[CML 041359] 【京都新聞 大晦日社説】激動の1年  平和国家の歩み、大きく転換

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2016年 1月 1日 (金) 12:26:55 JST


見出しが間違っていました。こちらが激動の1年です。


【京都新聞 大晦日社説】激動の1年  平和国家の歩み、大きく転換
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20151231_3.html

 戦後70年。節目の年が暮れる。振り返れば、この国のかたちが大きく変容した激動の1年だった。
 最も大きかったのは、歴代の政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が成立し、海外での武力行使に道が開かれたことだ。米軍との一体化が進み、自衛隊の海外活動の範囲は地球規模に拡大される。
 多数の憲法学者が「憲法違反」の疑いがあると指摘し、世論調査で8割もの国民が「審議不十分」とした。戦争への痛切な反省からつくりあげてきた戦後の平和主義を変質させかねない重要法案であるにもかかわらず、民意に耳を傾けることなく与党の数の力で半ば強引に可決したことは、憲政史に大きな傷を残す結果となった。

 問われた民主主義

 民意から目をそらす安倍政権の姿勢は、沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題でも顕著だった。
 県民の辺野古移設反対の意思は知事選でも衆院選でも明確に示されてきた。だが政府は「地元の理解」を何度も口にしながら、方針が受け入れられないとみると、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの効力を停止し、国による代執行を求めて提訴。そのうえ、辺野古周辺地区に直接、補助金交付を約束するなど、なりふり構わぬ強行策が目についた。
 「日本に地方自治や民主主義はあるのか。国民に問いたい」。翁長知事が代執行訴訟の意見陳述で述べた言葉は、この国の政治の質への重い問いかけだろう。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からまもなく5年。新規制基準に合格した原発の再稼働は、日本のエネルギー政策にかかわる転換点となった。
 九州電力は川内原発1、2号機を再稼働、四国電力の伊方原発は地元知事らが再稼働に同意した。福井県の関西電力高浜原発は、運転停止を命じた福井地裁の仮処分が取り消されたため、1月にも再稼働する構えだ。
 火山災害の可能性、住民避難計画の実効性、免震重要棟の未完成など不安要素を抱えながらの再稼働に、惨事の教訓は生かされたのか。「安全神話」の復活への疑念は消えない。
 高速増殖炉もんじゅは原子力規制委員会から運営主体の変更を求められ、国が推進する核燃料サイクルの行き詰まりは明らかだ。しかし、国民の多くが願う脱原発の道は閉ざされたままだ。
 貿易を自由化し、投資や知的財産のルールを統一する環太平洋連携協定(TPP)交渉は大筋合意に至ったが、国内農業への打撃をどう抑えるかが課題だ。年明けの通常国会が注目される。

 企業への信頼揺らぐ

 相次ぐ偽装や改ざんで、企業や研究機関への信頼が揺らいだ年でもあった。
 東洋ゴムの免震装置や防音ゴムのデータ偽装に始まり、横浜市のマンション傾斜問題では、全国でくい打ちデータの改ざんが発覚した。化学及血清療法研究所の血液製剤の不正製造や記録偽造は、40年前から続くという信じがたい姿勢が明らかになった。日本を代表する企業の一つ、東芝が巨額の不正会計問題で苦境に陥り、監査法人にも厳しい目が向けられた。
 非正社員の割合が4割に達し、過労死や過労自殺が過去最悪になるなど社会のひずみも目立った。
 2020年の東京五輪・パラリンピックでは、メーンスタジアムの新国立競技場の建設計画と、公式エンブレムがいずれも選定をやり直す結果となり、関係者が責任を押しつけ合う醜態を演じた。
 茨城県など北関東地方が台風の影響で大規模な水害に見舞われ、鹿児島県・口永良部島の噴火で全島民が避難。箱根山や阿蘇山でも噴火が相次ぐなど自然災害も多かった。災害とともにいかに生きるかが問われている。

 未来への希望の光も

 明るいニュースもあった。
 ラグビーのワールドカップで日本代表は強豪南アフリカ代表を破り、「歴史を変えた」と称賛された。体操の世界選手権男子団体では日本が37年ぶりに王者に返り咲いた。世界最高得点を記録したフィギュアスケート男子の羽生結弦選手の演技も忘れられない。
 国際宇宙ステーションに物資を運ぶ補給機「こうのとり」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げ、若田光一さんが地上からの交信を担当、滞在中の油井亀美也さんがロボットアームでキャッチする「チーム・ジャパン」で成功させた。ノーベル賞では、大村智北里大特別栄誉教授が医学生理学賞、梶田隆章東京大宇宙線研究所長が物理学賞を授与された。2年連続の日本人受賞は快挙だった。
 過激派組織「イスラム国」のテロが続発して世界を揺るがし、南シナ海の管轄権をめぐって米国と中国の緊張が高まった。そんな中で温暖化防止への「パリ協定」採択と、日本と韓国の従軍慰安婦問題決着への合意は、未来に希望をつないだといえる。
 前途に難題は多いが、相手を尊重し、議論を尽くすことで、一歩ずつ前に進めることはできる。そう信じて新年を迎えたい。

[京都新聞 2015年12月31日掲載] 		 	   		  


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