[CML 039490] 戦後70年を迎えるにあたっての弁護団声明(中国人戦争被害賠償請求事件弁護団・・・)

Maeda Akira maeda at zokei.ac.jp
2015年 9月 3日 (木) 16:05:16 JST


前田 朗です。

9月3日

転送です。

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戦後70年を迎えるにあたっての弁護団声明

2015 年8月12日

中国人戦争被害賠償請求事件弁護団

団  長 弁護士 小野寺 利孝

中国人強制連行・強制労働事件全国弁護団

山西省「慰安婦」1次2次訴訟弁護団

七 三一部隊・南京虐殺・無差別爆撃訴訟弁護団

旧 日本軍遺棄毒ガス・砲弾被害事件訴訟弁護団

平頂山事件訴訟弁護団

海南島戦時性暴力被害事件訴訟弁護団

遺棄化学兵器被害チチハル事件弁護団

遺棄化学兵器被害敦化事件弁護団

1 中国人戦争被害賠償請求訴訟の成果

  本年は第二次世界大戦が終結してから70年の節目の年にあたる。

  戦後70年の最後にあたるこの約20年間、私たち弁護団は中国人戦争被害 
者の代理人として日本の裁判所における戦争被害賠償請求の訴訟事 件を担い、 
数多くの判決を得てきた。それは、被害者の被害と尊厳の回復を図るとともに、 
それを加害国たる日本の社会において実現すること によって、日本の社会の反 
省と誓いを示し、以て東アジアにおける友好と平和を達成しようと念願したため 
でもあった。

  私たちの得た判決のうちのあるものは被害者らを勝訴させ、あるものは敗訴 
させた。しかし、勝敗の結論如何にかかわらず、多くの判決が、侵 略戦争の遂 
行過程における加害の事実と被害の事実を多数認定した(そのうち主だったもの 
の概要は別紙「判決が認定した加害と被害の事実の 概要」のとおりである)。 
加害と被害の事実を客観的に明らかにすることは、被害者加害者間の謝罪や賠 
償、和解の基礎となるものであり、そ れが事実認定に関する最高の公権力機関 
たる裁判所によってなされた意義は極めて大きい。

  特に日本軍「慰安婦」問題をめぐって、朝日新聞による記事撤回が拡大解釈 
され、被害事実自体が存在しなかったかのような誤った論調がみら れる現在、 
特に政府が「慰安婦」問題に関して虚偽を述べながらこれを撤回せず維持し続け 
るという、信じ難い異常な事態(注)が起こってい る現在においては、裁判所 
による事実認定の意義はなおいっそう大きいものである。

  また、裁判所が、加害と被害の事実を直視し、解決を促した例も少なくない 
(別紙「付言集」参照)。その典型例は、2007年4月27日の 西松建設中 
国人強制連行事件最高裁判決(被害者ら代理人は西松訴訟弁護団)であり、これ 
を受けて2009年から2010年にかけ、西松建 設と多くの被害者(本人な 
いし遺族)との間において和解の成立をみた。被害者団体は、この和解にあた 
り、「加害者が事実を認め、深く反省 して謝罪したことは、痛ましい教訓を人 
類の記憶として残し、歴史の悲劇を繰り返さないため」に有意義であり、これに 
より「人類社会に正義 と希望を見出すことができた」との声明を発表した(別 
紙「日本に強制連行された中国人労工聯誼会信濃川分会声明」参照)。このこと 
は、加 害者が真摯に反省し謝罪すれば、例え、賠償額等について不十分さを残 
したとしても、被害者もこれを受け入れる努力をなし得るし、そのこと が平和 
友好の礎となり得ることを示した好例である。

2 日中両国市民による歴史和解と平和への実践

  更に、忘れてならないことは、日中両国の市民が、戦争賠償請求訴訟を通じ 
て互いに理解と信頼を深め、裁判が終わった後もなお、被害者救済 のために、 
また、二度と戦争による加害と被害を繰り返さないために連帯して行動を続けて 
いることである。

  例えば、遺棄毒ガス被害事件弁護団と日本の支援者は、訴訟活動と並行して 
日本政府に対する政治解決要求運動に取り組みつつ、中国で被害者 の健診活動 
を行うなどの支援を続けてきたが、こうした医療支援を進める目的で、このた 
び、日中両国の民間団体が協力して「化学兵器及び細 菌兵器被害者支援日中未 
来平和基金」を設立するまでに至った。また、平頂山事件では、被害者らと日本 
の弁護士・市民らが心の交流を育み、 二度と再び平頂山事件の悲劇を繰り返さ 
ないための、日本と中国の歴史和解と真の平和友好を願う共同の活動を現在も活 
発に続けている(別紙 「戦後70年 平頂山事件を通じて日中の歴史和解を考 
える」参照)。

  私たちは、こうした両国市民の実践こそが、日本と中国の歴史和解を進め、 
国家間の平和と安定を図る推進力であると確信する。

3 日本政府がなすべきこと

  過去に日本は、国策を誤り、植民地支配と侵略戦争を遂行し、アジア諸国を 
はじめとする各国において甚大な被害を生ぜしめた。また国内にて も甚大な戦 
争被害が生じた。そのような国家的過ちに対する痛切な反省と、二度と戦争を起 
こさないとの誓いの上にたって、徹底した恒久平和 主義を掲げた日本国憲法に 
基づき、平和国家としての歩みを指向してきたのがこの70年間の日本であった。

  今、日本がなすべきことは、中国・朝鮮を仮想敵国視し、日本を再び戦争の 
惨禍へと導く憲法違反の安保法制を成立させることではない。日本 政府がなす 
べきことは、過去の侵略戦争の事実を客観的に認識し、誤りを認め、深く反省 
し、被害者に対し、誠実に謝罪することである。その ことが、近隣諸国との平 
和友好関係を築き、日本とアジアの真の安全保障を図る上では不可欠であり、日 
本国憲法の恒久平和主義の理念を具現 化する道でもある。

  私たちはこの思いから、日中両国の心ある人々と手を携えて活動を行ってき 
た。今後とも、この思いを抱いて一刻も早い日中の戦後補償問題の 解決を目指 
すとともに、アジア諸国民との真の友好と平和のために一層の尽力をなすことを 
誓うものである。

(注) 日本軍「慰安婦」問題についての安倍内閣の虚偽答弁 問題

1 第1次安倍内閣は、 2007年3月16日付け「衆議院議員辻元清美君提 
出安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質 
一六六第 一一〇号)において、「(河野官房長官談話と)同日の調査結果の発 
表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行 を直 
接示すような記述も見当たらなかったところである。」と答弁した。

2 しかし、実際には、上記 1993年8月4日の政府発表「いわゆる従軍慰 
安婦問題の調査結果について」に含まれている「バタビア臨時軍法会議の記録」 
には、訴追さ れた日本軍人の「判決事実の概要」として、「一九四四年二月末 
ころから同年四月までの間、部下の軍人や民間人が上記女性ら(引用者註: 
「ジャワ島セラマンほかの抑留所に収容中であったオランダ人女性ら」を指す) 
に対し、売春をさせる目的で上記慰安所に連行し、宿泊させ、 脅すなどして売 
春を強要するなどしたような戦争犯罪行為を知り又は知り得たにもかかわらずこ 
れを黙認した」等と記載されている。これはま さに、上記の第1次安倍内閣の 
答弁が「見当たらなかった」とした、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接 
示すような記述」である。

  (なお、念のため述べると、被害者を強制連行して「慰安婦」としたという 
加害事実は、河野談話発表後も、私たち弁護団が担当した訴訟事件 において、 
最高裁判決を含む多くの判決で認定されている。)

3 第2次安倍内閣は、この 「バタビア臨時軍法会議の記録」を河野談話発表 
以前に政府が保有していたことを認めた(2013年6月18日付け「衆議院議 
員赤嶺政賢君 提出強制連行の裏付けがなかったとする二〇〇七年答弁書に関す 
る質問に対する答弁書」(内閣衆質一八三第一〇二号))。

  これを認めた以上、2007年の答弁は撤回ないし訂正されるべきことにな 
るが、驚くべきことに第2次安倍内閣は上記2013年答弁書にお いて、政府 
の認識は2007年答弁書と同じである旨を述べて撤回も訂正もしない姿勢を示 
している。

  以 上

以下略:

(別紙)判決が認定した加害と 被害の事実の概要

(別紙)付言集

(別紙)日本に強制連行された 中国人労工聯誼会信濃川分会声明

(別紙)戦後70年 平頂山事 件を通じて日中の歴史和解を考える

【中国人戦争遺留問題 解決提 言】

(別紙)日本政府への提言 日 本軍「慰安婦」 問題解決のために

(別紙)中国人強制連行・強制 労働事件の全面解決提言

(別紙)遺棄化学兵器の被害者 に対する人道的支援を求める要請書



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