[CML 039916] IK改憲重要情報(102)

河内 謙策 kenkawauchi at nifty.com
2015年 9月 29日 (火) 21:23:29 JST


IK改憲重要情報(102)[2015年9月29日]

私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信します。(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由です。)

弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策

連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所
(電03-6914-3844,FAX03-6914-3884)

河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/

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(以下の見解は、河内の個人的見解です。また、市川の見解は、必ずしも河内の見解と同一ではありません。なにとぞ、御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。)

集団的自衛権反対運動の総括について

 いろいろな所で、戦争法案反対運動の総括の議論がなされていると思います。
 私は、第1次安倍内閣において「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が開催された2007年5月以降、少なくとも同懇談会が再開された2013年
2月以降の長期のスパンでの総括がなされるべきと思います。

 また、集団的自衛権反対運動は政治闘争でしたが、同運動には理論闘争、文化闘争の面も付随していました(理論闘争というのは、集団自衛権推進勢力が展開した理論・論理に対して、これに反対する民衆の側がどのように反論し、批判していったか、ということです)。理論闘争、文化闘争の面を含めた総括が望まれると思います。

 私は、以下に理論闘争の総括につき、
私の感じたことをメモ風に述べさせていただきたいと思います。

まず、集団的自衛権に反対する民衆の側の理論闘争の成果について。

 第1に、民衆の側は、早くからこの危険性を見抜き、憲法9条違反の論陣を張りました。その早くからの奮闘が、衆議院での学者の違憲である旨の陳述以降の大きな違憲だという世論を作っていったのです。私の手元には7月18日から19日にかけて行われたFNNの世論調査がありますが、違憲論が納得的だという人が59%にのぼっています。
http://www.fnn-news.com/yoron/inquiry150721.html

 私は、政府・与党は、これに反論して合憲だという論理を展開し、国民を説得することに失敗した、と言い切っていいとおもいます。そこで政府・与党は、中国問題を利用した論理のすりかえ・反共宣伝を武器にしたのが参議院段階だったと思います。

 第2に、戦争法案は「成立」しましたが、野党・民衆の側は、いくつかの成果を勝ち取っています。
 たとえば、安倍総理は、昨年5月15日には「個別的か集団的かを問わず自衛なための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際上合法な活動には憲法上の制約はない、という考え方については┉┉┉政府としては採用できない」と言明しています。
 また今年7月1日の記者会見で安倍総理は「海外派兵は一般に許されないという従来の原則も変わらない。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」と断言しています。
 このほかにも、国会での論議を丁寧に整理すれば、成果といえるものは、もっとあると思います。
(三転・四転したマラッカ海峡問題は、最終的には海外派兵積極派の手足を縛ったと言えるのでしょうか。私には分かりません)
 これらは、当面は譲歩しておけばよい、という安倍の打算の産物ですし、いつかはこの成果の切り崩しが問題になることでしょうが、成果には間違いないと思います。

  次に民衆の側の弱点について。

 まず第1に、民衆の側の反論が、あまりにも憲法にかたよって規範主義的であったということです。
 「戦争になる、戦争になる」ということを煽り立てているビラを私は見たことが有ります。このような、人の感情にのみ訴えるビラは論外だと思います。また、憲法違反、と書いてあっても、なぜ憲法違反なのか、それは、どうしていけないのか、を丁寧に訴えているビラも少なかったように思います(ただし、これは、私の見た実例が偏っていたのかも分かりません)。
 私が更に言いたいのは、今回の戦争法案が全社会的に、また全世界的に、どのような意味をもっているかの分析が極めて弱かったのではないか、ということです。集団的自衛権推進派が「神学論争だ」と揶揄することが一面ではあたっていたのではないかと言うことです。
 核の問題や、ミサイルの問題、原発の問題、重税や格差など国民生活に及ぶ影響の問題等、もっと多面的に集団的自衛権を批判すべきだったのではないでしょうか。私は、そのような多面的批判が無ければ、ほんとうに広範な国民を結集することはできないと思います。

 第2に、民衆の側が中国覇権主義について足並みをそろえていない、という弱点です。
 私は、今回の戦争法案の最大の狙いは、アメリカと共同して中国に対抗し、アジアにおける、アメリカと日本の覇権を軍事的に維持していくための態勢づくりにあったと考えています。
 そういう私の考えからすれば、民衆の側は戦争法案の本質・狙いについて十分に把握できていなかったと言わざるを得ません。それは、民衆運動の中に中国問題について意見の不統一があるので、それに触れないように「無難な」理論闘争をしたためだと思います。
 一方、集団的自衛権推進派も、本当は集団的自衛権の狙いが中国にあることが分かっていながら、外務省の「中国の名前を出すと中国を刺激してよくない」という論理に屈服したため、国民のなかから「なぜ集団的自衛権が必要か分からない」という声が広範に出てくるという事態になってしまいました。それで、あわてて参議院段階になって中国問題を一部出してきたというのが真相だと思います。
 つまり、民衆運動の側の中国問題の意見の不統一にもかかわらず、中国問題を持ち出さなくても戦争法案は成立するだろうという政府・与党の計算違いに支えられて、中国問題という民衆運動の側の弱点を何とかカバーしたというのが戦争法案反対運動の経過だったのではないでしょうか。
 中国覇権主義に反対するのは国民の圧倒的多数になっています。中国が覇権主義でないというのは、左翼と知識人の一部だけになっているのです。
 民衆運動の中国問題の弱点を放置したままで、今後日本の民衆運動を大きく発展させることは不可能になりつつあると私は思います。 

 今後民衆運動の側は、明文改憲反対闘争を見据えて、南シナ海での戦争反対、
自衛隊の海外派兵反対、沖縄の辺野古新基地建設反対等の理論闘争を展開していくことになると思います。今後の理論闘争については、別稿に譲りますが、ここで、老人の繰り言を一言述べさせていただきたいと思います。
 率直に言えば、私は、若い理論家の理論闘争のあり方に大きな疑問を持っています。あまりにも自分の殻を大事にしすぎる、あまりにも人の意見と人の顔色を気にしすぎる、あまりにも自分の意見を発表しなさすぎる、「身内」をこえて通用する議論が少ない、本当に勉強したという意見が少ない、というのが私の最近の感想です。
 インターネットを見ても、「大ぼら」を吹いているのは、ほとんどが年寄です。これでは、一体どうなるのでしょうか。
 私は、若い理論家が、もっと気概をもって、もっと大胆に論陣を張ることを心から期待したいと思います。

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               以上



 
	


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