[CML 042920] 【サンデー毎日】 衆参同日選 安倍1強に地殻変動 「北海道・京都」補選を大予測!=ジャーナリスト・鈴木哲夫

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2016年 4月 13日 (水) 11:25:10 JST


衆参同日選
安倍1強に地殻変動 「北海道・京都」補選を大予測!=ジャーナリスト・鈴木哲夫
http://mainichi.jp/sunday/articles/20160411/org/00m/010/007000d

2016年4月12日

Texts by サンデー毎日

サンデー毎日
▼大接戦「北海道5区補選」で無党派が動く!

▼争点は「社会保障」「女性子育て」「TPP」

▼参院選1人区」水面下で進む野党共闘はなんと26選挙区

「北海道・京都」の補選のキーワードの一つは、「女性」だという。選挙結果はことによると「安倍1強」の今後を占う試金石になりそうだ。それだけではない。今夏、衆参同日選挙となるかどうかの分水嶺になる。その補選の“ウラ側”に気鋭のジャーナリストが迫った。

 4月12日告示、24日投開票の衆議院北海道5区の補欠選挙の情勢がここにきて大きく変化している。当初は、「安倍1強」をバックに自民党が優位だったが、一部世論調査などではなんと与野党が逆転した。

「年明けは、うち(自民党)の世論調査でダブルスコアに近い10ポイント以上離していたが、3月に入り47対42といった具合に3〜5ポイント差にまで詰められた」(自民党選対幹部)

 そして4月に入って、『北海道新聞』が行った世論調査によると、与野党が逆転したというのだ。

「野党統一候補が、自民党候補を4ポイント強引き離しました。地域によってバラつきはありますが、全体としては堅調に伸びている。無党派層に至っては早くから野党がリードしてきました」(地元マスコミ幹部)

 北海道5区補選(札幌市厚別区、石狩管内)は、自民党の町村信孝・元衆議院議長の死去に伴うもの。自民党公認は町村氏の娘婿で、元商社マンの和田義明氏(44)で公明党も推薦。対して、無所属の池田真紀氏(43)は介護・福祉の専門家。民進党から共産党までが組んだ野党統一候補であり、市民グループのバックアップも受けている。つまり、昨年の安保法制以来の“自公vs.野党統一”という構図が投影されているのだ。

 この構図は今夏の参院選での1人区と同じだ。

「野党統一が本物かどうか、その結果が出るのが北海道補選だ。安倍首相にとって参院選の前哨戦となり、衆参同日選を断行するかどうかの判断材料になる」(自民党ベテラン議員)

 なぜ池田氏陣営は勢いづいているのか。

 最も大きな要因は、点が線になり、そして広がってきた「女性の怒り」という世論だ。前出の自民党ベテラン議員が言う。

「誰が仕組んだわけでもないのに、別々のいろんなことが信じられないようにつながって、気づいた時にはどうあがいても流れを変えられなくなってしまう」

「女性の怒り」の起点は昨年の安保法制。反対する若いお母さんたちが共感し合い“ママの会”などができた。

 次に、年明けに発覚した自民党議員による妻の妊娠・出産中での「ゲス不倫」騒動。育休宣言をしていたことで「女性の味方ぶって、逆に女性をバカにしている」と怒りを買った。

 そして、「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログ問題だ。この問題を取り上げた旧民主党の山尾志桜里衆院議員(現・民進党政調会長)に対して、安倍首相は「匿名だから確かめようがない」などとあしらったことから、若い母親の怒りが広がった。

 こうしたことが、補選に影響しているのだ。くしくも、野党統一候補として動き出した池田氏はシングルマザーとして、子育てと向き合ってきた当事者。「無党派を中心に女性政策が争点になり、野党統一の女性候補がそこにぴったりハマって急激に伸びた」(前出・自民党ベテラン議員)

 今年1月から民進党(旧民主党)の馬淵澄夫・筆頭副幹事長が、現地選対に13週連続で入っている。実は馬淵氏は以前、選対委員長の際に池田氏の公募を審査した間柄だ。戦う相手は、選挙区の名門・町村氏の娘婿で強力。そこで馬淵氏は、池田氏に提案した。

 それは、シングルマザーだった池田氏の壮絶な過去を包み隠さず語り、彼女の訴える子育てや福祉や介護の政策が、自らの経験に基づいたものであることを訴えようというものだった。

 だが、池田氏は拒否。「話すのはイヤ」と号泣したが、馬淵氏は「あなたの福祉が本気だとわかってもらえる」と何度も話し合い、池田氏は自らの過去を語ることを決断したという。

「経済」より「社会保障と女性政策」

 3月21日、街頭に立った池田氏は初めて告白した。

「子ども時代は平和な家庭でなかった。社会は助けてくれなかった」

 それによると、幼い頃から父親によるDVで母親や妹とともに暴力を受け、妹と2人で夜遅くまで立ち食いソバ屋の片隅にいたという。中学時代には父親から逃れて家族バラバラに。18歳で結婚し、2人の子どもに恵まれたが、2年後には夫が借金で蒸発。生活保護を受けながら子どもを育て、介護ヘルパーなどの資格を取得し、東京都板橋区職員に採用される。政治家を志したのは、ただただ福祉をやりたいから。こうした壮絶な生きざまがネットなどを中心に広がったというのだ。

 では、今回の北海道補選の「争点」は何か。

「『北海道新聞』の世論調査によると、補選で重視する政策の第1位は経済ではなく、『年金、医療、介護などの社会保障』が断トツ。そして子育てなど女性政策が注目され、加えて環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、北海道では死活問題。安倍政権は何かといえば、これまでの経済実績を訴えていますが、結局、争点がズレているんです。社会保障であれば、当事者でもある池田氏の訴えのほうが有権者に響くのは当然のことです」(民進党幹部)

 これらは「参院選にも直結する焦点であり争点。1強の安倍政権の地殻変動になるかもしれない」(前出・自民党ベテラン議員)。

 一方の和田陣営。世論調査の「逆転情報」を重く受け止めて、従来の“町村票”をがっちり固めて組織選挙を徹底的に展開。官邸や党本部もテコ入れしている。

「首相は4月4日に茂木敏充・選対委員長から情勢報告を受け、北海道の財界関係者、知人などに盛んに電話を入れている」(自民党の北海道道議)

 自民党は、安倍首相が17日に現地入りする方向で調整しているが、「今後の情勢を見て、形勢不利ならキャンセルもある。首相が入って負けると責任問題になる」と話す選対幹部もいる。

 自民党幹部は「無党派に新たに食い込むのは無理。最後は組織力だが、厳しい戦いになる」と話す。

 同じく4月24日には「ゲス不倫」騒動を起こした自民党の宮崎謙介氏の議員辞職に伴う京都3区の補選もある。自民党は候補擁立を断念。民進党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党、幸福実現党、無所属などから出馬する。

 関西地区のマスコミの世論調査では、民進党候補をおおさか維新候補が追う展開だ。維新幹部の一人は、「自民党支持層が来れば勝てる」と話すが、関西のテレビ報道関係者は「橋下徹氏が抜けたのはやはり大きい。全体的な政党支持で、おおさか維新の支持は一定程度あるが、ひところの勢いはない」とも分析する。

 ただ、誰が勝とうが、肝心なのは「候補を出さなかった時点で自民党は京都1敗、議席は1減する」ということだ。前出の自民党ベテラン議員は自戒する。

「執行部は北海道で頑張る、と言っているが、京都では1敗とカウントされる。かつて民主党政権末期にあらゆる選挙で候補を見送り、地方組織も弱体化して政権を失った。京都の不戦敗は、“蟻(あり)の一穴”になるかもしれない。執行部は危機意識が足りない」

“破れかぶれ”のダブル選もあり

 補選の勝敗、とりわけ北海道5区は今夏のダブル選挙の指標となり、安倍首相の決断に直結するのは確かだ。首相側近の下村博文・総裁特別補佐が言う。

「負ければ、ダブル選の選択肢は難しくなる」

 半面、憲法改正実現のために参議院で3分の2勢力を取ることが悲願の安倍首相だけに「北海道で敗北すれば、逆にダブル選挙をやって総力戦で一気に挽回するという、“破れかぶれ”の戦いに出るかもしれない」(野党幹部)との見方もある。もしそうなれば、もはや政権は「存亡の賭け」だ。

 もっとも、安倍1強の地殻変動は補選だけではない。参議院選挙でも起きている。

 勝敗を分けるとされる全国32の1人区で、野党は選挙協力して統一候補を出す調整を続けている。民進党の中には共産党と組むことにアレルギーもあったが、なんと32の選挙区のうち26で統一候補が実現する可能性が出てきているという。

 野党選対幹部が明かす。

「すでに16の選挙区、たとえば青森、宮城、新潟、長野、熊本、沖縄などで候補者一本化が決まった。残りの岩手、大分など10の選挙区もほぼ決まる。最後の6の選挙区はギリギリまで詰める。一本化が決まった16の選挙区は、民進党の公認が一番多いが、利害がぶつかれば、『無所属』候補にして各党が推す形にする」

 調整がうまくいっているのは、野党5党(現在は民主・維新が合流し4党)の幹事長・書記局長の信頼感だという。

「3月に5人で食事をしたが、その時は政局の注文も文句も一切なし。信頼感が醸成されたことの証明」

 参加した野党幹事長の一人はそう話し、「枝野幸男幹事長(民進党)などは共産党とは組まないというイメージで報じられているが、水面下の候補者調整はきわめて現実的な判断をしている」(別の幹事長)という。

 26の選挙区すべてで野党の勝利はないだろうが、過去の参院選の得票の野党票を単純に加えた計算では、七つで野党が上回る。

「安倍首相の参院選の勝敗ラインは過半数ではない。改憲のため、公明党やおおさか維新と合わせての3分の2がライン。七つ落としただけで改憲は遠のく」(前出・野党幹部)

 安倍首相は「参院選は何でもアリ」(首相周辺)。だが、消費増税凍結や与党に有利とされるダブル選挙といったシナリオは、いま補選の現場で起きつつある地殻変動に対し、有効な手立てとなり得るか。何やら怪しい雲行きになってきた。 		 	   		  


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