[CML 042033] 関西救援連絡センターニュース2016年2月号(1)
松葉 祥一
mauricemerleau at yahoo.co.jp
2016年 2月 18日 (木) 13:48:23 JST
第325号 2016年2月
関西救援連絡センター
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発 行 隔月刊(原則として)
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■伊勢志摩サミット/東京五輪を口実とした
警備強化・事前弾圧を許すな!
五月二六日から二七日に伊勢志摩サミット(G7主要国首脳会談)が開催される。
二〇〇八年七月七日から九日にかけて開催された洞爺湖サミットでは、十四名が逮捕された。成田空港や関西国際空港で入国拒否にあった労組や、入国できたものの入国審査と称して半日近く入国管理局に留め置かれた人達も続出した。来日が予定されていたネグリ氏に対しては、ビザが発給されず来日を断念する事態となり、予定されていた各地での講演会が中止された。
二月四日付朝日新聞は、「警視庁、対テロ警備を強化」と報じた。警視庁の警備強化の内容は、同日発表された国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部(内閣に設置)決定「パリにおける連続テロ事案などを受けたテロ対策の強化・加速化などについて」が示している指針と同じである。
以下のような治安・警備体制が進められようとしている。
警視庁は今年の重点目標の一つに空港や港での水際対策強化を掲げ、航空機で来日する乗客に関する情報と、関係省庁が保有する要注意人物の情報を入国前に照合する事前旅客情報システム(APIS)や、外国人が入国審査で提供する個人情報を照合する外国人個人識別情報認証システム(BICS)の活用を促進する。
また、水際対策や情報収集に加え、銃器を使う部隊やドローン捕獲チームを新設。
不審な人や物の警戒には市民の目も有効と、「官民一体」で取り組むとしている。爆発物の原料になりうる化学物質を販売する薬局やホームセンターには、不審人物の通報を要請し、サイバー空間のパトロールや反社会的行動の予兆を把握するほか、「民泊」で拡大が見込まれる宿泊施設への警戒も進める。
警視庁はローンウルフ型と呼ばれる事件を想定し、機動隊銃器対策部隊から隊員を選抜し、緊急時初動対応部隊(ERT)を組織し昨年四月から運用している。
サイバー攻撃に対しては、警視庁と各事業者の「サイバーテロ対策協議会」の活動を活発化させる。
ドローンを網で捕獲するドローンも全国で初めて導入し、数十人規模の捕獲チームを昨年末に新設。操縦訓練を積み、伊勢志摩サミットに派遣される予定である。
都内の全警察署が、地元の企業や団体と合同でパトロールや研修に取り組む「パートナーシップ」を発足させている。警視庁は、住民にテロ対策への理解を深めてもらい、不審な情報を集める「官民一体の日本型テロ対策」を掲げている。
サミットはG7だけでなく、下記に掲げるように、大臣級会議が四月上旬から秋まで続く。警察庁はこれを好機として、警備強化・権力拡大に動いており、「官民一体」型の監視網を作り上げようとしている。
二〇一九年ラグビーワールドカップや二〇二〇年オリンピック等の「テロ対策」を口実に、治安強化への同意形成が目論まれている。これは、安倍内閣が目指す戦争国家作りのための総動員体制、一億総活躍という名の挙国一致体制を進めるためのものでもある。
こうした「テロ対策」には共謀罪が不可欠であるとして、秘密保護法や戦争法が成立した現在、「共謀罪」新設が次の課題とされており、上程は必至といわれている。
反対の大きな声を!!
★大臣級会議日程★
外務大臣会合広島市4月10日~11日
農業大臣会合新潟市4月23日~24日
情報通信大臣会合高松市4月29日~30日
エネルギー大臣会合北九州市5月1日~2日
科学技術大臣会合つくば市5月15日~17日
環境大臣会合富山市5月15日~16日
財務大臣・中央銀行総裁会合仙台市5月20日~21日
交通大臣会合軽井沢町9月24日~25日
保健大臣会合神戸市9月11日~12日
教育大臣会合倉敷市5月14日~15日
■岩城法務大臣は死刑を執行するな
裁判員裁判の死刑判決では初の死刑執行
昨年十二月十八日、就任後二 ヵ月余で岩城光英法務大臣は死刑を執行した。
東京拘置所で執行された津田寿美年氏(六三歳)は、「川崎アパート三人殺害事件(二〇〇九・五・三十)」の被告として、二〇一一年六月十七日に横浜地裁(裁判長秋山敬)の裁判員裁判で死刑判決を受けた。同年七月四日に本人の控訴を取下げにより刑が確定し、裁判員裁判による死刑判決の最初の確定者となった。報道によれば、津田氏は、日本軍兵士で復員者の経験から戦争を強いた国家と天皇を憎み軍人恩給受給を拒否した父親のもとで、貧しさと父親の残酷な暴力にさらされて育った。
昨年二月、最高裁判所第二小法廷は一審の死刑判決を破棄した高裁判決を支持した判決で、「裁判員制度下でも死刑を選択するには、過去の裁判の判例を踏まえて判断しなければならない」と指摘しており、、裁判員裁判のみで確定した津田氏の死刑執行は回避されるべきであった。
また、仙台拘置支所で執行された「岩手県洋野町母娘強盗殺人事件(二〇〇六・七・十九)」の若林一行氏(三九歳)は、二〇〇七年四月二四日に盛岡地裁(裁判長杉山慎治)で死刑判決となったが、仙台高裁で「真犯人は別にいる」と無罪主張を行っている。二〇〇九年二月三日控訴棄却となり(裁判長志田洋)、上告審で弁護人がその客観的事実を指摘し、無実を主張したが、二〇一二年一月十六日最高裁(裁判長宮川光治)は上告を棄却した。
今回の裁判員裁判による死刑確定者への死刑執行に対して、十二月二一日、裁判員裁判経験者らよる「裁判員裁判の死刑執行 情報公開求める訴えに向き合え」との声明が出された。「この裁判を担当した男性を含む元裁判員二十人は昨年二月、死刑制度についての詳細な情報公開や国民的議論などを求め、執行の一時停止を国に要請していた」にもかかわらず、今回の執行が行われたことに「切実な訴えに向き合うことなく執行した」と強い憤りを表明した。
過去の死刑執行に照らすと、控訴や上告を取下げた死刑確定者に対する死刑執行の可能性は高い。 裁判員裁判による死刑判決二六人中七人の死刑が確定している。その過半数にあたる四名(三名が控訴、一名が上告)が取り下げており、再審請求も出されていないようである。
■安倍靖国参拝違憲訴訟・関西
憲法判断を回避、原告らは控訴へ
一月二八日、「安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟」の判決があった(大阪地裁第十八民事部、裁判長佐藤哲治、裁判官池田聡介・中井裕美)。七頁に亘る要旨を読み上げた後、佐藤裁判長は立ち上がり、傍聴席に向かって「裁判が終わりましたから退廷してください」と述べ、傍聴人が退廷するまで退席せず立っているという異様な判決言渡しであった。
判決は、安倍首相の靖国神社参拝が私的であるか公的であるかの判断もせず、小泉首相靖国神社参拝違憲訴訟最高裁二〇〇六年判決と参拝後の安倍談話「心からの敬意と感謝の念を持って、参拝した」「二度と戦争を起こしてはならないと考えている」を根拠に、平和的生存権などの侵害はないと言い切った。
原告らは二月九日に控訴。
判決全文はHPに掲載
靖国合祀イヤですアジアネットワーク
http://www.geocities.jp/yasukuni_no/
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抗議声明
安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟 大阪地裁不当判決に抗議する
本日大阪地裁は、安倍靖国参拝違憲訴訟に対して極めて不当な判決を出した。判決は、小泉首相靖国参拝違憲訴訟の2006年最高裁判決にいう、「人が神社に参拝をしても他人の権利を侵害することはない。これは内閣総理大臣が靖国神社を参拝したとしても変わりがない」を、なぞるだけのものであった。
しかし、ここにいう「人」は、違憲の戦争法をごり押しし、憲法そのものにも敵対しこれを破壊する意図を明確にしている内閣総理大臣の安倍晋三である。「神社」は、殺し合いを強いられた人を天皇に忠義を尽くした人として顕彰し未来の戦死を誘導する靖国神社である。このことを踏まえれば、これを「人が神社に参拝する行為」と一般化同列化することができないことはだれが見ても明らかなことである。安倍靖国参拝はそれが単に政教分離規定に反する違憲行為として内心の自由等の権利を侵害するのみならず、いわば戦争準備行為なのであり、平和的生存権も侵害する行為である。
判決は、安倍靖国参拝の意味をこれら客観的に明らかな証拠を検討することなく、「平和を祈念した」と称する参拝後の安倍談話を長々と引用して権利侵害はないと損害賠償の請求を棄却した。
また、首相の参拝が違憲であることは2004年小泉首相靖国参拝違憲訴訟福岡地裁判決が明確にしている。
福岡地裁は、判決文の中で未来の参拝を差し止めるためにあえてこの判断をしたと述べている。私たちの訴訟団には、この判決を受けて損害賠償請求を断念した原告も含まれている。この人たちには、憲法尊重擁護義務を負う内閣総理大臣に対する(二度と参拝しないという)期待権が存在する。
大阪地裁はこの期待権侵害を否定する理由として「その後の社会・経済情勢の変動や国民の権利意識の変化等によって裁判所の判断が変わることもあり得る」からというとんでもないことを言っている。次々に憲法秩序を破壊する現政権に媚を売るのみならず、行政の違憲行為をチェックする司法の責任を、今後も放棄する用意を恥じらいもなく述べているのである。
私たち原告一同は、このような不当な判決を到底受け入れることはできない。断固抗議するとともに、控訴し闘いを持続することを宣言する。
2016年1月28日
安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟・関西
原告団一同
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★安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京
東京地裁一〇一号法廷
第八回口頭弁論
五月二七日(金) 午後二時~
★ノーハプサ靖国合祀取消訴訟
東京地裁一〇三号法廷
第七回口頭弁論
三月十六日(火)十三時半~
終了後、議員会館で総括集会と
遺骨問題の院内学習会(予定)
第八回口頭弁論
六月十四日(火)十時半~
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