[CML 040487] 今日の言葉 ――中国側代表の発言の脈絡を抜きにして一部だけを恣意的にしかも歪曲した形で取り上げる日本メディアの報道の仕方は隣国に対する人びとの反感や敵意をいたずらに煽ることになるのではないか。

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 11月 5日 (木) 13:29:01 JST


      Blog「みずき」:昨日の11月4日付けの神奈川新聞に「偏っていますが、何かの反響・上」という記事が掲載されて
      います。先日の新聞週間の折に同紙に掲載された「『時代の正体』批判について(5)」という記事の識者の反響
      を紹介している記事ですが、初回は上智大学教授(メディア学)の田島泰彦さん。田島さんはその感想の中で新
      聞の機能には大きく分けて「事実を端的に報道報道する」機能と「言論機関としての主張を表明する」機能の両
      側面があることを述べた上で、前者の事実報道については、「記者や新聞社の主義主張を織り交ぜるべきでは
      ない」し、「事実の一部を書かなかったり、ねじ曲げたりすることも許されない」ことを指摘しています。メディアの
      報道に関するごくごくふつうの指摘ですが、以下の大田さんの指摘は、そのメディアとしてあまりにも当然な基本
      のキを日経新聞の報道は踏み外しているばかりでなく、「意図的な歪曲」の可能性すらある、という指摘です。こ
      こで私はこれも昨日読んだばかりの「全国版メディアを読んだり観たりするのは『百害あって一利なし』」とする半
      澤健市さんの嘆慨の声を思い出しました。

【「事実報道」ということと「主張」をするということと】
2日の国連総会第1委員会で日本が提出した核兵器廃絶決議について、『日経新聞』は昨日、【中国代表は「広島・長崎の
悲劇は日本が始めた侵略戦争の必然的な結果だ」と主張、再び歴史問題を持ち出し対日批判を繰り返した。】と伝えてい
ます。この『日経』の報道だけを読むと、あたかも中国側が、広島・長崎の被曝は日本側の自業自得だ、と「主張」している
かのように受け取れます。こうした中国側の「主張」に腹を立てたり、さらには改めて敵意を抱いたりした人もいるかもしれま
せん。

このような日本メディアの報道のありかたについて、吉田明彦さんが、国連のウェブサイトにある核軍縮に関する国連総会
第1委員会についてのプレスリリースを引きながら、疑問を呈しています。私も吉田さんに同感です。さて、国連総会第1委
員会での中国代表の傅聡大使が実際にどのような発言をしたか、中国外交部の公式発表を見てみましょう。

      「広島・長崎の核爆発が歴史の悲劇であることは否定できません。私たちは広島・長崎の人民がこうむった苦難
      に深く同情を表します。ただし、私たちは、関係決議の中でこの歴史だけを孤立的に突出させるのはふさわしくな
      いと、考えております。(後略)」

      「第一に因果関係をはっきりさせることです。歴史に仮定は許されません。広島・長崎の核爆発が避けられるもの
      であったかどうか、私たちは知るすべがありません。ただし、この惨劇が、日本が対外的に侵略戦争を発動したこ
      との直接の結果であり、その元凶が日本の軍国主義勢力であったことを、私たちは明らかに知っております。この
      点を明らかにしておかなければ、誰が真の加害者であり誰が真の被害者であるかがはっきりしなくなってしまいま
      す。」

中国代表の発言が核兵器廃絶決議に反対する論拠としてどこまで説得力があるかはさておき、「広島・長崎」については、
上の『日経新聞』が伝えているのとは相当ニュアンスが違います。中国代表は、広島・長崎の「人民」の苦難に同情を表した
上で、広島・長崎の被曝は日本の「軍国主義勢力」が起こした侵略戦争の「直接の結果」であり、この点で加害者と被害者と
をはっきりさせるべきだ、と言っているわけです。これは、日本人民は中国人民とともに、日本の軍国主義勢力が起こした戦
争の被害者だ、という従来の中国側の公式見解を繰り返しているにすぎません。しかも、広島・長崎の原爆投下が避けられ
るものであったかどうか(すなわちそれが不可避〔=必然的〕だったかどうか)は知るすべがない、と中国代表ははっきり言っ
ています。

【中国代表は「広島・長崎の悲劇は日本が始めた侵略戦争の必然的な結果だ」と主張】したとする『日経新聞』の報道は、意
図的な歪曲ではないでしょうか。中国代表は、原爆投下は侵略戦争の「直接の結果」だという歴史的な因果を述べている(日
本の大陸侵略戦争がなければ当然、日米開戦も原爆投下もなかったということ)にすぎないのです。中国側代表の発言の脈
絡を抜きにして、その一部だけを恣意的に、しかも歪曲した形で取り上げる日本メディアの報道の仕方は、隣国に対する人
びとの反感や敵意をいたずらに煽ることになるのではないでしょうか。(大田英昭フェイスブック 2015年11月5日)

【山中人間話】

以下、省略。下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1622.html


東本高志@大分
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