[CML 044442] IK改憲重要情報(153)

河内 謙策 kenkawauchi at nifty.com
2016年 8月 3日 (水) 14:13:56 JST


IK改憲重要情報(153)[2016年8月3日]

私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。
(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由で
す)

弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策

連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所電話
03-6914-3844,FAX03-6914-3884

河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
__________________
(以下の見解は、河内個人の見解です。市川の見解は、必ずしも河内の見解と同一で
はありません。御理解をお願いいたします。)

    樋口氏・小林氏の憲法論の問題点

 樋口陽一氏と小林節氏が『「憲法改正」の真実』(集英社新書)という本を出版さ
れています。この本には「「改憲」論議の決定版!」という帯が付されています。
 恥ずかしいことですが、最近まで私はこの本の存在を知りませんでした。
 樋口氏と小林氏が自民党の憲法改正案のような改憲の動きに対し、この本でも反対
の態度を表明しておられることには私も同感するものです。また両氏の議論は非常に
鋭く、多くの点で勉強させていただきました。両氏の議論が9条改憲反対論の最先端
の議論であることも間違いないと思います。したがって、私は、この本を多くの人に
勧めることに躊躇するものではありません。しかし、この本には、いくつかの大きな
問題点もあります。現在、参議院選挙の結果をふまえて、9条改憲反対勢力が抜本的
にゼロ・ベースで今後の方針を検討するとすれば、樋口氏・小林氏の議論の到達点と
その問題点の検討を避ける訳にはいかないと思いますので、私見を率直に提起させて
いただきたいと思います。
 
 第1の問題点は、両氏が世界情勢、とくにアメリカ、中国、アジア諸国の動向を議
論されていないことです。私に言わせれば、これは一国主義的分析の誤りと言わざる
をえません。
 日本という国は、幕末以来、その地政学的位置と歴史的経緯からして、世界情勢と
の関連を抜きにして、その在り方を論ずることができないという特質を有していま
す。両氏とも、このことを知られないはずがありません。それなのに、どうして一国
主義的分析に拘泥されたのでしょうか。分かりません。
 
 第2の問題点は、改憲勢力の意図の読み違えです。
 両氏は、改憲勢力の意図を正面切って分析されていません。この点をおくとして
も、改憲勢力が目指しているのは「欧米をはじめとする近代立憲主義諸国と価値観を
共有する道から日本は引き返し、東アジア型の権威主義、専制主義の国家に向かう」
(樋口陽一氏、同書223頁)というのが両氏の結論のようです。
 しかし、これでは、なぜ今回の改憲の中心が9条なのか、論理的に結びつくのが困
難です(極論すれば、9条を変えなくても、ほかの条項をいじればよいのです)。ま
た、両氏は、アジアにおいて、中国・北朝鮮の日本に対する政治的・軍事的・経済的
挑戦をのりきらなければ、日本の未来はないと考えている改憲勢力の本音は明らかに
なりません。日本の改憲勢力は中国の軍事力を上回る軍事力を中核にした軍事大国を
めざしているのです(だから国際情勢の分析が重要なのです)。
 私は、今回の改憲の意図は「アジアの軍事大国をめざす」そのことに尽きるとと思
います。国内の政治体制・社会体制の権威主義的再編も、「アジアの軍事大国をめざ
す」ことと密接な関連があると思います。
 
 第3の問題点は、日本の21世紀の未来像が積極的に提起されていないということで
す。
 小林氏は、将来の事として、氏の持論の個別的自衛権論にもとづく改憲構想を提起
されていますが、それ以外に積極的な21世紀日本の未来像やそれに基づく改憲構想は
提起されていません。
 今回の改憲につき、9条改憲反対勢力が民主的対案を提起しないことについては私
は反対ですが、それは別にしても、少なくとも21世紀の日本の未来像を提起すべきだ
と考えます。産経新聞社の「国民の憲法(案)」は「独立自尊の道義国家」
を掲げていますが、そのような未来構想が今回の改憲反対運動には必要だと思いま
す。なお、9条改憲反対運動がかかげる未来像が一つでなければならないと考える必
要もないと思います。
 私が言いたいのは、積極的な未来像なしの単なる反対運動には限界があり、それは
負け戦覚悟の運動ではないか、ということです。
 私は、21世紀の日本の未来像として、国内的にも、国際的にも、「平和と共生の日
本」をめざすべきだと考えています。

 以上、やや大胆な点もあるかと思いますが、皆様の御検討をよろしくお願いいたし
ます。
             以上



CML メーリングリストの案内