[CML 042054] 今日の言葉 ――ワレサがスパイだったかどうかという前に、どれほど共産党支配下で民衆が愚弄され、奴隷以下の存在として抑圧されていたかを考える必要があるのではないか。
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2016年 2月 19日 (金) 18:50:03 JST
Blog「みずき」:ここで重要なのは社会主義という制度自体の「原罪」性(「社会主義」という国家制度の良否)の問題
ではありません。あるのは社会主義国家が全体主義国家へと要遷移するプロバビリティの問題です。歴史的事実
はその遷移の度合いは高確率であったことを示しています。そして、そうした問題が1990年代のドミノ倒しのロシ
ア型社会主義の崩壊の問題にもつながっていきました。現在の日本の共産党の右傾化は「民主集中制」というソ連
の崩壊に到ったかつてのレーニン型ドグマ(党内制度)を清算しえないままの右傾化であるところが問題です。その
意味ではいっそう危険な右傾化といってよいものです。そうした意味でも警鐘を鳴らさざるをえません。
【ワレサ「スパイ」説を疑う】
私がポーランドにいた時に何度か聞いた話です。ノメンクラツーラと呼ばれた支配階級だった共産主義者が、民衆反乱を押さ
えつけるために、ソ連の内務人民委員部・NKVDから学び、どれほど民衆を弾圧し、殺戮し、スパイや密告者を作り出し、フレ
ームアップや拷問や脅迫を繰り返したか、本当に酷いものです。ナチのゲシュタポは、ソ連のNKVDを模範とした位です。1917
年にレーニンが設立したチェーカーがNKVDとなり、後にKGBと改編されました。アンジェイ・ワイダ監督の三部作『 大理石の男』
『鉄の男』『ワレサ 連帯の男』を観れば、共産党の秘密警察の残忍で非人間的 な手口が良く描かれています。ヴァレンサがス
パイだったかどうかというよりは、ヴァレンサのような人だったからこそ、死後英雄に祭り上げられたヤルゼルスキの戒厳令時
代まで続いた、 執拗な脅迫と懐柔が交互に繰り返され、精神的にも追い詰められていたことを考える必要があると思います。
権力から金銭を与えられていたなどという証文など、いくらでも共産党ならでっち上げました。
しかしこのニュースを見て思うのは、全体主義国家としての現実 に存在した共産主義体制下で、ヴァレンサがスパイだったか
という報道を見て、日本ではやっぱりスパイだったのかと決めつけてしまう人も多いのだろうなということです。私は共産党支配
から解放されてまだ十年も経っていない頃のポーランドを往還しました。共産党支配がどんな非人間的なものであるか、多少
でしかありませんが、それなりに理解出来るつもりです。ポーランド同様に、東ドイツの共産党支配下で、どれほど民衆が監視
され密告が奨励されていたかは『善き人のためのソナタ』をご覧になると良いですよ。
ヴァレンサが国家権力のスパイだったとおっしゃるなら、現に今の日本で、国立大学の教授が国家から給与を振り込まれてい
たり、あなたが大学の教員が国庫から助成金や研究費をせしめていることも、大企業に勤めて中国やアジア各国で低賃金で
若年労働者を働かせて搾取していることも、後世の人からに国家権力のスパイだったと言われかねないですね。
共産党支配下の東ドイツでは、5人に1人がスパイだったなどという、いかにも日本人好みの言説には、どれほど共産党支配
下で民衆が愚弄され、奴隷以下の存在として抑圧されていたか、全く他人事のように、自分の日常は全然問われないで、暖か
い暖房が効いた大学の教室や書斎で語れる残酷さしか感じられません。そんなあなたが、後世の人から、安倍政権下で国家
や軍需に沸いた企業から金銭を授与されていたスパイだったと言われたらどうします?(内海信彦 2016年2月19日)
全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1792.html
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
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