[CML 042823] 【毎日新聞】 「世界一貧しい」前大統領 「富に縛られず、幸せの道を」+【朝日新聞】 世界一貧しい大統領と呼ばれた男 ムヒカさんの幸福論

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2016年 4月 7日 (木) 10:41:15 JST


「世界一貧しい」前大統領
「富に縛られず、幸せの道を」

毎日新聞2016年4月6日 23時09分(最終更新 4月7日 01時09分)
http://mainichi.jp/articles/20160407/k00/00m/040/148000c

 
記者会見するウルグアイ前大統領のホセ・ムヒカ氏=東京都千代田区の出版社「KADOKAWA」で2016年4月6日、山本太一撮影

ホセ・ムヒカ氏が初来日

 質素な暮らしぶりから「世界一貧しい大統領」と呼ばれた南米ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカ氏(80)が初来日し、6日、東京都内で毎日新聞などの取材に応じた。ムヒカ氏は「地球にはみんなで生きていけるだけの資源がある。富に縛られず、どうすれば幸せになれるか考えよう」と呼びかけた。

 貧困家庭に生まれたムヒカ氏は左翼ゲリラ活動で4回、投獄された。1994年に国会議員となり、2010年に大統領に就任したが、任期中の5年間、大統領公邸に住まなかった。また、給料の9割を貧しい人々に寄付し、首都モンテビデオ郊外の農場の畑を耕して暮らす清貧ぶりが、国民から愛された。

 ムヒカ氏が注目されたのは、12年にブラジル・リオデジャネイロで開かれた国際会議での演説だ。「グローバル経済に人類が振り回されている。貧しい人とは無限の欲があり、いくら持っていても満足しない人」。資本主義を批判する言葉が反響を呼び、メッセージを紹介する絵本が日本でも出版された。

 今回は、業績を紹介する本「世界でいちばん貧しい大統領」が先月末に発売されたのを機に出版社の招きで来日。ムヒカ氏は「資本主義や競争社会は文明の原動力で、科学技術は大きく進歩し、人間の寿命も延びた。しかし、資本主義の拡大を誰も止めることはできず、経済格差は広がる一方だ」と持論を熱く語った。【山本太一】


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世界一貧しい大統領と呼ばれた男 ムヒカさんの幸福論
http://www.asahi.com/articles/ASJ3X7FSVJ3XUPQJ006.html?ref=sp_con_mailm_0406_11

聞き手・萩一晶2016年3月31日21時16分

【動画】来日を控え、日本へのメッセージを語るウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領=萩一晶撮影

 質素な暮らしぶりから、「世界で一番貧しい大統領」として注目を集めた南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領が、近く出版社などの招きで初来日する。「清貧の思想」を地でいく農園暮らしの根っこには、いったい何があるのか。いまも上院議員として、国民から熱い支持を受ける政治家の自宅を訪ね、その原点を聞いた。

     ◇

 首都モンテビデオから車で30分。畑のわきの小さな平屋で、ムヒカ氏は上院議員の妻と2人で暮らす。愛車は1987年製の昔懐かしいフォルクスワーゲン。自ら家事をし、畑も耕す。秋を感じる南半球の3月。トレパン姿で出てきたムヒカ氏が、庭のベンチに腰を下ろした。

■大統領公邸に住まなかった理由

 ――とても静かですね。

 「いいところだろう。この国は自然豊かで、とても美しい。特にこんな小さな村は年寄りが暮らすには、もってこいなんだ」

 ――大統領公邸には結局、引っ越さなかったそうですね。

 「当たり前だよ。私はもともと農民の心を持って生まれた。自然が大好きなんだ。4階建ての豪邸で30人からの使用人に囲まれて暮らすなんて、まっぴらだ」

 ――アラブの富豪が、あなたの愛車に100万ドル払うと購入を申し出た噂(うわさ)を聞きました。

 「本当の話だ。息子が珍しい車を集めていると言っていたな。もちろん断ったさ。あの車は友人たちからもらった大事な贈り物だ。贈り物は売り物じゃないんだよ」

 ――「世界で一番貧しい」という称号をどう思いますか。

 「みんな誤解しているね。私が思う『貧しい人』とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。でも私は少しのモノで満足して生きている。質素なだけで、貧しくはない」

 「モノを買うとき、人はカネで買っているように思うだろう。でも違うんだ。そのカネを稼ぐために働いた、人生という時間で買っているんだよ。生きていくには働かないといけない。でも働くだけの人生でもいけない。ちゃんと生きることが大切なんだ。たくさん買い物をした引き換えに、人生の残り時間がなくなってしまっては元も子もないだろう。簡素に生きていれば人は自由なんだよ」

 ――幸せだと感じるのは、どんなときですか。

 「自分の人生の時間を使って、自分が好きなこと、やりたいことをしているときさ。いまは冬に向けて、ビニールハウスにトマトの植え替え作業をしているときかな。それに幸せとは、隣の人のことをよく知り、地元の人々とよく話し合うこと。会話に時間をかけることだとも思う」

 ――大都会の生活では難しいですね。

 「人間が犯した間違いの一つが、巨大都市をつくりあげてしまったことだ。人間的な暮らしには、まったく向いていない。人が生きるうえでは、都市は小さいほうがいいんだよ。そもそも通勤に毎日3時間も4時間も無駄に使うなんて、馬鹿げている」

 ――でも、東京で私たちはそうやって暮らしているのです。

 「効率や成長一辺倒の西洋文明とは違った別の文化、別の暮らしが日本にはあったはずだろう。それを突然、全部忘れてしまったような印象が私にはある」

 ――2012年にブラジルの国連会議(リオ+20)でした演説は、日本で絵本になりました。

 「このまま大量消費と資源の浪費を続け、自然を攻撃していては地球がもたない、生き方から変えていこう、と言いたかったんだ。簡素な生き方は、日本人にも響くんだと思う。子どものころ、近所に日本からの農業移民がたくさんいてね。みんな勤勉で、わずかな持ち物でも満ち足りて暮らしていた。いまの日本人も同じかどうかは知らないが」

     ◇

 60~70年代、ムヒカ氏は都市ゲリラ「トゥパマロス」のメンバーとなり、武装闘争に携わった。投獄4回、脱獄2回。銃撃戦で6発撃たれ、重傷を負ったこともある。

■獄中に14年、うち10年は独房に

 ――軍事政権下、長く投獄されていたそうですね。

 「平等な社会を夢見て、私はゲリラになった。でも捕まって、14年近く収監されたんだ。うち10年ほどは軍の独房だった。長く本も読ませてもらえなかった。厳しく、つらい歳月だったよ」

 「独房で眠る夜、マット1枚があるだけで私は満ち足りた。質素に生きていけるようになったのは、あの経験からだ。孤独で、何もないなかで抵抗し、生き延びた。『人はより良い世界をつくることができる』という希望がなかったら、いまの私はないね」

 ――刑務所が原点ですか。

 「そうだ。人は苦しみや敗北からこそ多くを学ぶ。以前は見えなかったことが見えるようになるから。人生のあらゆる場面で言えることだが、大事なのは失敗に学び再び歩み始めることだ」

 ――独房で何が見えました?

 「生きることの奇跡だ。人は独りでは生きていけない。恋人や家族、友人と過ごす時間こそが、生きるということなんだ。人生で最大の懲罰が、孤独なんだよ」

 「もう一つ、ファナチシズム(熱狂)は危ないということだ。左であれ右であれ宗教であれ、狂信は必ず、異質なものへの憎しみを生む。憎しみのうえに、善きものは決して築けない。異なるものにも寛容であって初めて、人は幸せに生きることができるんだ」

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