[CML 041976] 今日の言葉 ――中東問題についての歴史認識を明示し、ケネディともオバマとも違う、歴史認識に支えられた、ジャーナリズムからもアカデミズムからも賛同を獲得できるような世界戦略を語れ。
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2016年 2月 14日 (日) 19:39:25 JST
Blog「みずき」:すでにサンダースのパレスティナ問題に関する認識への批判と危惧はインターネット上でもいくつか
垣間見られます(こちらとこちらとこちら)。サンダースは民主党の大統領候補に出馬して以来、この問題について
はいまだ明瞭に語りえてはいませんが、そのことを語ろうとするときに正念場を迎えることになるでしょう。「歴史認
識に支えられた、ジャーナリズムからもアカデミズムからも賛同を獲得できるような」(保立道久さん)パレスティナ
問題に関する認識を語ることができるかどうか。さまざまな意味においてアメリカという国の「良識」の質が世界に
示されることになるまさに正念場というべきでしょう。
【サンダースで心配なのは国際政策】
アメリカ大統領選挙で未知数なのは外交政策についての議論がどう展開するかだろう。これは誰が候補者になるにせよ、民
主党と共和党の争いに局面が移れば必然的に重大問題になる。サンダースの外交政策は基本的には良識的なものである。
しかし、サンダースの議論は、彼のホームページをみると、どうしてもアメリカにとっての「War and Peace」という枠組みになっ
ている。
つまり、イラク・アフガニスタンという中東問題が中心になっている。これはアメリカがつねに戦争を行い続け、また現に戦争を
遂行している国家である以上、やむをえないことであるが、逆にいえば、そこには戦争をも相対化するような平和のための世
界戦略がないのである。(略)現在のアメリカは中東を中心に世界中に巨大な軍事網を張っており、世界的な戦争センターと
なっている。そこで平和の世界戦略を語ることは抽象論ではすまされない。これがサンダースにとってもっともきついことであ
ろう。オバマは大統領選挙において核兵器廃絶の希望を語ったが、これは実行のともなわない「口ばっか」の人気取りであっ
た。この手はもう使えない。とくにサンダースにとってきついことは、中東問題の基底に存在するイスラエル・パレスティナ問題
であろう。サンダースはイスラエルの乱暴な軍事姿勢には明瞭に反対するという立場にたっている。この点でもサンダースの
主張はアメリカ議会のなかで最左派であって、そのメッセージは明瞭である。しかし、イスラエルーパレスティナ問題の解決は
きわめてむずかしい。(略)
私は、ユダヤの出自をもつだけに、サンダースが、この問題で、右翼からも左翼からも厳しい批判を浴びる可能性があると思
う。サンダースは、ユダヤ系の人びとの支持を集めるべき立場におり、それはパレスティナの人びとの支持をえることが一種
の道義的責任であることも意味している。「二国家解決」は状況のなかでパレスティナの人びとの批判をあびるだろう。それは
アフリカ系アメリカンの支持を最終的・確定的なものにしていく上でも潜在的にはきわめて大きな意味をもっていると思う。この
議論にサンダースが失敗すると、それは「多民族国家」アメリカにとって民族的・国家的なトラウマにふれる可能性がある。(略)
しかし、サンダースならば、このトラウマを解く展望を論争のなかで示唆することができるのではないだろうか。それが可能なら
ば、サンダースは第45代アメリカ大統領になることができるのではないかというのが、(人の国の大統領に希望をしてもしょう
がないが)、私の希望である。(保立道久の研究雑記 2016年2月13日)
以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1785.html
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
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