[CML 042115] 【グローバル・ジャスティス研究会・2月の企画】どこに行く?南米の反新自由主義の闘い 南米左派政権の現状を考える

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2016年 2月 24日 (水) 10:29:27 JST


グローバル・ジャスティス研究会・2月の企画
チャベス後のベネズエラと南米はどこへ?

2月28日(日) 午後6時30分
ひとまち交流館 京都 第5会議室(京阪・清水五条から5分 ・市ハ゛ス 正面河原町)

報告:一井不二夫さん(ブログ「ラテンアメリカの政治経済」)
参加費:資料代として500円(割引希望の方は受付でお申し出ください)

昨年11月、アルゼンチン大統領選挙で右派のマウリシオ・マクリが勝利し、
12月にはベネズエラの議会選挙で右派が勝利しました。
ブラジルでは景気後退とペトロブラス汚職のなかで大統領罷免の動きがあります。

ラテンアメリカはどうなるのか・・・
左派政権の何が問題だったのか・・・
21世紀の新しい胎動を象徴してきた南米の社会運動は、いま、何に直面しているのか・・・

日本のメディアではあまり伝えられないホットな情報をぜひ
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グローバル・ジャスティス研究会は、公正な世界の実現に関わるさまざまなテーマに
ついて話し合うスペースとして今年1月からスタートしました。当面は月1回の予定です。どなたでも参加できます。

https://www.facebook.com/events/1704437776464522/


[FT]南米の「新自由主義」たたき、輝きを失う
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO97584500T20C16A2000000/
 
2016/2/23 15:15

Financial Times

 南米の精神のために行われているとされる「新自由主義」との戦いにおいて、先週は一つの転換点だった。これはまた、この言葉の南米における長年の有害な使われ方を正しく理解していない、どこかほかの地域の自称急進主義者に対する警鐘にもなるかもしれない。「新自由主義」はうんざりする言葉だ。この言葉は1930年代に自由主義と社会主義の中間を曖昧に表す言葉としてつくられたが、世界的に広まったのは後々の1980年代、チリの独裁者アウグスト・ピノチェトの自由市場政策を指して使われるようになってからである。

子供たちとイベントに参加するベネズエラのマドゥロ大統領(12日、カラカス)=Miraflores Palace・ロイター

子供たちとイベントに参加するベネズエラのマドゥロ大統領(12日、カラカス)=Miraflores Palace・ロイター
 それ以後、この言葉は南米の人々の間で何であれ反動的なものや不愉快なもの、あるいは残酷なものを指す一般的な軽蔑語に成り下がった。たとえば南米での国際通貨基金(IMF)のプログラム、米ワシントンのネオコン(新保守主義者)、スペインの緊縮政策を指すこともあれば、ただの八つ当たりに使われることもある。

 アルゼンチンの「新自由主義」の大統領、マウリシオ・マクリ氏を例に取ろう。マクリ氏は先週、2001年の債務不履行(デフォルト)を巡り全額返済を求める債権者たちとの長い戦いで方向の転換を図った。これは、通貨の切り下げやエネルギー価格の引き上げなど、不評を買うはずだったのに驚くべき高い支持率につながっている一連の改革で直近の動きだ。これと対照的に、ブラジル与党の労働者党は17日、「新自由主義に頼る」ことなく国を経済危機から救い出す方法を協議した。この言及は、社会的に不人気な改革は避けるということを暗に示しているが、これまでその改革方針は深刻な景気後退と汚職スキャンダルをさらに悪化させ、ジルマ・ルセフ氏を最も不人気なブラジル大統領にすることにしかつながっていない。

■使われすぎて価値下がる

 南米において「新自由主義」という言葉は、おそらく南米以外での復活に伴う乱用によって価値を下げている。08〜15年の間に英語メディアでの使用頻度は3倍に増加した。この言葉を使っている人々には米国のバーニー・サンダース氏や英国のジェレミー・コービン氏の支持者が含まれる。南米では「新自由主義」に対する罵倒が政治的に便利な中傷の決まり文句になった。

 それがどこよりもはっきりと表れているのがベネズエラだ。ベネズエラでは先週、与党の統一社会党がソーシャルメディア上で、2月16日は「パケタッソ」と呼ばれた不人気な「新自由主義」の調整プログラムの27周年にあたることを市民に思い出させるキャンペーンを展開した。暗黙の警告として、ベネズエラは危機の中でデフォルトの瀬戸際にあり、ハイパーインフレ一歩手前と特有の汚職に苦しめられているということを伝えていた。しかし、統一社会党のニコラス・マドゥロ氏の大統領就任とその最近の弱腰ながらも改革に向けた努力がなかったなら、状況はさらに悪くなっていただろう。IMFはベネズエラに必要な資金を貸すことができる。

 特に今年、痛みを伴う「新自由主義」の調整が南米のテーマになる可能性が高いことを考えると、この言葉がなぜ、これほどの共鳴をもつのか、理由を考えてみる価値がある。一つの理由は1980年代と90年代の調整プログラムにある。それらが2000年代の経済ブームの礎を築いた。しかし、その社会的コストが政治論を形成することにもなり、そこに嫌悪の言葉としての「新自由主義」が含まれた。

 時代は変わった。右派も社会問題への意識を高めている。多くの南米市民は中国主導の商品市況の高騰が終わったことも認識している。彼らは経済の調整を望んでいないかもしれないが、その必要は認識している。さらに過去10年間の社会的進歩の後で、人々は社会のシステムとの利害関係が強まった。当然、彼らはシステムがうまく管理されることを求めている。あまりにも長い間、権力の座にとどまって汚職まみれの政権を指揮し、良好な管理を提供できていない政治家たちは退出を迫られている。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領の4選を可能にするかどうかをめぐる国民投票は、地域全体のムードを示す先駆けになるかもしれない。モラレス氏は反「新自由主義」を政治信条として有権者にアピールしてきた。しかしモラレス氏は、元愛人の中国企業幹部がボリビア政府の主要な請負業者になったことで汚職スキャンダルにも見舞われている。

 「新自由主義」は、机上の空論になった。南米の精神のために戦うべき真の敵は汚職と無法状態だ。米国のマイアミでは、ベネズエラを脱出した中産階級の人々がウーバーのタクシーを運転して生計を立てる一方で、ベネズエラ政府とつながる金持ちがリムジンを乗り回している。これこそが、南米の怒れる有権者と世界の急進主義者が矛先を向けるべき問題だ。それは現在の欧米の政治的ムードにもより近い。

By John Paul Rathbone

(2016年2月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 		 	   		  


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