[CML 046124] IK改憲重要情報(171)
河内 謙策
kenkawauchi at nifty.com
2016年 12月 23日 (金) 19:31:47 JST
IK改憲重要情報(171)[2016年12月23日]
私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)
弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策
連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所電話
03-6914-3844,FAX03-6914-3884
河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
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(以下の見解は、河内の見解です。市川の見解は必ずしも河内の見解と同一ではあり
ません。御了解ください。)
トランプをめぐって、興味深い4つ の論文の紹介
トランプが当選したのが11月9日でした。それから、まだ2ヶ月しかたっていない
のに、もうトランプについての分析は、10年ぐらい前の出来事のようです。とりわ
け、自分の分析のどこが不十分だったのか、という「主体的な分析」がほとんど見か
けられないのには、あきれ返ってしまいます。トランプについての分析も、資本主義
の大波の中に「消化」されてしまったということでしょうか。
私は、「過去に学ぶこと」の重要性を強調をしたい気持ちです。そうでないかぎ
り、再び過ちを繰り返すことになるということは火を見るより明らかではないでしょ
うか。
そのような見地から、トランプについて分析している、4つの論文をとりあげてみ
ました。(以下にとりあげた論文は、私の独断により選択しました。)皆様の参考に
なれば幸いです。
*藤井厳喜「大マスコミはウソだらけだった」(『WiLL』2017年1月号に掲載)
筆者は、日本でトランプ当選を予測した数少ない一人です。筆者は、「米大手マス
コミが出してくる世論調査の数字は、既に政治的に加工されたものであり、客観的に
信頼できる数字ではなかったのである。筆者はこのことを予備選段階で確信していた
ので、大手マスコミの発表する数字を全く信用しなかった。これが予測が的中した第
一の理由である」と述べています。
日本のメディアがCNNに依拠していたなど興味深い事実が、たくさん指摘されて
います。
*中西輝政「グローバル・アナーキズムの時代」(『Voice』2017年1月号に掲載)
中西輝政は、トランプを「稀代の戦略家であるとともに究極の現実主義者、ニヒリ
スト」と規定していますが、彼の本当に言いたいことは、「グローバリズムとは、
1980年代の米英の経済的苦境と日独の台頭を受けて、今一度アングロサクソンの覇権
を取り戻すためにつくられた「神話」にすぎなかった」「世界には、「オールド・グ
ローバリズム」「ネオ・グローバリズム」「アンチ・グローバリズム」の三つの勢力
が生まれており」、「三勢力の主導権争いが、今後の経済政策と政治における大きな
不安定要素となる可能性が高い」「トランプとその人脈が、もしかすると「中国抜き
のTPPに何の価値があるのか」さらには「それならAIIBに入った方がよほどア
メリカの国益になる」と考えている可能性もないとはいえない」「支持者の受け狙い
で、驚くような日本たたきに出てくる可能性も有る。つまり、トランプは冷徹な計算
に基づいた「何でもあり」の大統領だ」「世界はますます「理念」ではなく、各国の
「利害、均衡、調整」で動く時代になる」「日本人がいまこそかつてなく自立の気概
を高め、防衛力をはじめとする自力を画期的に充実させていくことを、この残り少な
い平和の時代にこそ進めなければならない」ということです。
*西尾幹二「世界の「韓国化」とトランプの逆襲」(『月刊 Hanada』新春特大号に
掲載)
西尾幹二は、「人間の卑小化、矮小化、他者への責任転嫁、果てしない自己弁解の
罠への転落、他者を恨み、自己を問責しない甘えの無間地獄」というモラルの崩壊現
象が世界中をおおっているとして、これを世界の「韓国化」と呼んでいます。アメリ
カでも、ポリティカル・コレクトネスの名の下に「人種差別主義者のレッテルをはら
れたら就職できない」という状況が生まれており、これに対する不満がトランプ当選
の一因になっていると分析しています。
また、ドイツが中韓と手を組んでいる、「ドイツの天才は尊敬しますが、民衆は非
現実的で、観念ドグマに踊らされる愚衆だ」とまで言い切っています。
*西谷修「アメリカのない世界 トランプ大統領誕生の世界史的意味」(『世界』
2017年1月号に掲載)
雑誌『世界』2017年1月号に「「トランプのアメリカ」と向きあう」という特集を
組んでいます。その巻頭論文が西谷論文です。
西谷は、「アメリカのエスタブリッシュメントの思惑が、もはや人々に届かなく
なっている、そのことが露呈した選挙でした」「理念なきアメリカ、自分のことしか
考えないアメリカという像は人をうろたえさせるかも知れませんが、その発想を持た
なければ、世界はもはや未来をイメージできない。「日本の対米自立」と意気込む人
もいるのでしょうが、右であれ、左であれ、アメリカ的秩序に寄りかからずに自分の
国はどうしていくのか、本格的に考えなければいけない時がきているということで
す」と論じています。
まるで「気の抜けたビール」のような論文です。間違っているかどうかと言う以前
に、現実に迫る迫力が感じられないのです。問題意識も感じられないのです。
日本の民衆運動に大きな影響力を与える『世界』の巻頭論文がこれでは、
と思わず絶句してしまいました。
以上
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