わってしまうか
▶法の支配の瓦解
安倍首相は安保法制が国会に提出される前の2015年
4月末、米国の上院下院合同会議議における演説で、安
保法制を夏までに成立させると明言した。これは国会の
無視ないしは軽視である。横浜での地方公聴会の結果を
委員会に報告する手続きも無しに強行採決し、採決その
ものの存在に疑義がある。後日の委員長による委員会の
議事録の改竄も大問題である。
▶行政の独裁
裁判所が違憲立法審査権の行使に慎重の中で、法案の
合憲性を事前にチェックし、政府の憲法解釈の統一性、連
続性を担保する重要な役割を担ってきた内閣法制局長
官の首のすげ替えという露骨な人事権の乱用がなされた。
▶説明責任の放棄、論理の牽強付会、論理の乱暴性、不
適切なたとえ話
安倍政権は最高裁砂川大法廷判決の引用、集団的自衛
権の行使は許されないとした1972年政府見解の恣意的
な引用等々について批判されても堂々とまた使用している。
▶専門家の見解の軽視、無視
今回の安保法制は、憲法学者、元最高裁判事、元最高
裁長官、元裁判官、日本弁護士連合会等オール法曹の反
対意見を無視して強行採決された。憲法学者の言う事を
聞いていたら平和を維持できないという自民党副総裁
の発言まで飛び出した。ところが他方では「有識者」諮
問会委員会が多用されており、まことにご都合主義だと
いう批判を免れない。
▶人権侵害
殺し、殺される戦争は最大の人権侵害である。戦争国
家は、国内の人権を無視し、弾圧する。沖縄辺野古新基
地の強行、外国人に対する偏見、差別、ヘイトスピーチ
の横行、やがては「愛国無罪」へとなる。
「人々は、大正末期、最も拡大された自由を享受する
(その2に続く)

記載 九条こわす安保法制違憲訴訟埼玉準備会
連絡先 090-1702-8944(白田)


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